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情報オーバーロード(Information Overload)

planning-fallacy 行動経済学
planning-fallacy

「処理できる量を超える情報が一気に入ってきて、考える・決める・覚える力が落ちる状態」のことです。

簡単な説明

情報オーバーロードってのは、脳のタブを開きすぎてフリーズしてる状態です。

「全部読もう」「全部比べよう」をやると、逆にミスったり決められなくなるので、見る情報を減らして、比較ポイントも3〜4個に絞るのがコツです。

由来

「information overload(情報オーバーロード)」という表現は、社会科学者のBertram Grossが1964年の著書『The Managing of Organizations: the Administrative Struggle』で用いた(「造語した」とされる)と紹介されています。

その後、未来学者のAlvin Tofflerが1970年の『Future Shock』で広く知られるようにしました。

具体的な説明

人の脳は、入ってきた情報を全部同時には処理できません。

だから、ニュース・SNS・友だちの話・宿題・投資の情報みたいに、いろいろな情報が同時に来ると、「大事な情報を見落とす」「決められない」「間違える」が起きやすくなります。

一般的な説明(押さえるべきポイント)

  • 情報が多すぎると、理解が浅くなり、判断の質が下がりやすい
  • 特に「選択肢が多すぎる」状況は、最初は魅力的でも、決める行動が減ることがある

大学レベルの説明(心理学検定向け)

1) 処理容量(ワーキングメモリ)の限界

古典的には、短期記憶/処理の限界を「7±2」程度の「まとまり(チャンク)」で説明する考えがあります(Miller, 1956)。

その後の議論では、より厳密には「約4(3〜5)」程度の容量を支持する整理もあります(Cowan, 2001)。

→ つまり「情報量」だけでなく、同時に保持・比較・更新する負荷が増えるとオーバーロードになります。

2) 量だけでなく「複雑さ・矛盾・時間制約」が効く

レビュー研究では、意思決定者の処理能力を超える情報負荷(量・複雑さ・矛盾など)が意思決定の質を下げる、という整理がされています(Roetzel, 2019)。


具体的な実験と結果(数値つき)

実験1:ジャムの選択肢(選択過多=choice overload)

研究:Sheena S. Iyengar & Mark R. Lepper(2000)

条件:ジャムが6種類 vs 24種類

結果:

  • 「立ち止まった人」:24種類は60%(145/242)、6種類は40%(104/260)
  • 「購入した人」:6種類は約30%(31人)、24種類は約3%(4人)

結論:選択肢が多いほど「最初の興味」は増えても、購入(意思決定の実行)は減りやすい

実験2:割り込み(中断)と意思決定の質

研究:Speierら(1999)

結果:仕事中の割り込み頻度が上がると、意思決定の正確さが下がり、意思決定時間が増えるなど、情報オーバーロードの観点から説明できる結果が報告されている

結論:情報の「量」だけでなく、中断が処理資源を奪い、負荷を上げる

例文

「SNS通知が鳴り続けて情報オーバーロードになり、宿題のミスが増えました」

「投資アプリの指標を20個も同時に見て情報オーバーロードになり、結局何も決められませんでした」

疑問

Q
情報オーバーロードは「情報が多い」だけで起きますか?
A

いいえ、量だけでなく、複雑さ、矛盾、時間制約、割り込みなどで処理資源が足りなくなると起きます。

Q
「選択肢が多いほど良い」は間違いですか?
A

常に間違いではありませんが、条件によっては多すぎる選択肢が意思決定を邪魔します。ジャム研究では、24種類の方が立ち止まりやすい一方、購入は大きく減りました。

Q
ワーキングメモリ容量は「7±2」なんですか? それとも「4」なんですか?
A

古典的な整理として7±2が有名ですが、その後の研究のまとめでは3〜5(約4)がより妥当とされる議論もあります。問題文の文脈(短期記憶・チャンク化・課題)で使い分けるのが大切です。

Q
情報オーバーロードになると、具体的に何が悪化しますか?
A

理解の浅さ、見落とし、意思決定の遅れや質低下が起きやすいです。割り込み研究でも正確さや時間への影響が示唆されています。

Q
情報オーバーロードは訓練で克服できますか?
A

ある程度は可能です。専門家は情報をより効率的にチャンク化し、関連情報をパターンとして認識できるため、同じ情報量でも処理負荷が低くなります。ただし、誰にでも処理容量の上限はあり、完全に克服することはできません。

Q
マルチタスクは情報オーバーロードを引き起こしますか?
A

はい、非常に引き起こしやすいです。マルチタスクは実際には「タスク切り替え」であり、切り替えのたびにワーキングメモリが消費され、認知的コストが発生します。複数のタスクを同時進行させようとすると、どちらのタスクも質が低下します。

Q
デジタルデバイスの通知は情報オーバーロードにどう影響しますか?
A

通知は「割り込み」として機能し、思考の連続性を壊します。Speierら(1999)の研究が示すように、頻繁な中断は意思決定の質を下げ、時間も増やします。重要な作業中は通知をオフにすることが推奨されます。

Q
選択肢が多いことが有利に働く場合はありますか?
A

はい、あります。以下の条件では選択肢が多い方が良い場合があります:

  • 専門知識が高く、比較軸が明確な場合
  • 時間的余裕がある場合
  • 選択自体を楽しんでいる場合(趣味の領域など)

Iyengarらの研究も「常に少ない方が良い」とは言っていません。

Q
情報オーバーロードと「決定疲れ」は同じですか?
A

関連していますが異なります。情報オーバーロードは「一度に処理する情報が多すぎる」状態で、決定疲れ(decision fatigue)は「連続的な意思決定で認知資源が枯渇する」状態です。ただし、情報オーバーロードは決定疲れを加速させる要因になります。

Q
視覚的な情報整理(図表など)は情報オーバーロードを減らせますか?
A

はい、効果的です。視覚的な整理は情報のチャンク化を助け、関係性を一目で把握できるようにします。ただし、図表自体が複雑すぎると逆効果になるため、シンプルで明確なデザインが重要です。

Q
SNS疲れは情報オーバーロードと関係ありますか?
A

密接に関係しています。SNSは大量の情報(投稿、通知、メッセージ)を連続的に提供し、しかも社会的比較や即応性のプレッシャーも加わるため、情報オーバーロードの典型的な環境です。定期的なデジタルデトックスが推奨されます。

Q
投資判断で情報オーバーロードを避けるには?
A

以下の戦略が有効です:

  • 見る指標を3〜5つに絞る(チャンク化の原則)
  • 情報源を信頼できる2〜3つに限定
  • 定期的な見直しタイミングを決める(常時監視しない)
  • 意思決定ルールを事前に設定しておく

これにより「比較すべき情報」を減らし、処理負荷を下げられます。

Q
子どもは大人より情報オーバーロードになりやすいですか?
A

はい、一般的にそうです。子どものワーキングメモリ容量は発達途上であり、情報の取捨選択能力や優先順位づけのスキルも未熟です。そのため、同じ情報量でも子どもの方がオーバーロードになりやすく、学習や課題遂行への影響も大きくなります。

Q
情報オーバーロードは身体的な症状も引き起こしますか?
A

はい、引き起こす可能性があります。慢性的な情報オーバーロードは:

  • ストレスホルモン(コルチゾール)の上昇
  • 頭痛や眼精疲労
  • 睡眠の質の低下
  • 集中力の持続的な低下

などの身体症状につながることが報告されています。認知的負荷は身体的健康とも関連します。

Q
情報オーバーロードは年齢によって起きやすさが変わりますか?
A

はい、変わります。一般的に高齢者はワーキングメモリ容量の低下や情報処理速度の減少により、若年者よりも情報オーバーロードになりやすい傾向があります。逆に、デジタルネイティブの若年層でも、SNSなどの連続的な情報流入により慢性的なオーバーロード状態になるリスクがあります。年齢による認知機能の違いと、情報環境の違いの両方が影響します。

Q
音楽を聴きながら作業すると情報オーバーロードになりますか?
A

課題と音楽の種類によります。単純作業や慣れた作業では、音楽が邪魔にならないことが多いです。しかし、言語理解や複雑な思考を要する作業では、特に歌詞のある音楽は言語処理資源を奪い、オーバーロードを引き起こしやすくなります。インストゥルメンタル音楽や環境音は比較的影響が少ないとされています。

Q
情報オーバーロードと「分析麻痺(analysis paralysis)」は同じですか?
A

密接に関連していますが、厳密には異なります。情報オーバーロードは「処理容量を超える情報が入ってきている状態」で、分析麻痺はその結果として「分析しすぎて決められなくなる状態」です。情報オーバーロードが分析麻痺を引き起こす主要な原因の一つと言えます。

Q
チームでの意思決定では、情報オーバーロードはどう影響しますか?
A

グループ場面では個人以上に深刻になることがあります。各メンバーが異なる情報を持ち込み、意見の対立や矛盾が生じると、統合すべき情報量が爆発的に増えます。さらに、「誰かが処理してくれる」という社会的手抜き(social loafing)も加わり、結果として重要な情報が見落とされたり、質の低い合意に至るリスクが高まります。

Q
「情報の質」は情報オーバーロードに影響しますか?
A

大きく影響します。Roetzel(2019)のレビューでも指摘されているように、情報の「矛盾」「不整合」「冗長性」「曖昧さ」が高いほど、同じ情報量でも処理負荷が増大します。質の低い情報(信頼性が不明、出典不明確)は、検証のための追加処理を要求するため、オーバーロードを加速させます。

Q
緊急時(災害、事故など)では情報オーバーロードはどう影響しますか?
A

緊急時は時間制約とストレスが加わるため、情報オーバーロードの影響が特に深刻になります。複数の情報源からの矛盾する情報、不完全な情報、頻繁な更新が重なり、適切な判断が困難になります。このため、緊急時対応では「情報の一元化」「優先順位の明確化」「標準手順の確立」が重要とされています。

Q
「フィルターバブル」は情報オーバーロードと関係ありますか?
A

逆説的な関係があります。フィルターバブル(アルゴリズムによる情報の選別)は、一見すると情報を絞り込むため、オーバーロードを防ぐように見えます。しかし実際には、同質的な情報が大量に流れ込み、かつ「見逃してはいけない」という心理的圧力が加わるため、別の形でのオーバーロードを引き起こします。また、多様性の欠如により判断の偏りも生じます。

理解度を確認する問題

情報オーバーロードの説明として最も適切なのはどれですか?

A. 情報が少なすぎて推論できない状態
B. 入力情報が処理容量を超え、判断の質が低下しやすい状態
C. 長期記憶が無限に増える状態
D. 感情がまったく動かない状態

正解:B

選択肢が多いほど意思決定行動が低下する可能性を示した研究として有名なのはどれですか?

A. ストループ課題
B. ジャムの店頭実験(6種類 vs 24種類)
C. ミルグラムの服従実験
D. パブロフの犬

正解:B

ワーキングメモリ容量について、古典的整理として有名な数値はどれですか?

A. 2±1
B. 4±1
C. 7±2
D. 12±5

正解:C

割り込み(中断)が多い環境で起きやすい現象として最も近いのはどれですか?

A. 処理資源が増えて正確さが上がる
B. 情報オーバーロードの観点から意思決定の正確さ低下・時間増加が起きうる
C. 長期記憶だけが選択的に強化される
D. どんな課題でも必ず成績が上がる

正解:B

「7±2」と「約4」の違いを最も適切に述べているのはどれですか?

A. どちらも同じ意味で、研究上の区別はない
B. 7±2は古典的整理、約4は後年の再検討で示されることが多い
C. 約4は視力の話である
D. 7±2は感情の数である

正解:B

関連キーワード

  • ワーキングメモリ(working memory)
  • 認知負荷(cognitive load)
  • 選択的注意(selective attention)
  • 選択過多/選択麻痺(choice overload)
  • 意思決定(decision making)
  • 割り込み(interruption)
  • チャンク化(chunking)
  • 情報の複雑性・矛盾(complexity/contradiction)

関連論文

1) Iyengar & Lepper (2000)

When Choice is Demotivating: Can One Desire Too Much of a Good Thing?
Journal of Personality and Social Psychology

概要

「選択肢は多いほど良い」という通念に対して、選択肢が多すぎると、むしろやる気や行動が下がることがある(choice overload)と示した研究です。3つの実験で検証しています。

解説

有名な店頭実験(Study 2):

  • スーパーマーケットでジャムの試食コーナーを設置
  • 条件1:24種類のジャム
  • 条件2:6種類のジャム

結果:

  • 「立ち止まる(関心)」:24種類の方が増えやすい(60% vs 40%)
  • 「購入(意思決定の実行)」:6種類の方が大きく高い(30% vs 3%)

重要点:従属変数が「好み」だけでなく、実際の行動(購入)になっている点(検定で狙われやすい)

解釈

選択肢が増えると、脳内で以下のプロセスが働きます:

  1. 比較コスト(情報処理負荷)が増える
  2. 後悔予期(「もっと良いのがあったかも」)が増える
  3. 正解探索モードになり満足しにくくなる

これにより「決める力」が落ちやすい、と解釈できます。

「情報オーバーロード」は「情報が多い」だけでなく、選択肢が多い=比較すべき情報が爆増することで起きる、という橋渡しになります。

注意点(限界):

  • 「常に選択肢が少ない方が良い」ではない
  • 知識が高い/好みが明確/比較軸が少ないなどの条件だと、多い選択肢が有利な場合もある(状況依存)

参照URL: https://faculty.washington.edu/jdb/345/345%20Articles/Iyengar%20%26%20Lepper%20%282000%29.pdf


2) Speier, Valacich, & Vessey (1999)

The Influence of Task Interruption on Individual Decision Making: An Information Overload Perspective
Decision Sciences

概要

「割り込み(中断)」が意思決定に与える影響を、情報オーバーロードの枠組みで説明した研究です。

ポイントは、情報の量だけでなく、途中で切られること自体が処理資源を消耗させる点です。

解説

研究の整理:情報オーバーロードがあると以下が起こり得る

  • 意思決定の質が下がる
  • 決定に時間がかかる
  • 混乱が増える

重要な発見:

  • 課題が単純な場合:割り込みが有利に働くこともある
  • 課題が複雑な場合:成績が下がる

→ 割り込み=常に悪、ではない(交互作用)

解釈

割り込みは、ワーキングメモリ上の「途中の状態(どこまで考えたか)」を保持できなくし、再構築コスト(思考の再立ち上げ)を増やします。

つまり、情報オーバーロードは:

  • 「入力が多い」だけでなく
  • 「思考の連続性が壊れることで実質的な処理容量が減る」

という形でも起きる、と解釈できます。

注意点(限界):

  • 実験課題の性質(単純/複雑)や割り込みの質(関連/無関連)で結果が変わり得る
  • 検定では「交互作用(課題難易度×割り込み)」として問われやすい

参照URL: https://www.interruptions.net/literature/Speier-DS99.pdf


3) Miller (1956)

The Magical Number Seven, Plus or Minus Two: Some Limits on Our Capacity for Processing Information
Psychological Review

概要

人が一度に処理・保持できる情報量には限界があり、それを象徴的に「7±2」で語った古典です。

短期記憶と情報処理容量の議論の出発点として超重要な論文です。

解説

Millerの主張:

  • 「人は情報処理で限界にぶつかる」という問題意識を提示
  • さまざまな課題で「だいたいこの辺が上限っぽい」という観察をまとめた

重要な概念:チャンク化(chunking)

  • 情報を「まとまり」にすると、同じ容量でも扱える内容が増える

:

  • バラバラの数字「1, 9, 4, 5」は4チャンク
  • 「1945年」とまとめれば1チャンク

解釈

「7±2」は「絶対値」というより、情報の単位(チャンク)や課題、符号化戦略で変わるものとして理解すると安全です。

情報オーバーロードの文脈では:

  • チャンク化できないバラバラ情報が大量に来ると破綻しやすい
  • という説明に直結します

注意点(限界):

  • 後年の研究では「もっと小さいのでは?」という再検討が進み、次のCowan(2001)に繋がる

参照URL: https://labs.la.utexas.edu/gilden/files/2016/04/MagicNumberSeven-Miller1956.pdf


4) Cowan (2001)

The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity
Behavioral and Brain Sciences

概要

Millerの「7±2」を再検討し、短期記憶の「中核容量」は約3〜5(代表値4)チャンクだ、という方向性を幅広い証拠でまとめた論文(ターゲット論文)です。

解説

Cowanの整理:

  • 「7±2」は修辞的・粗い見積もりの側面がある
  • 条件を絞ると3〜5チャンクの上限がより安定して見える

掲載情報:

  • Behavioral and Brain Sciences, 24(1), 2001
  • PubMedでも確認可能

解釈

検定で重要なのは、ここが「Miller否定」ではなく、「何を容量と呼ぶか」を厳密化した結果、見かけの容量と中核容量を区別した、という理解です。

情報オーバーロードの説明では:

  • 同時に比較すべき軸が増えるほどこの「中核」が埋まる
  • 判断が雑になる/遅くなるが起きやすい

とつなげられます。

注意点(限界):

  • 具体的な容量は課題・刺激・訓練・チャンク化で変動する
  • 「4は固定」ではなく、中心傾向として覚えるのがコツ

参照URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11515286/

覚え方

「4つ超えたら、頭が渋滞」
(同時に比べる軸は4つくらいまで、をイメージ)

選択肢が多いときは合言葉:「まず6つに絞る」
(ジャム研究の6種類を思い出す)

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