研修所で「転覆王(ドボンキング)」とからかわれた波多野憲二が、デビューから3年あまりでダービーを制する。『モンキーターン』は、そんな成長を競艇の世界で描いたマンガです。河合克敏が小学館『週刊少年サンデー』で1996年から2005年まで連載した作品(全30巻、第45回小学館漫画賞)から、主要キャラ16人をソーシャルスタイル(コミュニケーションの取り方で人を4タイプに分ける考え方)で分けました。分けてみると、4つのタイプにちょうど4人ずつ。意見を主張する側と聞く側も、8人ずつにきれいに分かれました。この記事では、各キャラをそのタイプに分けた理由と、16タイプで考えるとどれに近いかを紹介します。
※この記事は、原作マンガの最終回(30巻)までの内容に触れます。
4タイプの特徴はソーシャルスタイルとは?4タイプの特徴と付き合い方で詳しく説明しています。
16人のタイプ一覧

| キャラ | ソーシャルスタイル | 16タイプで考えると(筆者の推測) |
|---|---|---|
| 洞口雄大 | ドライバー | ISTJ |
| 古池勘一 | ドライバー | ESTJ |
| 洞口武雄 | ドライバー | INTJ |
| 榎木祐介 | ドライバー | ENTJ |
| 波多野憲二 | エクスプレッシブ | ESFP |
| 青島優子 | エクスプレッシブ | ENFP |
| 浜岡猛 | エクスプレッシブ | ESTP |
| 蒲生秀隆 | エクスプレッシブ | ENTP |
| 生方澄 | エミアブル | ISFJ |
| 小林瑞木 | エミアブル | ESFJ |
| 鮎川喜一 | エミアブル | INFP |
| 河野一実 | エミアブル | ESFJ |
| 岸本寛(純) | アナリティカル | ISTJ |
| 和久井錠司 | アナリティカル | ISTJ |
| 江上修二 | アナリティカル | INFJ |
| 勝木景虎 | アナリティカル | ISTP |
タイプ分けは、作中の言動をもとにした筆者の考察で、公式の設定でも、作者の意図でもありません。タイプに優劣はなく、キャラの良し悪しを決めるものでもないので、推しが意外なタイプでも、ひとつの見方として楽しんでもらえたらうれしいです。「別のタイプでは?」というご意見も歓迎です。
16タイプは、作中の言動から筆者がファンとして推測したものです。本来は本人が質問に答え、結果を自分で確かめるものなので、キャラの性格を楽しむための目安として読んでください。MBTIはMyers & Briggs Foundationの登録商標です。4タイプはまわりから見える振る舞い、16タイプは内面の好みの推測なので、2つがずれて見えるキャラもいます。ネットの無料診断(16Personalitiesなど)は、正式なMBTIとは別のものです。詳しくは日本MBTI協会「MBTIとは」をご覧ください。
ドライバー:洞口雄大、古池勘一、洞口武雄、榎木祐介
洞口雄大(ドライバー)
「愛知の巨人」と呼ばれる名選手・洞口武雄の息子で、波多野とは研修所の同期です。学科も実技もトップクラスの成績で卒業し、デビュー直後の一般戦でいきなり優勝。若手ナンバーワンと呼ばれるまで、着実に勝ちを重ねていきます。洞口の分類は迷いました。いつも冷静で、感情をあまり顔に出さないところは、アナリティカルにも見えます。けれど、レースでは自分から主導権を取りにいき、まわりに反感を買う強引な走りも辞さない時期がありました。波多野のまくりに勝つためにイン屋へ切りかえたのも、自分で決めた作戦です。黙って様子を見るより、先に勝ち筋を決めて動く。この振る舞いを決め手に、ドライバーに入れました。
感情より結果を見て、学んだことを一つずつ積み上げていくところは、16タイプで考えるとISTJが近そうです。
古池勘一(ドライバー)
30年連続でA1級に入り、ダービーも制したベテランで、波多野の師匠です。弟子を取らない主義でしたが、しつこく頼みこむ波多野に無理な条件を出し、それをやりとげられて15年ぶりの弟子にしました。口うるさく、波多野がわざと荒い走りをしたときには、迷わず破門を言い渡します。言うべきことははっきり言い、筋の通らないことは許さない。根は人情家で、波多野にとってはもう一人の父親のような存在ですが、その情を甘い言葉や態度で見せることはあまりなく、厳しい条件と結果で示します。自分の考えを曲げずに弟子を導き、情より筋を前に出すこの振る舞いから、ドライバーに入れました。
決まりと筋道を大切にし、グループのまとめ役も引き受けるところから、ESTJに近いと考えます。
洞口武雄(ドライバー)
「愛知の巨人」と呼ばれ、SGを10回制した大ベテランです。グループを作らず一匹狼で通し、専属のトレーナーをつけて体を管理し、流体力学の専門家と組んでプロペラを作ります。勝つためなら、まわりとぶつかることもいといません。息子の雄大にも尊大な態度で接しますが、その裏では、妻と息子のことを常に気にかけています。言葉より結果で語り、自分のやり方で勝ちをつかみにいくので、ドライバーに入れました。息子と同じタイプになったのも、親子らしいところです。
人とは違う独自の方法を考え、長い目で勝ち方を組み立てていくところは、16タイプで考えるとINTJが近そうです。
榎木祐介(ドライバー)
「艇王」と呼ばれる競艇界のトップレーサーです。デビューから2年10か月という最短記録でSGを取り、3年続けて賞金ランキング1位になりました。イン逃げもまくりもできる自在屋で、整備やプロペラ作りもトップクラス。どんな展開でも、自分で勝ち方を選んでレースを組み立てていきます。その実力と人柄で、ほかの選手からも慕われています。いつも落ち着いたまま、トップとして前に立ち続けるので、ドライバーに入れました。
勝つための道筋を描き、まわりを引っぱる存在になっているところから、ENTJと見ました。
エクスプレッシブ:波多野憲二、青島優子、浜岡猛、蒲生秀隆
波多野憲二(エクスプレッシブ)
この作品の主人公です。高校まで野球ひと筋でしたが、担任と先輩の女子レーサーに連れられた競艇場で、ボートの感触とモンキーターンに魅了され、競艇選手の道に進みます。お調子者で、気持ちがすぐ顔と言葉に出るタイプ。うれしいときは素直に喜び、ライバルの洞口とは顔を合わせるたびに言い合いになります。波多野の分類は迷いました。弟子を取らない古池に何度も頼みこみ、無理な条件までやりとげて弟子入りを押し通した強さは、ドライバーにも見えます。けれど、波多野は人懐っこく、和久井をグループに誘い、やがて江上グループまで合流させてしまうほど、人の輪を広げていきます。感情を隠さず、まわりを巻きこんで進んでいくこの振る舞いを決め手に、エクスプレッシブに入れました。
体で覚えたことを一気に爆発させる、思いきりのいいターンとスタートは、16タイプで考えるとESFPに近そうです。
青島優子(エクスプレッシブ)
宮崎県出身の女子選手で、波多野たちと同じ82期生です。父が残した借金を返して家族を支えるために、競艇選手を目指しました。仲間思いで天真爛漫、うれしいことも悔しいことも、そのまま表に出します。デビューしたてのころは、フライングをおそれて思いきったスタートが切れませんでしたが、まわりの助言で立ち直り、女子のトップ選手になります。自分の気持ちをまっすぐ伝え、恋もレースも全力でぶつかっていくので、エクスプレッシブに入れました。作者の河合克敏が、作中でいちばん気に入っているキャラだと語っているのも、この青島です。
人とのつながりを大事にしながら、目標を見つけるとまっすぐ追いかけていくところは、ENFPが近そうです。
浜岡猛(エクスプレッシブ)
東京支部の先輩レーサーで、波多野や純の兄貴分です。ぶっきらぼうな口調のお調子者で、お酒は好きなのに弱く、アニソン好きと、グループの笑いを引き受けます。レースでは、つけまいを多用する思いきった走りが持ち味。なかなか運に恵まれませんでしたが、波多野の3連覇がかかったダービーで、ついにSG初優勝をつかみました。にぎやかに場を明るくし、気持ちのままに勝負に出るので、エクスプレッシブに入れました。
細かく考えるより、その場の勢いで勝負に出る走りから、ESTPに近いと考えます。
蒲生秀隆(エクスプレッシブ)
香川支部のA1級レーサーで、「一般戦の鬼」と呼ばれていました。波多野と一般戦で戦ったことで闘志に火がつき、5年ぶりにSGへ戻ってきます。ふだんは明るく飄々としていて、つかみどころがありません。クラシック音楽を聴き、テレビは見ないという、「艇界一の変わり者」です。賞金より「熱いレースがしたい」という気持ちで走り、榎木からは「何をしてくるのか分からない」と言われる天才型。自分の楽しさを隠さず、まわりを驚かせ続けるので、エクスプレッシブに入れました。
型にはまらず、エンジンの音を聞くだけで整備のポイントをつかむ独自の理論を持つところは、16タイプで考えるとENTPが近そうです。
エミアブル:生方澄、小林瑞木、鮎川喜一、河野一実
生方澄(エミアブル)
波多野の幼なじみで、隣の家は小料理屋です。小さいころから、波多野が戦う姿をいつもそばで応援してきました。競艇のことは何も知らなかったのに、観戦に通ううちに、洞口の戦法の変化に気づくほど詳しくなります。波多野がけがから戻るときには、自分でデザインした龍のヘルメットを贈りました。前に出て引っぱるより、相手を見守り、必要なときにそっと手を差しのべる。その振る舞いから、エミアブルに入れました。
身近な人を、目立たないところで長く支え続けるところから、ISFJと見ました。
小林瑞木(エミアブル)
広島県出身の82期生で、3回目の受験で研修所に入りました。努力家ですが、気が弱く、悪いほうに考えてしまうところがあります。同期が出世していく中でひとり伸び悩み、引退まで考えますが、波多野と河野からモンキーターンを教わって立ち直りました。社交的で、女子選手たちから好かれています。青島とは研修所時代からの親友です。人との関係を大切にし、まわりに支えられ、まわりを支えながら進むので、エミアブルに入れました。
人づきあいが上手で、仲間の中で力を発揮していくところから、ESFJに近いと考えます。
鮎川喜一(エミアブル)
福岡支部のA1級レーサーで、青島の師匠です。のんびりした九州弁で話し、物忘れや忘れ物が多く、とぼけた印象があります。父を亡くした青島の親代わりを買って出て、唐津ではスタート勘を失った波多野を立ち直らせ、悩む小林には自分なりの成長論を話して聞かせました。他の地区の後輩でも、困っている人がいれば面倒を見ます。相手の話を聞き、相手のペースに合わせて手を差しのべるので、エミアブルに入れました。
天才と呼ばれたあとに長く低迷した経験から、遠回りする人の気持ちに寄りそえるところは、INFPが近そうです。
河野一実(エミアブル)
福井県出身の82期生です。研修所に入った時点ですでに妻と子どもがいて、同期の兄貴分として慕われていました。元は自動車整備士で、モーター整備の腕は群を抜いています。洞口親子の新しいプロペラのまねに走って成績を落とした時期もありましたが、まわりに励まされて立ち直り、SGにも出場するようになります。伸び悩む小林には、波多野と一緒にモンキーターンを教えました。仲間の面倒を見て、場をなごやかにまとめるので、エミアブルに入れました。
家族と仲間を大切にし、身近な人の役に立とうと動くところから、ESFJと見ました。
アナリティカル:岸本寛(純)、和久井錠司、江上修二、勝木景虎
岸本寛(純)(アナリティカル)
波多野と同じ東京支部の同期で、波多野が付けた「純」というあだ名で呼ばれています。研修所では学科以外の成績が振るわずD班に入り、デビュー後も初勝利まで半年近くかかりました。気が弱く、自分から強く出ることはあまりありません。純の分類は迷いました。波多野たちと一緒に笑い、仲間の輪の中にいる姿は、エミアブルにも見えます。けれど、純はうれしさや悔しさを大きく表に出すより、黙って努力を重ね、少しずつ力をつけてSGにも出場するようになります。波多野からも「闘志を内に秘めるタイプ」と言われています。感情を内に収めて、こつこつ積み上げるこの振る舞いを決め手に、アナリティカルに入れました。
決めた練習を地道に続け、時間をかけて結果につなげていくところは、16タイプで考えるとISTJが近そうです。
和久井錠司(アナリティカル)
東京支部のレーサーで、関東を代表するプロペラ巧者です。体重の管理に人一倍気をつかい、グループに入らずひとりで技術を磨いていました。服装から車まで黒一色でそろえるこだわりもあります。和久井の分類は迷いました。嫌味な口調で厳しい言葉をぶつけるところは、ドライバーにも見えます。けれど、和久井は人を動かそうとして主張するより、ひとりで黙々と準備を重ねることを選びます。感情を表に出さず、決めたやり方を守り続けるこの振る舞いを決め手に、アナリティカルに入れました。古池グループに入ってからは、本来の人情の厚さが見えるようになり、波多野のよき相談相手になります。
決めた手順を毎日きちんと守り、ストイックに積み上げていくところは、16タイプで考えるとISTJが近そうです。
江上修二(アナリティカル)
東京支部の強豪で、SGの常連です。SGの常連でありながら、長くタイトルに手が届かなかった遅咲きの名選手です。物静かで理知的な性格で、ペラグループのリーダーを務め、波多野たち若手に、要所で的確なアドバイスをします。ふだんから多くを語らず、見るべきところを見て、必要なときに必要なことだけを伝える。その振る舞いから、アナリティカルに入れました。
人の様子をよく見て、先を見通した言葉をかけるところは、INFJに近そうです。
勝木景虎(アナリティカル)
香川県出身の82期生で、研修所では「無口王」と呼ばれたほど寡黙です。必要なこと以外はほとんど話しませんが、負けん気は強く、冷静な分析力も持っています。卒業後は蒲生と同じペラグループに入り、プロペラを作って蒲生に渡すかわりに、蒲生から整備と操艇の技術を学んで、SGに出場するまでになりました。言葉より手を動かし、静かに相手を見ているので、アナリティカルに入れました。
道具を自分の手で作りこみ、黙って腕を磨いていくところは、16タイプで考えるとISTPが近そうです。
考察:波多野と洞口は、半分だけ同じタイプのライバル
波多野と洞口は、研修所時代から「仲が悪い」ことで知られるライバルです。タイプで見ると、2人はどちらも意見を主張する側ですが、波多野は感情を表に出すエクスプレッシブ、洞口は感情を抑えるドライバーでした。
どちらも自分から勝ちにいく。けれど、波多野は気持ちのままにまくりにいき、洞口は冷静に勝ち筋を決めて動く。同じ方向を向いているのに、気持ちの表し方の向きが逆なので、顔を合わせるたびにぶつかるのかもしれません。洞口が後にイン屋へ切りかえたのも、波多野のまくりを見すえた選択でした。
洞口は、父の武雄と同じドライバーです。どちらも気持ちを言葉にするより、結果で示す側。家族への思いがおたがいに伝わるまで時間がかかったのも、そのせいかもしれません。
考察:波多野のまわりには、支える人と、黙って積み上げる人がいる
16人はきれいに4人ずつに分かれましたが、波多野のまわりにいる人を見ると、エミアブルの支え手が目立ちます。幼なじみの澄、同期の小林と河野、そして他地区の後輩まで面倒を見る鮎川です。
競艇は1人でボートに乗る競技ですが、作中では、整備やプロペラ作り、スランプからの立ち直りまで、人と人とのつながりが何度も勝負を分けます。河野と波多野が小林にモンキーターンを教え、鮎川が波多野と小林を立ち直らせる。こうした場面の中心には、いつもエミアブルの誰かがいました。そして、和久井、江上、勝木、純のアナリティカルの4人は、言葉より準備と積み重ねで、静かに勝負に食らいついていきます。
主張する8人がレースで火花を散らし、聞く側の8人が支え、見守り、ときに静かに勝ちをさらう。4タイプがちょうど4人ずつという分かれ方が、この作品の熱さと温かさの両方を表しているように思います。
まとめ:熱い主張と、静かな支え
『モンキーターン』の16人は、ドライバー、エクスプレッシブ、エミアブル、アナリティカルが、ちょうど4人ずつでした。主張する側と聞く側も、8人ずつです。
気持ちのままに突っこむ波多野、冷静に勝ち筋を決める洞口、厳しく導く古池、黙って腕を磨く和久井と勝木、そばで支える澄や鮎川。レースの勝ち負けだけでなく、誰が誰をどう支えたかに目を向けると、もう一度読み返したくなる作品です。


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