夢中になれることに報酬を提示されると急にモチベが下がること
簡単な説明
アンダーマイニング効果は、教育や職場などの場面でよく見られます。たとえば、子供が純粋に楽しんで読書をしていたのに、読書をするたびに報酬を与えるようになると、その子供は報酬がないと読書を楽しめなくなることがあります。
由来
アンダーマイニング効果は、心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンによって1970年代に提唱されました。彼らの自己決定理論(SDT: Self-Determination Theory)の一環として研究され、内的動機づけと外的動機づけの相互作用に焦点を当てています。
具体的な説明
アンダーマイニング効果とは、もともと内的動機づけ(楽しみや満足感など)によって行われていた活動に対して外的報酬(お金や賞など)が与えられると、その活動に対する内的動機が低下してしまう現象です。例えば、絵を描くことが好きで絵を描いていた人が、絵を描くことでお金をもらうようになると、その人の絵を描くことに対する楽しみや満足感が減少することがあります。
エドワード・デシの有名な実験では、被験者にパズルを解かせる実験が行われました。最初のセッションでは、被験者は内的動機づけのみでパズルを解きましたが、次のセッションでは報酬としてお金が与えられました。最終セッションで再び報酬を取り除くと、報酬を受け取っていた被験者のパズルを解く意欲が低下しました。この結果は、外的報酬が内的動機づけを低下させるアンダーマイニング効果を示しています。
アンダーマイニング効果は内的動機づけと外的動機づけの相互作用として研究されます。デシとライアンの自己決定理論によれば、内的動機づけは自己決定感や有能感、関係性の感覚に基づくものであり、外的報酬はこれらの感覚を弱める可能性があります。実験や調査を通じて、外的報酬が内的動機を低下させるメカニズムが解明されています。
例文
「もともと絵を描くことが好きだった子供が、絵を描くことでお金をもらうようになると、次第に絵を描くこと自体を楽しめなくなってしまうことがあります。これがアンダーマイニング効果です。」
疑問
Q: アンダーマイニング効果はどのような場面でよく見られますか?
A: 教育や職場、スポーツなど、内的動機づけで行われている活動に外的報酬が与えられる場面でよく見られます。
Q: アンダーマイニング効果はどのように防ぐことができますか?
A: 内的動機づけを維持するためには、報酬を与える際に自己決定感や有能感を強調し、外的報酬を行動の認識としてではなく、達成の結果として提示することが重要です。
Q: 全ての外的報酬がアンダーマイニング効果を引き起こすのですか?
A: いいえ、外的報酬の種類やタイミング、報酬の認識方法によって異なります。情報的報酬(フィードバックなど)は、内的動機を高める場合もあります。
Q: アンダーマイニング効果の例として、スポーツの場面ではどのようなものがありますか?
A: 例えば、子供が楽しんでサッカーをしている場合、報酬としてお金や賞品を与えると、その子供は報酬がないとサッカーを楽しめなくなることがあります。
Q: 自己決定理論とは何ですか?
A: 自己決定理論は、エドワード・デシとリチャード・ライアンによって提唱された理論で、内的動機づけが自己決定感、有能感、関係性の感覚に基づくものであると説明しています。
理解度を確認する問題
問題:アンダーマイニング効果とは何ですか?
a) 外的報酬が内的動機を高める現象
b) 外的報酬が内的動機を低下させる現象
c) 内的動機が外的報酬を低下させる現象
d) 内的動機が外的報酬を高める現象
回答:b
問題:アンダーマイニング効果を防ぐためにはどのようなことが重要ですか?
a) 報酬を頻繁に与える
b) 報酬を達成の結果として提示する
c) 報酬を全く与えない
d) 内的動機づけを無視する
回答:b
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参考論文
Deci, E. L., & Ryan, R. M. (1985). Intrinsic Motivation and Self-Determination in Human Behavior. Springer.
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