ひとりで将棋と向き合ってきた桐山零は、静かに考える「アナリティカル」でした。『3月のライオン』(羽海野チカ、白泉社『ヤングアニマル』連載)の主要キャラ14人を、ソーシャルスタイル(コミュニケーションの取り方で人を4タイプに分ける考え方)で分けた結果です。零のまわりには、気持ちを表に出す「エクスプレッシブ」が5人、人を受け止める「エミアブル」が4人並びました。この記事では、各キャラをそのタイプに分けた理由と、16タイプで考えるとどれに近いかを紹介します。
※この記事は、アニメ第2シリーズと、原作10〜11巻の川本誠二郎のエピソードの途中(結末は書きません)までの内容に触れます。
4タイプの特徴はソーシャルスタイルとは?4タイプの特徴と付き合い方で詳しく説明しています。
14人のタイプ一覧

| キャラ | ソーシャルスタイル | 16タイプで考えると(筆者の推測) |
|---|---|---|
| 後藤正宗 | ドライバー | ESTJ |
| 幸田柾近 | ドライバー | ISTJ |
| 二海堂晴信 | エクスプレッシブ | ENFP |
| 幸田香子 | エクスプレッシブ | ESTP |
| 川本ひなた | エクスプレッシブ | ENFJ |
| 林田高志 | エクスプレッシブ | ESFP |
| 川本誠二郎 | エクスプレッシブ | ESFP |
| 川本あかり | エミアブル | ESFJ |
| 島田開 | エミアブル | INFJ |
| 川本相米二 | エミアブル | ISFP |
| 野口英作 | エミアブル | ISFJ |
| 桐山零 | アナリティカル | INFP |
| 宗谷冬司 | アナリティカル | INTJ |
| 土橋健司 | アナリティカル | INTP |
タイプ分けは、作中の言動をもとにした筆者の考察で、公式の設定でも、作者の意図でもありません。タイプに優劣はなく、キャラの良し悪しを決めるものでもないので、推しが意外なタイプでも、ひとつの見方として楽しんでもらえたらうれしいです。「別のタイプでは?」というご意見も歓迎です。
16タイプは、作中の言動から筆者がファンとして推測したものです。本来は本人が質問に答え、結果を自分で確かめるものなので、キャラの性格を楽しむための目安として読んでください。MBTIはMyers & Briggs Foundationの登録商標です。4タイプはまわりから見える振る舞い、16タイプは内面の好みの推測なので、2つがずれて見えるキャラもいます。ネットの無料診断(16Personalitiesなど)は、正式なMBTIとは別のものです。詳しくは日本MBTI協会「MBTIとは」をご覧ください。
ドライバー:後藤正宗、幸田柾近
後藤正宗(ドライバー)
九段の棋士です。気性の激しい人物として描かれます。そのいっぽうで、自分なりの筋はきちんと通します。実績の乏しい棋士が島田をからかったときには、鋭い一言で黙らせました。相手が誰でも遠慮せず、自分の判断で言い切るので、ドライバーに入れました。
自分のルールを持ち、それに沿ってぶれずに動くところから、16タイプで考えるとESTJが近そうです。
幸田柾近(ドライバー)
八段の棋士で、零の師匠であり、育ての父です。家族を失った零を引き取り、将棋の道へ導きました。将棋の才能を何より重く見るあまり、家族への気配りが足りないように見える場面もあります。それでも、将棋に対しては誰よりも誠実で、自分の信じる基準で物事を決めていきます。その振る舞いから、ドライバーに入れました。
将棋という道に、まっすぐ責任を持って向き合い続けるところは、ISTJに近いと考えます。
エクスプレッシブ:二海堂晴信、幸田香子、川本ひなた、林田高志、川本誠二郎
二海堂晴信(エクスプレッシブ)
島田の弟弟子で、零を「終生のライバル」と呼ぶ棋士です。体が弱いにもかかわらず、いつも明るく、強引なほど零に絡んでいきます。将棋への熱い気持ちも、零への友情も、まっすぐ言葉に出すので、エクスプレッシブに入れました。
熱い思いで人を巻き込み、前向きに夢を追うところは、16タイプで考えるとENFPが近そうです。
幸田香子(エクスプレッシブ)
幸田家の長女で、零の義理の姉にあたります。気性が激しく、零にはきつい言葉を投げかけます。その強さの奥に、さびしさを抱えている人でもあります。気持ちが言葉や態度にそのまま出るので、エクスプレッシブに入れました。
その場の感情に正直に、まっすぐぶつかっていくところから、ESTPに近いと考えます。
川本ひなた(エクスプレッシブ)
川本家の次女で、中学生です。よく笑い、よく泣き、気持ちが顔にそのまま出ます。学校でつらい目にあったときも、自分が正しいと思ったことは曲げませんでした。気持ちを隠さず、言葉にして前に進もうとするので、エクスプレッシブに入れました。家族の前では弱さを見せないようにする、気配りのできる面もあります。
人の痛みに寄り添い、正しいと思うことのために声を上げるところは、ENFJらしいところです。
林田高志(エクスプレッシブ)
零の高校1年のときの担任で、熱心な将棋ファンです。零の対局のことを楽しそうに話し、学校で居場所の少ない零に気さくに声をかけます。気持ちをそのまま言葉にして、相手との距離を縮めていくので、エクスプレッシブに入れました。
好きなことを素直に楽しみ、周りも明るくするところから、16タイプならESFPと見ました。
川本誠二郎(エクスプレッシブ)
あかり・ひなた・モモの3姉妹の父親です。家族を置いて家を出ていましたが、ある日、川本家の前にふらりと姿を見せます。人当たりがよく、口がうまく、その場の気分で言葉を選び、自分の都合を悪びれずに口にします。その身勝手さは、3姉妹を深く傷つけてきました。家族の気持ちより、自分の思いを先に表に出して動くので、エクスプレッシブに入れました。
先のことより、いまの自分の気持ちに正直に動くところは、16タイプで考えるとESFPが近そうです。
エミアブル:川本あかり、島田開、川本相米二、野口英作
川本あかり(エミアブル)
川本家の長女です。祖父の和菓子店を手伝いながら、妹たちの母親代わりとして家を支えています。零を家に招き、温かいごはんでもてなします。人の様子をよく見て、相手を受け止めるので、エミアブルに入れました。
家族やまわりの人の暮らしを、温かく気づかって支えるところは、16タイプで考えるとESFJが近そうです。
島田開(エミアブル)
A級八段の棋士です。苦労を重ねてプロになった努力家で、人柄を慕われています。研究会を開き、後輩の零も受け入れて、一緒に将棋を研究します。自分が前に出るより、周りを受け入れて支える振る舞いから、エミアブルに入れました。胃の痛みに悩まされながらも、盤の前では粘り強く戦う姿も印象に残ります。
静かな誠実さで人を受け入れ、黙って努力を続けるところから、INFJに近いと考えます。
川本相米二(エミアブル)
和菓子店「三日月堂」の店主で、三姉妹の祖父です。孫たちを何より大切にしていて、家に出入りする零のことも気にかけています。口は少し荒くても、家族と周りの人を見守る役回りなので、エミアブルに入れました。
職人として手を動かし、言葉より行動で家族を支えるところは、ISFPに近そうです。
野口英作(エミアブル)
零が通う高校の放科部(放課後理科クラブ)の部長格の先輩です。零が加わって「放課後将棋科学部」になってからは、零のよき理解者になります。落ち着いていて面倒見がよく、相手のペースを尊重して受け入れるので、エミアブルに入れました。
穏やかに人の世話を焼くところは、ISFJらしいところです。
アナリティカル:桐山零、宗谷冬司、土橋健司
桐山零(アナリティカル)
主人公で、中学生でプロになった棋士です。幼いころに家族を事故で亡くし、師匠の幸田に引き取られました。零の分類は迷いました。川本家の人たちの前では、こらえていた気持ちがあふれる場面もあるからです。その姿は、エミアブルにも見えます。けれど、ふだんの零は口数が少なく、何かあると、まずひとりで考えこみます。人に頼るより、ひとりで将棋と向き合うことで自分を保ってきました。感情を抑え、先に考えてから動く振る舞いを決め手に、アナリティカルに入れました。だからこそ、川本家や二海堂たちと関わる中で、抑えてきた零が泣ける場所を見つけていく変化が、この作品の大きな見どころになっていると思います。
静かな外見の内側に、強く豊かな感情を抱えているところから、16タイプで考えるとINFPが近そうです。
宗谷冬司(アナリティカル)
複数のタイトルを持つ天才棋士です。物静かで、言葉は少なく、周りからは独特な人物と見られています。感情を見せず、盤上で静かに考え抜くので、アナリティカルに入れました。
誰も見ていない先を、ひとりで読み切るところは、INTJに近いと考えます。
土橋健司(アナリティカル)
九段の棋士で、研究熱心なことで知られます。決まった生活リズムを守り、将棋の研究に打ちこみます。自分の世界で黙々と考えを深めていくので、アナリティカルに入れました。
理屈を突きつめて研究を楽しむところから、16タイプならINTPと見ました。
考察:なぜ誠二郎は、川本家の空気を動かせたのか
最初にお断りしておくと、ここに書くのは、4つのタイプから見たひとつの読み方です。家族がすぐに誠二郎を突き放せなかったのには、親子という関係や、これまでの事情もあるはずです。
家族を置いて家を出ていた誠二郎が姿を見せると、川本家の穏やかな空気は、彼の調子のいい言葉にかき乱されていきます。祖父の相米二が入院で家にいなかった時期だったこともあります。それでも、なぜ彼の言葉は、ここまで家の中に届いてしまったのでしょうか。
あかりと相米二は、どちらもエミアブルです。エミアブルは、相手の気持ちを受け止め、争いを避けようとするタイプです。人を責めるより、まず受け入れようとする。この受け止める力で、川本家は、行き場のなかった零を温かく迎え入れてきました。
問題は、受け止める側ではなく、人のやさしさを自分の都合で当てにする側にあります。誠二郎は、人当たりのいい言葉で取り入り、その場に自分の思いを乗せていきます。あかりがすぐには突き放しきれなかったのは、相手を大事にしようとする人だからこそ、でしょう。
誠二郎は、ひなたと同じエクスプレッシブです。ただ、同じタイプでも、声の使い方はまるで違います。ひなたは、いじめの件で、友だちのために声を上げた子でした。誠二郎は、その声を自分のために使います。タイプが決めるのは声の出しやすさで、何のために使うかは、その人しだいです。
黄泉のツガイの記事では、主張する人と聞く人の組み合わせは「受け止める関係」になりやすい、と考えました。誠二郎は、その関係を自分の都合のいいほうへ使った、と見ることができます。誠二郎がしたことの責任は、誠二郎にあります。
まとめ:静かな零と、受け止める人、ぶつかってくる人
14人のうち、エクスプレッシブが5人、エミアブルが4人でした。あかりや島田、相米二のように、零を受け止めてくれる人たち。そして、二海堂やひなたのように、気持ちをまっすぐぶつけてくる人たち。同じエクスプレッシブの誠二郎は、その声を自分のために使う人でした。
そのあいだにいる零は、アナリティカルでした。ひとりで考えることで自分を守ってきた人が、受け止めてもらい、ぶつかってきてもらうことで、少しずつ心を開いていく。タイプの違う人たちに囲まれることが、人を変えていく力になる。3月のライオンは、そんなことを感じさせてくれる作品です。


コメント