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態度の3成分(ABCモデル)

abcmodel 健康・福祉

人の態度は「感情」「認知」「行動」の3つの要素から成り立つこと

簡単な説明

態度って、感情(好き・嫌い)、考え・認知(こういうものだ)、行動(やる・やらない)の3つでできてるって話です。

たとえば、推しのアイドルがいたら、
「めっちゃ好き!」(感情)
「歌もうまいし、性格も良い!」(認知)
「ライブ行くしかない!」(行動)
って感じで態度ができています。
でも、「健康に悪いのにタバコやめられない」みたいに、矛盾しちゃうこともありますね。

由来

態度の3成分モデル(ABCモデル)は、心理学者 ローゼンバーグ(M.J. Rosenberg)ホヴランド(C.I. Hovland) によって提唱された理論です。このモデルは、社会心理学やマーケティング、教育、政治学など幅広い分野で応用されています。

具体的な説明

態度とは、ある対象(人、物、出来事など)に対する評価や反応のことを指します。この態度は次の3つの要素から成り立っています。

日常生活では、私たちはさまざまな対象に対して態度を持ち、それに基づいて行動をとります。たとえば、あるブランドのスマートフォンが好きな場合、それは以下のように説明できます。

  • 感情的成分:「このスマホはかっこよくて好き!」
  • 認知的成分:「このスマホは性能が良くて、カメラも高性能だ。」
  • 行動的成分:「次も同じブランドのスマホを買おう。」

この3つがそろうことで、一貫した態度が形成されます。

  1. 感情的成分(Affective component)
    • その対象に対してどう感じるか。好き・嫌い、快・不快などの感情的反応を指します。
    • 例:「この映画は大好き!」
  2. 認知的成分(Cognitive component)
    • その対象について何を知っているか、どう考えるか。信念や知識に基づいた評価を指します。
    • 例:「この映画は評価が高いし、賞もたくさん取っている。」
  3. 行動的成分(Behavioral component)
    • その対象に対してどのような行動をとるか。実際の行動や意図を指します。
    • 例:「映画の続編が出たら絶対に観に行く!」

心理学では、態度の3成分モデルは「ABCモデル(Affect, Behavior, Cognition)」とも呼ばれています。このモデルは、以下の点で重要視されています。

  1. 態度は学習される
    • 環境や経験を通じて、感情、認知、行動の各成分が形成される。
  2. 態度の一貫性(Attitude Consistency)
    • 感情、認知、行動は通常一致するが、場合によっては矛盾が生じることもある(例:ダイエットしたいが、ケーキを食べる)。
  3. 態度の変化
    • 認知的不協和(Festinger, 1957)によって態度が変化することがある。例えば、「環境に優しい車を買いたい」と思っていたが、価格が高すぎて買えない場合、自分の態度を「環境に優しい車はそこまで重要ではない」と修正することがある。

例文

  1. スポーツの例
    • 感情:「サッカーが大好き!」
    • 認知:「サッカーは運動能力を高めるし、仲間意識も育つ。」
    • 行動:「毎週サッカーの練習に参加する。」
  2. ファッションの例
    • 感情:「このブランドの服が好き!」
    • 認知:「このブランドは品質が良く、流行のデザインが多い。」
    • 行動:「セールの時にまとめ買いする。」

疑問

Q: 3成分のうち、最も重要なのはどれですか?

A: どれが最も重要かは状況によります。感情的成分が強い場合(例:大好きなアイドル)、認知よりも感情が行動に影響を与えます。一方、科学的な判断では認知的成分が優先されることがあります。

Q: 3成分が一致しないことはありますか?

A: はい。例えば、「タバコは健康に悪い」と認知していても、喫煙習慣がある人は「リラックスできるからやめない」と行動が矛盾することがあります(認知的不協和の例)。

Q: 態度はどのように変化しますか?

A: 広告や教育、社会的圧力などの影響で変化します。例えば、環境問題の教育を受けた人は、プラスチックの使用を減らす行動をとるかもしれません。

Q: 感情的成分と認知的成分が矛盾するとどうなりますか?

A: 認知的不協和が発生し、人はその矛盾を解消しようとします。例えば、タバコを吸う人が「タバコは害があるが、自分は長生きできるはずだ」と考えることがあります。

Q: 行動成分が変わると態度も変わりますか?

A: はい。たとえば、最初は興味がなかったボランティア活動を続けることで、「この活動は価値がある」と態度が変化することがあります(行動が態度を変える例)。

Q: 態度の3成分(感情・認知・行動)は常に一致するのですか?

A: いいえ、必ずしも一致するとは限りません。例えば、「環境に優しい生活をしたい(認知的成分)」と思っていても、「実際にエコバッグを持ち歩かない(行動的成分)」といった矛盾が生じることがあります。このような矛盾を「言行不一致」と呼び、研究でも指摘されています。(参考:JSTAGEの研究)

Q: 態度の3成分の中で、特に行動を変えやすい要素はどれですか?

A: 認知的成分(知識や信念)が変わると、行動的成分も変わりやすいことが研究で示されています。例えば、「喫煙が健康に悪い」という情報(認知的成分)を繰り返し伝えることで、禁煙しようとする行動(行動的成分)が増える傾向があります。(参考:名古屋大学の論文)

Q: 感情的成分(好き・嫌い)が強いと、態度の他の成分にも影響を与えますか?

A: はい。感情的成分は態度全体を強く支配することが多く、特に「ポジティブ」「ネガティブ」の感情が強いと、認知や行動にも影響を及ぼします。例えば、大好きなアーティスト(感情的成分)がいると、その人のグッズをたくさん買ったり(行動的成分)、その人の良い情報ばかりを信じる(認知的成分)といった傾向が見られます。(参考:社会的態度の構造的研究)

Q: 急激に態度が変化することはありますか?

A: はい、特に強い感情的な体験や新しい情報を得ることで急激に態度が変わることがあります。例えば、ある食品が健康に良いと思っていた(認知的成分)が、突然「発がん性がある」というニュースを見た途端、一気にその食品を避けるようになる(行動的成分)といった事例があります。(参考:言行一致の社会心理学試論)

Q: 態度の3成分が矛盾すると、人はどう感じるのですか?

A: 人は態度の3成分が矛盾すると「認知的不協和」と呼ばれる不快感を抱きます。この不快感を減らすために、行動を変える(例:禁煙する)、認知を修正する(例:タバコの害はそこまで大きくないと考える)、または感情を変える(例:タバコを好きではなくなる)といった対応をとることがあります。(参考:フェスティンガーの認知的不協和理論)

理解度を確認する問題

態度の3成分モデルに含まれないものはどれか?

A. 感情的成分
B. 認知的成分
C. 行動的成分
D. 生理的成分

正解:D. 生理的成分

関連キーワード

  • ABCモデル
  • 社会心理学
  • 態度の変化
  • 認知的不協和
  • ラピエールの研究

関連論文

「態度構造研究の最近の傾向と問題点」

https://nagoya.repo.nii.ac.jp/record/2486/files/KJ00000726146.pdf

この論文では、態度が「認知的成分」「感情的成分」「行動的成分」の3つから構成され、これらの成分間には高い一貫性があることが示されています。

態度の各成分は相互に関連し合い、一貫した態度を形成することが明らかになりました。例えば、ある対象に対する認知(知識や信念)がポジティブであれば、感情(好意)や行動(接近行動)もポジティブになる傾向があります。

「言行一致の社会心理学試論 – 態度と行動の関連性の問題への適用」


リンク: https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/24/4/24_458/_pdf/-char/ja

この研究では、態度の3成分間の関係性が必ずしも明確でないことが指摘されています。特に、感情的成分と行動的成分の間に不一致が生じる場合があることが示唆されています。

人々の態度は必ずしも感情、認知、行動が一致するとは限らず、特定の状況や個人の特性によってはこれらの成分間にズレが生じる可能性があります。例えば、環境問題に関心(認知的成分)を持ちながらも、具体的な行動(行動的成分)に移せない場合などが考えられます。

「社会的態度の構造的研究」


リンク: https://www.kwansei.ac.jp/s_sociology/kiyou/37/37_ch09.pdf

この論文では、態度を構成する3成分の詳細な分析が行われています。特に、各成分がどのように相互作用し、全体的な態度を形成するかが検討されています。

態度の各成分は独立して存在するのではなく、相互に影響を及ぼし合いながら全体的な態度を形成します。例えば、ある製品に対するポジティブな感情(感情的成分)が、その製品に関する情報収集(認知的成分)を促進し、最終的には購買行動(行動的成分)につながるといったプロセスが考えられます。

「社会心理学における態度研究への基礎心理学の貢献― Implicit attitudes」


リンク: https://www.jstage.jst.go.jp/article/psychono/36/2/36_36.38/_pdf

この研究では、態度が必ずしも「認知」「感情」「行動」の3成分に明確に分けられるものではないことが示されています。特に、潜在的な態度(implicit attitudes)の存在が指摘され、これらが行動に影響を与える可能性が示唆されています。

人々の態度には、意識的に認識される顕在的なものだけでなく、無意識のうちに形成される潜在的なものも存在します。これらの潜在的態度は、直接的な認知や感情としては捉えられないものの、行動に影響を及ぼすことがあるため、態度研究においてはこれらも考慮する必要があります。

「態度変容論 −Boomerang効果の考察−」


リンク: https://www.i-repository.net/contents/outemon/ir/301/301671205.pdf

この論文では、態度変容に関する研究が紹介され、特に「ブーメラン効果」と呼ばれる、説得が逆効果となり態度が強化される現象が検討されています。

説得的なコミュニケーションが必ずしも期待通りの態度変容を引き起こすとは限らず、場合によっては逆効果となること

覚え方

A(愛情)B(勉強)C(行動)

  • A(Affective)= 愛情(感情)
  • B(Behavior)= 勉強(行動)
  • C(Cognition)= 考える(認知)

「愛情を持ち、勉強して、行動する」と覚えるとスムーズ!

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