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半構造化面接(Semi-structured Interview)

semi-structured-interview 原理・研究法・歴史

質問の枠は決まっているけど、自由にやりとりもできる面接法のこと

簡単な説明

「半構造化面接ってのは、“ちゃんと聞くけど、カチコチには聞かない”ってやつ!だいたい決まってるけど、柔軟に人に合わせて話を広げられる“ゆるめのガイド付きトーク”だよ!」

由来

面接法は、心理学・教育・医療・社会学などで広く使われる質的調査・支援手法です。

従来の**構造化面接(質問も順番も固定)自由面接(会話に任せる)**の“いいとこ取り”として、1970年代以降に発展しました。

現在は、臨床心理士・公認心理師・発達支援・キャリアカウンセリングなどで広く用いられています。

具体的な説明

半構造化面接とは、あらかじめ用意された質問項目(インタビューフレーム)に基づきながら、状況に応じて順序変更・質問追加・自由応答も許容する面接法です。

3つの面接法の比較

面接形式質問の自由度
構造化面接固定(マニュアル通り)就職のSPI面接など
半構造化面接一部自由(枠あり)心理面接、発達相談
自由面接完全に自由心理カウンセリング初回面接など

特徴と利点:

  • 柔軟性と再現性のバランスが取れている
  • 面接者の技量が問われる(適切な傾聴・質問のタイミングが必要)
  • 面接の記録・分析がしやすく、質的研究にも使われる

構成例(発達相談の場合):

  1. 現在の主訴(困りごと)
  2. 発達歴(歩き始め、言葉、こだわりなど)
  3. 学校での様子
  4. 家庭内のコミュニケーション
  5. 本人の気持ちや希望

→ これらを軸に、面接者が相手に応じて問い直しや深掘りを行います。

例文

「彼女は発達相談で半構造化面接を受け、保護者と子どもの様子を丁寧に聞き取ってくれた。」

疑問

Q: 半構造化面接では質問は自由に変えていいのですか?

A: 基本の質問項目は守りますが、状況に応じて順番を変えたり、補足質問を入れたりすることが可能です。ただし、軸がブレないよう注意が必要です。

Q: 初心者でも半構造化面接はできますか?

A: 可能ですが、傾聴力・タイミングの見極め・柔軟な対応力が必要です。
教育・訓練を通じて習得することが望まれます。

Q: 質問が多すぎたら相手が話しづらくならない?

A: その通りです。一問一答にならないように、「聞くより聴く」が大切です。相手のペースに合わせて、質問の量や深さを調整します。

Q: 面接の記録はどうやって残しますか?

A: 面接中にメモを取り、終わった後に速やかに整理します。録音・録画をする場合は、必ず事前にインフォームド・コンセント(同意)が必要です。

Q: 半構造化面接は研究にも使えますか?

A: はい、特に質的研究(ナラティブ分析やグラウンデッド・セオリーなど)で広く使われています。回答の自由度があるため、当事者の深い体験や語りを引き出せます。

Q: 半構造化面接では、沈黙が続いた場合どうすればいいですか?

A1: 沈黙も重要な“心理的メッセージ”の一部です。
無理に急がず、相手が考えている時間として受け止めましょう。
適切なタイミングで「急がなくて大丈夫ですよ」と声かけするのも効果的です。

Q: 半構造化面接で“聞きづらいこと”を質問するには?

A: まずは信頼関係(ラポール)を築くことが優先です。
そのうえで、「少し答えづらい質問かもしれませんが…」と前置き**を入れて聞くと、相手の安心感が増します。

Q: 面接者によって結果が変わることはありますか?

A: はい、あります。
面接者の態度・雰囲気・質問のしかたによって、相手の答え方も変わるため、できるだけ一貫した対応と中立性の確保が重要です。

Q: 半構造化面接はどんな記録方法が適していますか?

A: 面接中のメモ+後からの詳細な再構成が基本です。
必要に応じて録音・録画も使いますが、その際は事前の同意(インフォームド・コンセント)が必須です。
録音記録は
逐語録(verbatim record)にして分析に使われることもあります。

Q: 半構造化面接は外国人や子どもにも使えますか?

A: はい、使えますが対象に合わせた工夫が必要です。
外国人の場合は文化的背景や語彙の調整、子どもには年齢に応じた言葉選び・視覚的補助などを取り入れ、柔軟に適応することが求められます。

Q: 半構造化面接を導入することで、離職率は下がりますか?

A: 間接的には下がる可能性があります。
面接を通じて求職者の価値観・志向・期待を深く理解し、企業文化や業務とのミスマッチを防ぐことができるため、早期離職の予防につながるとする研究結果があります(例:介護業界や若手社員対象の面接研究より)。

Q: 離職の主な原因は本人側にあるのですか?

A: そうとは限りません。
研究によると、離職の要因は本人の適性だけでなく、職場環境・教育体制・評価制度など企業側の対応にも関係しています。
→ 半構造化面接で、あらかじめ求職者の希望や懸念点を丁寧に聴くことが離職予防になります。

Q: 半構造化面接は中小企業に向いていますか?

A: はい、特に有効です。
中小企業は採用ブランドが弱く、エントリー数が限られがちですが、一人ひとりとの“濃い対話”を通して相互理解を深められる半構造化面接は、内定辞退やミスマッチ防止に役立ちます(出典:日本労務学会誌調査)。

Q: どのような質問が定着率向上につながるのですか?

A: 「これまでに大変だった経験」や「働く上で大切にしていること」など、本人の価値観や仕事観に触れる質問が重要です。
→ 応答から、組織文化との相性や、入社後の動機づけ要因を探ることができます。

Q: 半構造化面接で得た情報はどう活用すればよいですか?

A: 採用判断だけでなく、入社後の育成計画や配属の参考にも使えます。
たとえば、面接時に「成長環境がある職場を望む」と言っていた人には、OJTやメンター制度が整った部署に配属するといった対応が、離職予防に直結します。

理解度を確認する問題

半構造化面接の特徴として最も適切なものはどれか?

A. 完全に自由な会話形式
B. 質問と順序が固定されている
C. 一定の質問枠がありつつ柔軟にやり取りできる
D. 実施には資格が不要である

正解: C

半構造化面接で特に必要とされる技術はどれか?

A. 説得力
B. 答えを誘導する力
C. 傾聴と柔軟な質問力
D. 無表情で聞く能力

正解: C

関連キーワード

  • 面接法
  • 構造化 vs 自由面接
  • インタビューフレーム
  • 傾聴・受容・共感
  • 質的研究
  • ナラティブ

関連論文

中小企業における新卒採用行動に関する実証分析

本研究では、大企業7社と中小企業15社を対象に、新卒採用行動の実態を調査しました。特に、半構造化面接を用いた仮説構築型調査を実施し、企業規模による採用行動の違いを明らかにしています。​

主な結果:

  • 中小企業は大企業に比べて、エントリー者数や説明会の動員数が少なく、採用ブランド力が弱い傾向がある。​
  • 新卒採用の専任者数は、大企業が平均2.4人であるのに対し、中小企業は平均0人であり、多くが他業務と兼任している。​
  • 内々定辞退率は、中小企業が約23.7%と大企業の約18.3%より高い。​

解釈: 中小企業は採用ブランド力や人的資源の面で大企業に劣るため、採用活動においては、より柔軟で個別対応が可能な半構造化面接を活用することで、求職者とのマッチング精度を高め、内々定辞退率の低減につなげることが期待されます。​

覚え方

「決まってるけど、決めすぎない。それが半構造化。」
→ ちょうどよい“枠と自由”のバランスをイメージ!

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