玉ねぎモデル

人間の自己開示の過程を段階的に説明するモデル

簡単な説明

自分の考えや感情、経験、価値観などを他人に伝える過程を段階的に説明するモデルのことです。

由来

玉ねぎモデルは、1973年に心理学者アーヴィング・アルトマンとダルマス・テイラーによって提唱されました。このモデルは、自己開示がいくつかの層（玉ねぎの皮）をむいていくように進行することを説明しています。

具体的な説明

玉ねぎモデルは、人間関係が発展する過程を示すための比喩的なモデルです。初対面のとき、人々は表面的な情報しか交換しませんが、関係が深まるにつれて、より深い個人的な情報が明らかになっていきます。この過程は、玉ねぎの皮をむいていくように進みます。

最初は、自己開示は表面的な情報（例えば、趣味や仕事）から始まります。次に、より個人的な情報（例えば、価値観や感情）が共有されるようになります。そして最終的には、非常に個人的で深い情報（例えば、トラウマや秘密）が共有されるようになります。

玉ねぎモデルは、自己開示の幅（広範なトピックについて話すこと）と深さ（特定のトピックについて詳細に話すこと）という2つの主要な次元で分析されます。自己開示の幅と深さが増すことで、関係性はより親密になります。アルトマンとテイラーは、自己開示のプロセスが互恵的であることが重要だとしています。つまり、一方が自己開示をすると、他方も同様に自己開示を行うことで関係が深まります。

アルトマンとテイラーの研究では、学生同士の対話を観察し、自己開示の過程を分析しました。彼らは、自己開示が段階的に進行することを確認し、また、自己開示の量と質が関係の発展に大きな影響を与えることを結論づけました。

玉ねぎモデルの階層

玉ねぎモデルには、自己開示の深さに応じた複数の階層があります。以下は、それぞれの階層とその特徴を説明します。

表層（外側の皮）
- 内容: 表面的な情報
- 例: 名前、職業、趣味、出身地
- 説明: 初対面の際に一般的に交換される情報です。リスクが低く、簡単に共有できる情報です。
中層（中間の皮）
- 内容: 個人的な情報
- 例: 好きな音楽、映画の好み、日常の出来事
- 説明: 表層よりも少し深い情報で、関係が少し進展すると共有されます。相手の趣味や関心を理解するための情報です。
内層（内側の皮）
- 内容: 感情や価値観
- 例: 価値観、信念、感情的な反応
- 説明: より親密な関係になった時に共有される情報です。感情や個人的な意見を含むため、自己開示のリスクも高まります。
核（中心）
- 内容: 非常に個人的で深い情報
- 例: トラウマ、秘密、深い恐怖や希望
- 説明: 最も親密な関係においてのみ共有される情報です。自己の核心部分に関わるため、非常に高いリスクを伴いますが、信頼関係を深めるためには不可欠です。