事実や経験を意識的に思い出すことができる記憶のこと
簡単な説明
宣言的記憶は、私たちが意識的にアクセスできる記憶です。これは、経験した出来事や学んだ知識を含むもので、エピソード記憶と意味記憶に分けられます。エピソード記憶は具体的な出来事の記憶で、意味記憶は事実や概念の記憶です。
由来
宣言的記憶は、エンドル・トゥルビットが1972年に提唱したもので、エピソード記憶と意味記憶の二つに分類されます。この概念は、記憶の仕組みを理解するための基礎となっています。
具体的な説明
宣言的記憶は、日常生活での経験や学んだ事実を意識的に思い出す能力です。この記憶は、具体的な出来事や言葉、場所、時間に関連しています。例えば、昨日の夕食に何を食べたか、数学の公式などを覚えているのは宣言的記憶の一例です。
エリザベス・ロフタスの有名な実験では、目撃者の記憶がどのように歪められるかを調べました。参加者に自動車事故のビデオを見せ、その後質問をすることで、質問の仕方が記憶に影響を与えることが示されました。これにより、宣言的記憶は非常に柔軟で、影響を受けやすいことが分かりました。
大学レベルでは、宣言的記憶は長期記憶の一部として詳しく研究されます。これは、ヒッポキャンパス(海馬)を中心にした脳の領域が関与しており、情報の符号化、保存、検索のプロセスが含まれます。エピソード記憶は特定の出来事に関連し、意味記憶は一般的な知識や概念に関連します。
例文
「昨日の学校での出来事を友達に話すとき、その内容を覚えているのは宣言的記憶のおかげです。」
疑問
Q: 宣言的記憶にはどのような種類がありますか?
A: 宣言的記憶は、エピソード記憶と意味記憶の二つに分類されます。エピソード記憶は個人的な経験に基づく記憶、意味記憶は一般的な知識や事実に基づく記憶です。
Q: 宣言的記憶と手続き記憶の違いは何ですか?
A: 宣言的記憶は意識的に思い出せる記憶で、事実や経験を含みます。一方、手続き記憶は無意識に行う技能や習慣の記憶です。
Q: 宣言的記憶の形成に関わる脳の部位はどこですか?
A: 主にヒッポキャンパス(海馬)が関与しています。また、前頭前皮質も重要な役割を果たします。
Q: エピソード記憶と意味記憶の違いを教えてください。
A: エピソード記憶は具体的な出来事や経験に基づく記憶で、意味記憶は言葉や概念、一般的な知識に基づく記憶です。
Q: 宣言的記憶の研究で重要な実験は何ですか?
A: エリザベス・ロフタスの目撃者の記憶に関する実験が有名です。この実験では、質問の仕方が記憶に影響を与えることが示されました。
理解度を確認する問題
宣言的記憶に含まれるのは次のうちどれですか?
- 自転車の乗り方
- 昨日の夕食に何を食べたか
- 心拍数の制御
- 反射行動
回答: 2. 昨日の夕食に何を食べたか
宣言的記憶を形成するのに最も重要な脳の部位はどれですか?
- 小脳
- 扁桃体
- ヒッポキャンパス(海馬)
- 延髄
回答: 3. ヒッポキャンパス(海馬)
関連キーワード
- エピソード記憶
- 意味記憶
- ヒッポキャンパス(海馬)
- ロフタスの実験
- 長期記憶
関連論文
Elizabeth Loftusの「目撃者の記憶に関する実験」
エリザベス・ロフタスは、目撃者の記憶がどのように影響されるかを研究しました。彼女の実験では、参加者に自動車事故のビデオを見せ、その後に異なる質問の仕方を用いて記憶をテストしました。
質問の仕方によって、参加者の記憶が歪められることが明らかになりました。例えば、「車が速く走っていたときにどのくらいのスピードで衝突しましたか?」という質問と、「車がゆっくり走っていたときにどのくらいのスピードで衝突しましたか?」という質問では、衝突の速度に関する記憶が異なる結果となりました。この実験は、宣言的記憶が非常に柔軟であり、外部からの影響を受けやすいことを示しています。
Tulvingの「エピソード記憶と意味記憶の二重プロセス理論」
エンドル・トゥルビットは、エピソード記憶と意味記憶の二重プロセス理論を提唱しました。この理論では、エピソード記憶が個人的な出来事の記憶であり、意味記憶が一般的な知識や事実の記憶であることを示しています。
トゥルビットの研究では、記憶の種類ごとに異なる脳の領域が関与していることが示されました。特に、エピソード記憶には海馬が重要な役割を果たしており、意味記憶には前頭前皮質が関与しています。この研究は、記憶の構造と機能を理解するための重要な基盤となっています。
覚え方
「宣言的記憶」は、「エピソード(出来事)を知識として宣言する記憶」と覚えましょう。具体的には「エピソード記憶のE」と「意味記憶のS」で「ES」と覚えると良いでしょう。
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