特定の相手に対する執拗なつきまといや監視、嫌がらせ行為のこと
簡単な説明
ストーキングって、要するに『しつこすぎるやつ』のこと。『相手も自分のこと好きなはず!』とか、『別れたのにまだ俺のもの!』とか、勝手に思い込んでつきまとうのが特徴。でも、やられた側はマジで怖いから、絶対にダメ!
由来
ストーキングという概念は1990年代にアメリカで注目され、1990年にはカリフォルニア州で初めて「ストーカー規制法(Anti-Stalking Law)」が制定されました。その後、各国でストーカー犯罪への対策が進められ、日本でも2000年に「ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)」が施行されました。
ストーキング行為は、単なる恋愛感情のこじれではなく、加害者の心理的な問題(執着、妄想、支配欲など)が背景にあることが多いと考えられています。
具体的な説明
ストーキングは、被害者の意思に反して繰り返し行われる以下のような行為を指します。
- 尾行・待ち伏せ(職場や自宅付近での張り込み)
- 過剰な連絡(電話・メール・SNSでのしつこいメッセージ)
- 嫌がらせ(誹謗中傷、個人情報の拡散)
- プレゼントの送りつけ(一方的な贈り物や手紙)
- 脅迫や暴力(復縁を迫る、危害を加えると脅す)
加害者の目的は、愛情の獲得、支配、復讐などさまざまですが、被害者に恐怖や精神的苦痛を与える点で重大な問題となります。
ストーキングの主な分類
1. モチベーション(動機)による分類
① 拒絶型(Rejection Stalker)
特徴: 恋人や配偶者に振られたことを受け入れられず、関係を修復しようとするか、報復的な行動をとる。
具体例: 別れた恋人に何度も連絡し、無視されると嫌がらせをする。
② 愛着型(Intimacy Seeker)
特徴: 相手に愛情を抱き、強引に関係を築こうとするタイプ。ストーカー本人は「相手も自分を愛している」と思い込んでいることが多い。
具体例: 一方的に「恋人関係」だと思い込み、手紙やプレゼントを送り続ける。
③ 無能型(Incompetent Suitor)
特徴: 社会的スキルが低く、適切なアプローチ方法を知らずにストーキング行為をしてしまう。
具体例: 知り合ったばかりなのに過剰な連絡をしたり、突然自宅に押しかけたりする。
④ 報復型(Resentful Stalker)
特徴: 何らかの恨みを抱き、相手に対して執拗な嫌がらせを行う。
具体例: 職場で注意されたことを逆恨みし、上司に対して執拗に電話やメールで嫌がらせをする。
⑤ 捕食型(Predatory Stalker)
特徴: 被害者を観察し、支配することに快感を覚える。性的な目的を伴うことが多い。
具体例: 被害者の行動を監視し、こっそり後をつけたり、自宅周辺に出没したりする。
2. 被害者との関係性による分類
① 元恋人・元配偶者型
過去に恋愛関係や結婚関係があった相手に対するストーキング。
② 片思い型
面識がない、もしくはほとんど接点がない相手に対して一方的に恋愛感情を抱き、ストーキングする。
③ 逆恨み型
職場や学校、近隣トラブルなどで恨みを抱いた相手に対する嫌がらせ。
④ 有名人・著名人型
芸能人やスポーツ選手などの有名人に対して、一方的な愛情や執着を抱いてストーキングする。
3. ストーキング行為の種類による分類
① 直接的ストーキング
- 本人に直接接触しようとする(待ち伏せ、尾行、自宅訪問など)
- しつこく話しかける、復縁を迫る
② 間接的ストーキング(サイバーストーキングを含む)
- 電話、メール、SNSなどを通じて執拗に連絡を取ろうとする
- 被害者の個人情報を拡散する(ドクシング)
- なりすましアカウントを作成し、被害者の名誉を傷つける
現代では、ストーキング行為の多くが心理的な問題(パーソナリティ障害、妄想性障害など)と関連していると考えられています。法的にはストーカー規制法によって処罰されるケースも増えています。
また、被害者は警察への相談、SNSの設定を非公開にする、接触を一切断つことが推奨されています。
具体的な実験や観察手法と結論
ストーカーの心理に関する研究(Spitzberg & Cupach, 2007)
方法:ストーカー加害者・被害者へのインタビュー調査
結果:
- ストーカーの多くがパーソナリティ障害(自己愛性、妄想性など)を持つ
- **リジェクション・センシティビティ(拒絶への過敏性)**が高い人ほどストーカー行為に及びやすい
ストーカー行為は単なる恋愛感情の延長ではなく、加害者の認知の歪み(思い込み、執着)**に基づいている可能性が高い。
例文
「ファンだからって家まで押しかけたら、それはストーキングになっちゃうよ。」
疑問
Q: ストーキング行為の主な心理的特徴は何ですか?
A: 執着、認知の歪み、自己愛の強さ、拒絶への過敏性などが挙げられます。
Q: ストーカーの分類で「拒絶型」とはどのような特徴を持っていますか?
A: 別れた恋人や配偶者に執着し、復縁を迫ったり、報復的な行動を取るタイプです。
Q: 近年増えている「サイバーストーキング」の具体例を挙げてください。
A: SNSでの誹謗中傷、GPSを使った監視、なりすましアカウントでの嫌がらせなどが含まれます。
Q: ストーカー被害を防ぐために有効な対策は何ですか?
A: 接触を断つ・警察に相談・SNSの設定変更・記録を残す などの対策が有効です。
Q: ストーカー加害者の心理に関する研究で示された特徴は何ですか?
A: パーソナリティ障害を持つ人が多く、拒絶への過敏性が高い傾向があります。
Q: ストーカー加害者の再犯を防ぐためには、どのようなアプローチが有効ですか?
A: 警察・医療機関・カウンセリング機関の連携が重要とされています。特に、リスク分析・認知行動療法・再社会化プログラムなどを組み合わせることで、加害者の問題行動を修正し、再発を防ぐことが可能です。(参考:「ストーカー加害者に対する再犯防止のための効果的な精神医学的・心理学的アプローチに関する調査研究」)
Q: 認知行動療法(CBT)はストーカー加害者に対してどのような効果がありますか?
A: ストーカー加害者の歪んだ認知(「相手も自分を愛している」「復讐する権利がある」など)を修正することが期待されます。また、ストレスや衝動のコントロール方法を学ぶことで、問題行動の抑制に効果を発揮すると考えられています。(参考:「ストーカー加害者に対する精神医学的・心理学的アプローチのモデル案の提案等」)
Q: ストーカー加害者の特徴にはどのようなものがありますか?
A: 自己愛の強さ、拒絶への過敏性、対人関係スキルの不足、妄想的思考などが指摘されています。また、過去に恋愛や人間関係での挫折経験があるケースが多いです。(参考:「ストーカーおよびDV加害の背景要因に関する研究」)
Q: ストーカー行為を防ぐために、警察が行っている対策にはどのようなものがありますか?
A: 警察からの警告、接近禁止命令、GPSなどを活用した監視強化、加害者へのカウンセリング受診の働きかけなどが行われています。加害者のリスクレベルを評価し、必要に応じて精神科医やカウンセラーと連携することもあります。(参考:「ストーカー加害者に対する再犯防止のための効果的な精神医学的・心理学的アプローチに関する調査研究」)
Q: 被害者がストーカー行為をやめさせるために取るべき行動は何ですか?
A: 加害者との接触を完全に断つことが最も重要です。また、警察に相談し、ストーカー規制法を活用すること、証拠(メール、SNSのメッセージ、通話履歴など)を保存することが推奨されています。(参考:「ストーカー加害者に対する精神医学的・心理学的アプローチのモデル案の提案等」)
理解度を確認する問題
問題: ストーカーの動機として「相手も自分を愛している」と誤認し、関係を築こうとするタイプはどれか?
- 拒絶型
- 愛着型
- 報復型
- 捕食型
正解: 2. 愛着型
関連キーワード
- ストーカー規制法
- サイバーストーキング
- 執着・認知の歪み
- パーソナリティ障害
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覚え方
「ストーカー = しつこい、思い込みが激しい、やめられない」
→ 執着 と 拒絶への過敏性 がキーワード
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