サディスト

他人に苦痛を与えることに喜びや快感を感じる人のこと

簡単な説明

サディストとは、他人に対して身体的または精神的な苦痛を与えることで喜びや満足感を感じる人のことを指します。この行動は、性的な場面に限らず、日常生活の中でも見られることがあります。例えば、いじめや虐待行為、心理的な操作などが含まれます。

由来

「サディスト」という言葉は、フランスの貴族マルキ・ド・サド（Marquis de Sade）に由来します。彼は18世紀後半に生きた人物で、他人に対する暴力的な行為や性的な虐待を描いた作品で有名です。彼の名前が、他人に対する暴力や虐待に快感を覚える行動を示す「サディズム」の語源となりました。

セオドア・ミロン（Theodore Millon）は、アメリカの著名な心理学者であり、特にパーソナリティ障害の分類と診断に関する研究で知られています。彼はサディスティックパーソナリティ障害の特徴を明確にし、その診断基準を提案しました。

具体的な説明

セオドア・ミロンの研究において、サディスティックパーソナリティ障害（SPD）は、他人に対する冷酷な行動、攻撃性、支配欲を特徴とします。ミロンは、サディストがしばしば権力を求め、その権力を行使して他人を苦しめることに喜びを感じるとしています。彼の理論では、サディスティックな行動はしばしば過去の虐待やトラウマと関連しており、これらの経験がサディストの行動パターンを形成する一因となると考えられています。

セオドア・ミロンは、パーソナリティ障害の研究において、サディスティックな行動が様々な形を取ることを観察し、これを4つの主要なタイプに分類しました。彼の分類は、サディストの異なる動機や行動パターンを理解するための基盤を提供します。

具体的な説明文

激発型サディスト（Explosive Sadist）
- 特徴: 突発的な怒りや攻撃性を示し、爆発的に他人に対して暴力を振るいます。怒りの発作が頻繁に起こり、自己制御が難しい。
- 例: 些細なことで激昂し、家族や同僚に対して暴力を振るう。
暴君型サディスト（Tyrannical Sadist）
- 特徴: 強制的に他人を支配し、威圧的な態度で恐怖を植え付けます。常に他人をコントロールし、支配することに快感を覚えます。
- 例: 職場で部下に対して常に恐怖政治を行い、従わせるために暴力や脅迫を用いる上司。
強要型サディスト（Enforcing Sadist）
- 特徴: 法律や規則を口実に他人に苦痛を与える。自分が正しいと信じ、他人を罰することで自己満足を得ます。
- 例: 規則違反を見つけると過剰な罰を与え、他人を従わせることに快感を覚える警察官。
惰弱型サディスト（Spineless Sadist）
- 特徴: 自分の弱さや劣等感を補うために他人を虐待します。自分より弱い立場の人をターゲットにし、力を誇示することで自己肯定感を得ます。
- 例: 弱い立場の人々をターゲットにし、いじめや虐待を行う人。

ミロンの研究方法は主に臨床観察とパーソナリティ評価に基づいています。彼は、多数の患者を対象にしてパーソナリティ特徴を詳細に分析し、サディスティックな行動のパターンを明らかにしました。これにより、サディスティックパーソナリティ障害の診断基準と治療法の基盤が確立されました。

大学レベルの心理学では、サディスティックパーソナリティ障害はDSM-III-Rにおいて一時的に提案された診断カテゴリですが、DSM-IV以降の公式な診断カテゴリからは除外されています。それでもなお、ミロンの分類システムでは、サディスティックな特徴を持つ個人は他のパーソナリティ障害（例：反社会性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害）と重なることが多いとされています。