社会的学習説

他者の行動を観察して学ぶこと

簡単な説明

たとえば、子供が親の行動を見てその行動を真似ることがあります。親が料理をしているのを見て、子供も同じように料理をしようとすることがこれにあたります。親が褒められると、その行動を良いものとして認識し、子供も同じ行動を取る傾向があります。

由来

社会的学習説はアメリカの心理学者アルバート・バンデューラによって提唱されました。この理論は、1950年代から1960年代にかけて発展し、バンデューラの著作「社会的学習理論」（1977年）で広く知られるようになりました。バンデューラは、従来の行動主義心理学が環境と行動の直接的な関係に焦点を当てるのに対して、観察学習や模倣の重要性を強調しました。

具体的な説明

社会的学習説は、人が他者の行動を観察し、それを真似ることで学習するプロセスを説明します。この理論では、モデル（他者の行動を示す人）が重要な役割を果たします。人々はモデルの行動を観察し、その結果を評価し、それを模倣するかどうかを判断します。学習は必ずしも行動として現れなくても、観察した情報が頭の中に保存されることで達成されます。

バンデューラの有名な「ボボ人形実験」では、子供たちに大人がボボ人形（膨らませて立つ人形）を攻撃する様子を見せました。その後、子供たちは自由に遊ばせましたが、ビデオを見た子供たちはボボ人形に対して攻撃的な行動を取る傾向が強いことが確認されました。この実験は、観察学習が攻撃行動の学習に与える影響を示しています。

社会的学習説は、観察学習、模倣、同一視の三つのプロセスを含みます。観察学習は、他者の行動やその結果を観察することで学習が生じる過程です。模倣は、観察した行動をそのまま真似ることです。同一視は、観察した行動を取り入れ、自分自身の行動や価値観に組み込むことです。