最初に見たり聞いたりした「数字(基準)」に、あとからの判断が引っぱられてしまう現象です。
簡単な説明
由来
アンカリング効果という名前の由来は、Tversky & Kahneman(1974)が示した「アンカー(錨:いかり)」という比喩から来ています。船が錨を下ろすと動きが制限されるように、最初に提示された数字がその後の推定を”固定”してしまう、という発想です。
心理学では「ヒューリスティック(近道の判断)」の一種として扱われており、調整(adjustment)が不十分になりやすい、と説明されています。
具体的な説明
たとえば「このテスト、平均点は80点だよ」と最初に聞くと、実際には平均が60点でも、あなたの予想は80点に近い数字になりやすいんです。最初の数字が”出発点”になって、そこから修正しようとしても、修正が足りずに近いところで止まってしまうからです。
アンカリング効果には、次のような特徴があります。
- 無関係な数字でも効果が出る:「ルーレットの出目」のような、課題とまったく関係のない数字でもアンカーとして働くことがあります
- 効果の強さは状況次第:課題の性質によって変わりますが、量的研究では、高アンカーと低アンカーの差の**約50%**程度が推定値に残るという指標(Anchoring Index)が報告されています
アンカリング効果がなぜ起きるのか、主に2つの説明モデルが有名です。
1. アンカリング&調整(Anchoring-and-adjustment)
人はまずアンカーを出発点にして、そこから上げ下げして見積もります。ただし調整は途中で打ち切られやすいので、結論としてアンカー寄りの値になってしまう、という説明です。
2. 選択的アクセス可能性(Selective accessibility)
最初に「それより上?下?」という比較判断をすると、アンカーに合う情報(理由・知識)が頭に浮かびやすくなります。その結果、最終的な絶対判断もアンカー方向へ寄ってしまう、という説明です(意味的プライミングに近い考え方)。
具体的な実験や観察手法と結論(数字入り)
実験1:Tversky & Kahneman(1974)の「ルーレット(Wheel of fortune)」
手続き
- 被験者は0〜100の数が出る”ルーレット”を回し、その数を見せられます(この数字は本題と無関係)
- 例:「国連加盟国のうちアフリカ諸国の割合は、その数字より大きい?小さい?」と先に比較させる
- 次に「では実際に何%くらい?」と推定させます
結果(有名な数値)
- アンカーが10のときの中央値推定:25%
- アンカーが65のときの中央値推定:45%
- 無関係な数字でも、推定がアンカー方向へ大きくズレました
実験2:Strack & Mussweiler(1997)の「選択的アクセス可能性」
手続き
先に比較質問(例:ある人物の年齢はXより上か下か)をさせてから、年齢を推定させます。
結論
比較段階で”それっぽい根拠”が活性化し、最終推定がアンカーに近づくことを支持しました。
実験3:Epley & Gilovich(2006)の「調整の不足がなぜ起きるか」
結論
自分で作ったアンカーからの調整でも、調整は十分に続かず、もっともらしいところで止まりやすいことを示しました。
例文
「最初に”このスマホは10万円くらい”と聞いたせいで、8万円でも安く感じた。これはアンカリング効果です」 「先生が”平均は80点”と言ったので、実際の平均が60点でも80点に近く予想してしまった。これもアンカリング効果です」
疑問
- Qアンカリング効果は、アンカーがデタラメでも起こりますか?
- A
はい、起こりえます。Tversky & Kahneman(1974)ではルーレットのような無関係な数でも推定が引っぱられました。
- Q「アンカリング=調整不足」だけが原因ですか?
- A
それだけではありません。比較質問によって関連情報が活性化するという「選択的アクセス可能性」の説明も有力です。
- Q専門家ならアンカリング効果は起きませんか?
- A
専門知識があっても起きることがあります。分野や課題次第で、専門家でもアンカーの影響を受けうることが議論されています(研究領域として継続的に検討されています)。
- Qアンカリング効果の「強さ」はどうやって数値化しますか?
- A
代表例がAnchoring Indexで、高アンカー条件と低アンカー条件の推定差が、アンカー差のどれくらい残ったか(割合)で表します。平均で約50%程度という報告があります。
- Q防ぐ方法はありますか?
- A
完全には難しいですが、以下のような対策が実務的によく使われます。
- 最初の数字を意識して「これはアンカーかも」とラベル付けする
- 別の独立した基準(統計・相場・過去データ)を複数用意する
- 最初に”幅(レンジ)”で見積もる
研究でも方略は検討されています。
- Qアンカリング効果は交渉でどう使われますか?
- A
交渉の最初に提示する金額(オファー)が、その後の交渉範囲を決める「錨」になります。たとえば給与交渉で年収800万円を先に提示すると、最終的な合意点も高めになりやすい。これを「先制アンカー(first-mover advantage)」と呼びます。研究では、最初のオファーが最終合意額の50%程度を説明することが示されています。
- Q価格表示の「通常価格」と「セール価格」の表示は、アンカリング効果を利用していますか?
- A
はい、典型的な応用例です。「通常価格19,800円→セール価格9,800円」という表示では、通常価格がアンカーとなり、セール価格が「お得」に感じられます。実際には通常価格で販売された実績が少なくても、最初の数字が価値判断の基準になります。
- Q裁判での求刑(検察の要求刑)は判決に影響しますか?
- A
影響する可能性が研究で示されています。Englich & Mussweiler(2006)の実験では、架空の求刑が高いほど、法律の専門家(裁判官含む)でも判決が重くなる傾向が見られました。たとえば求刑12ヶ月 vs 34ヶ月で、判決の中央値が25ヶ月 vs 33ヶ月に変化しました。
- Q「選択的アクセス可能性」と「確証バイアス」の違いは何ですか?
- A
どちらも「自分の仮説に合う情報を集めやすい」点で似ていますが、違いがあります。
- 選択的アクセス可能性: 比較判断の時点で、アンカー整合的な情報が自動的に活性化される(記憶検索の偏り)
- 確証バイアス: 自分の信念を守るために、意図的に支持する証拠を探し、反証を無視する(動機づけの偏り)
アンカリングは「無意識的・自動的」な側面が強いのが特徴です。
- Q「調整不足」は認知負荷(考える余裕)と関係ありますか?
- A
はい、強く関係します。Epley & Gilovich(2006)などの研究で、時間制限や認知負荷(同時に別の課題をする)があると、調整がさらに不十分になることが示されています。余裕がないと「もっともらしい値」で早めに止まってしまうためです。
- Qアンカーが「低すぎる/高すぎる」と分かっている場合でも効果は出ますか?
- A
出ることがあります。Strack & Mussweiler(1997)のStudy 3では、「あり得ない極端なアンカー」(例:ブランデンブルク門の高さは5メートルより高い?)でも同化効果が見られました。ただし、あまりに極端だと効果が弱まる、または対比(逆方向)に働く場合もあります。
- Q自分でアンカーを作った場合(自己生成アンカー)でも、他人から与えられた場合と同じくらい効果がありますか?
- A
効果は出ますが、メカニズムが異なる可能性があります。Epley & Gilovich(2006)によれば、自己生成アンカーの場合は「調整不足」の説明がよく当てはまり、外部提示アンカーの場合は「選択的アクセス可能性」の説明がよく当てはまる傾向があります。どちらも最終的にアンカー方向へ偏ります。
- Qアンカリング効果の強さは、課題の難しさ(知識の有無)で変わりますか?
- A
はい、一般的に変わります。自分がよく知らない課題ほど、アンカーに頼りやすくなります。ただし例外もあり、専門家でも時間制限や認知負荷があればアンカーの影響を受けることが示されています。「絶対的な知識」より「その場での処理資源」が重要だという示唆もあります。
- Q実験でアンカーを提示するタイミング(先に比較質問 vs いきなり推定)で効果は変わりますか?
- A
はい、変わります。Tversky & Kahneman(1974)の標準手続きは「先に比較→次に推定」ですが、いきなり推定させる場合でもアンカーを見せるだけで効果が出ることがあります。ただし比較判断を挟んだ方が、選択的アクセス可能性(アンカー整合情報の活性化)が働きやすく、効果が強まる傾向があります。
- Q性格(慎重さ、開放性など)でアンカリング効果の受けやすさは変わりますか?
- A
一部の研究で関連が示唆されていますが、一貫した結論は出ていません。一般的には、個人差よりも「課題の難しさ」「認知負荷」「時間制限」などの状況要因の方が効果に強く影響します。ただし、「認知的熟慮性(じっくり考える傾向)」が高い人は、やや効果が小さいという報告もあります。
- Q文化(東洋 vs 西洋など)でアンカリング効果の大きさは変わりますか?
- A
基本的な効果は文化横断的に頑健(どの文化でも起きる)ですが、一部の研究では東アジア圏の方がやや効果が大きいという報告もあります。これは「文脈重視の思考スタイル」や「調和を重んじる傾向」と関連する可能性が議論されていますが、まだ研究途上の領域です。
- Q年齢(子ども vs 大人)でアンカリング効果は変わりますか?
- A
子ども(特に小学生以下)は大人よりアンカリング効果が小さいことが複数の研究で示されています。理由として、子どもは「アンカーを出発点にして調整する」という方略をまだ十分に使わないため、という説明があります。効果は思春期〜成人で安定し、高齢者でも維持される傾向があります。
- Qアンカリング効果と「フレーミング効果」はどう違いますか?
- A
- アンカリング効果: 最初の**数字(量)**が判断を引っぱる
- フレーミング効果: 情報の**表現方法(言い方)**が判断を変える
例の違い:
- アンカリング: 「通常10万円→今8万円」(10万円がアンカー)
- フレーミング: 「生存率90%」vs「死亡率10%」(同じ内容だが印象が違う)
どちらも判断の偏りですが、アンカリングは「基準値の影響」、フレーミングは「記述の影響」です。
- Qアンカリング効果と「プライミング効果」の関係は?
- A
選択的アクセス可能性モデルは、アンカリングを数値的プライミング+意味的プライミングとして説明します。
- アンカーの数字を見る→その数字に近い値や関連概念が活性化(プライミング)→推定がアンカー方向へ偏る
つまりアンカリングは、「数字」という特殊な刺激に対するプライミング効果の一種、とも解釈できます。ただしプライミング一般よりも効果が強く、意識的な判断課題でも頑健に現れる点が特徴です。
理解度を確認する問題
アンカリング効果の説明として最も適切なものを1つ選びなさい。
A. 反復提示された刺激を好む傾向
B. 最初に与えられた数値が後の推定を偏らせる現象
C. 同調により判断が集団平均へ近づく現象
D. 強化により反応頻度が増える現象
正解:B
アンカーになりうるものはどれ?
A. 最初に見た価格
B. 直前に聞いた割合
C. 無関係なルーレット数
D. 全部
答え:D
「選択的アクセス可能性」モデルに近い説明はどれ?
A. 調整が途中で疲れて止まる
B. アンカーに合う情報が頭に浮かびやすくなる
C. 罰があると学習が進む
D. 体温で判断が変わる
答え:B
Tversky & Kahneman(1974)の有名例で、アンカー10のときの中央値推定は?
A. 10%
B. 25%
C. 45%
D. 65%
答え:B
Anchoring Index(AI)が約0.5(50%)というのは何を意味しやすい?
A. 推定がアンカー差の半分くらい引っぱられる
B. 推定が常に正解になる
C. アンカー効果がゼロ
D. 記憶容量が2倍
答え:A
自己生成アンカー(自分で思いついた基準)でも起きやすいのは?
A. 起きない
B. 起きるが、調整が不十分になりやすい
C. 必ず逆方向にズレる
D. 感情だけで決まる
答え:B
関連キーワード
- ヒューリスティック
- アンカリング&調整
- 選択的アクセス可能性
- セマンティック・プライミング
- 自己生成アンカー
- Anchoring Index(AI)
- 意思決定(判断と意思決定)
- 価格・交渉・WTP(支払意思額)
関連論文
アンカリング効果を理解する上で重要な5つの論文について、概要・解説・解釈を詳しく紹介します。
1. Tversky & Kahneman (1974) “Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases”
概要(研究の狙い・方法・主要結果)
この研究は、人が不確実な推定をするとき、最初に提示された数(アンカー)に引き寄せられることを示しました。
有名なデモンストレーションでは、0〜100の「(操作された)ルーレット」で10か65を見せた後、「国連加盟国のうちアフリカ諸国の割合」を推定させました。
結果:
- 10条件の中央値:25%
- 65条件の中央値:45%
無関係な数字でも推定が動くことが示され、さらに正確さへの報酬(インセンティブ)をつけても効果が減りにくいことが確認されています。
解説(ポイント)
ここで重要なのは、「10や65が”根拠ゼロ”でも、推定がズレる」ことです。”推定の出発点”が思考を支配するという、直感的だけど強力な現象を、心理学の代表例として定着させた研究です。
解釈(理論的含意・応用・限界)
- **含意:**人は「ゼロから推定」しているつもりでも、実際は出発点つきの探索(上げる/下げる)になりやすい
- **応用:**価格提示、交渉の初手、目標設定、報道の数値などで”最初の数”が判断の骨格になり得ます
- **限界:**この論文自体はアンカリング”も”扱う総説的論文で、メカニズムの精査は後続研究が担います
参照URL
https://www.science.org/doi/10.1126/science.185.4157.1124
https://bear.warrington.ufl.edu/brenner/mar7588/Papers/tversky-kahneman-science-1974.pdf
2. Strack & Mussweiler (1997) “Explaining the Enigmatic Anchoring Effect: Mechanisms of Selective Accessibility”
概要(研究の狙い・方法・主要結果)
この研究の狙いは、アンカリングは「数字が頭に残る」だけでなく、**アンカーに合う情報が頭に”検索されやすくなる(選択的アクセシビリティ)”**ことで起きる、という説明を検証することでした。
**Study 1:**非心理学専攻学生N=32。比較判断→絶対判断の流れで、**同じ次元(高さ→高さ)と別次元(高さ→幅)**を操作。
- **結果:**同じ次元の方がアンカリングが強い。交互作用F(1,28)=7.76, p<.01
**Study 2:**学生N=32(各セルn=8)。比較対象が同一か別物かで、同一なら同化(アンカー方向)、**別物なら対比(逆方向)**も起きうる。交互作用F(1,28)=6.30, p<.02
**Study 3:**学生69名(分析はn=67)。あり得ないアンカー(例:極端な年号等)でも同化が起きること、反応時間パターンが”意味処理”を示唆。主効果F(1,66)=7.61, p<.01
解説(ポイント)
「アンカー数そのもの」よりも、比較判断の過程で”アンカーに合う理由・知識を探す”→それが次の推定にも使われる、という流れが核心です。
Study 2の対比効果は、アンカリングが常に同化ではない(条件次第)ことを示して、理解を一段深くします。
解釈(理論的含意・応用・限界)
- **含意:**アンカリングは記憶検索・意味活性化のバイアスとして理解できる
- **応用:**交渉で相手の最初の提示に反論するとき、数字だけでなく、相手が誘発した「理由の探索」を断つ(別基準・別次元に切り替える)ことが重要
- **限界:**一般知識課題が中心で、実社会の価格・価値判断にどこまで一般化するかは、後続研究で強化されます
参照URL
https://bear.warrington.ufl.edu/brenner/mar7588/Papers/strack-mussweiler-jpsp97.pdf
3. Ariely, Loewenstein, & Prelec (2003) “Coherent Arbitrariness: Stable Demand Curves Without Stable Preferences”
概要(研究の狙い・方法・主要結果)
この研究の狙いは、アンカリングは「推定」だけでなく、”価値(WTP/WTA)”そのものがアンカーで形作られること、しかも一度できた価値は**首尾一貫して見える(coherent)**ことを示すことでした。
Experiment 1(普通の商品)
- **対象:**MBA学生N=55。社会保障番号下2桁をアンカーにして購入意思とWTPを測定。平均小売価格は約$70
- **結果:**中央値より上のSSN群は、下の群よりWTPが57%〜107%高い。上位五分位は典型的に約3倍。例:キーボード$56 vs $16。相関r=.319〜.516、多くがp≈.001〜.017
Experiment 3(痛み=不快音、賭け金10倍など)
- dfがt(88)なので概ね90名規模
- 100秒→300秒→600秒(増加)か、600→300→100(減少)でWTAが大きく乖離
- 初回:$3.78 vs $5.16(t(88)=3.1, p=.01)
- 300秒:$5.56 vs $3.65(t(88)=3.5, p<.001)
- 最終:$7.15 vs $2.01(t(88)=9.4, p<.0001)
Experiment 4(市場=オークション)
- MIT学生N=53
- 低アンカー群の平均入札(10/30/60秒):24¢/38¢/67¢
- 高アンカー群:47¢/$1.32/$2.11。主効果F(1,49)=20.38, p<.001
- 平均報酬(1音あたり)も$0.59 vs $0.08と大差。時間が経っても「両群が収束」せず
Experiment 5(複数アンカー)
- MIT学生N=44。初回アンカーの影響が特に強い
- 初回:33.5¢ vs 72.8¢(F(1,42)=30.96, p<.001)
- 2回目(同じ50¢アンカーでも)前の流れが残る:43.5¢ vs 63.2¢(F(1,42)=6.03, p=.02)
解説(ポイント)
この論文のキモは、**「最初は任意(arbitrary)なのに、その後は一貫して見える(coherent)」**という二段構えです。
つまり市場データで需要曲線がきれいでも、それが”安定した選好”を意味しない可能性がある、という挑戦的結論につながります。
解釈(理論的含意・応用・限界)
- **含意:**価値は”発見”されるだけでなく、最初の数(提示・経験)で”形成される”
- **応用:**初回価格、初回の見積り、最初の時給提示などが、その後の「相場観」を固定しうる
- **限界:**実験状況ではアンカーが強めに効く設計なので、現実では知識・比較情報・競争環境などで緩和される場合もあります(ただしExp4は”市場でも残る”側の証拠)
参照URL
https://www.cmu.edu/dietrich/sds/docs/loewenstein/CoherentArbit.pdf

Just a moment...
4. Epley & Gilovich (2006) “The Anchoring-and-Adjustment Heuristic: Why the Adjustments Are Insufficient”
概要(研究の狙い・主要主張)
この研究の狙いは、アンカリングのうち特に「調整(adjustment)がなぜ不足するのか」を実験で詰めることでした。
中心主張は、人は自己生成したアンカーから調整するが、調整は**”もっともらしい値に到達したところで止まりやすい”**ため不足しやすい、というものです。
論文構成としてStudies 1A/1B、2A/2B/2Cが示されています。
解説(ポイント)
Strack & Mussweiler(選択的アクセシビリティ)が「検索される情報の偏り」を強調するのに対し、Epley & Gilovichは”調整は努力的で、止めどころ(停止ルール)が甘いとアンカーに残る”という側面を強く押し出します。
解釈(理論的含意・応用・限界)
- **含意:**アンカリング低減には「アンカーを無視しよう」より、以下が重要という設計論になります
- 調整を続ける動機(正確性・説明責任)
- 調整できる余力(時間・認知資源)
- “十分条件”を厳しくする(根拠が揃うまで止めない)
- **限界:**各Studyの詳細な参加者数や効果量は、原文PDFで補うのが確実です
参照URL
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16623688/

Just a moment...
5. Furnham & Boo (2011) “A literature review of the anchoring effect”
概要(レビューの範囲・主張)
この論文の狙いは、アンカリング効果が**非常に頑健(robust)**であり、意思決定の多領域に影響し、複数のモデル・説明(メカニズム)が提案されていることを整理するレビューです。
解説(ポイント)
「アンカリング=1つの原因」ではなく、以下のような複数ルートを比較しながら理解すべき、という立場が取りやすくなります。
- 選択的アクセシビリティ(意味・知識検索の偏り)
- 調整不足(努力的調整が止まる)
- 会話的含意(“この値に意味があるのでは”と解釈する)
解釈(理論的含意・学習者向けの使い方)
心理学検定的には、「代表研究(T&K 1974)→メカニズム研究(Strack & Mussweiler / Epley & Gilovich)→応用と一般化(Arielyら、レビュー)」の流れで押さえると強いです。
注意点として、レビューは「何が分かっているか」の地図として有用ですが、個別効果の厳密な数値や条件は、元論文に戻る必要があります。
参照URL
https://doi.org/10.1016/j.socec.2010.10.008

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- 簡単な説明
- 由来
- 具体的な説明
- 例文
- 疑問
- 理解度を確認する問題
- 関連キーワード
- 関連論文
- 1. Tversky & Kahneman (1974) “Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases”
- 2. Strack & Mussweiler (1997) “Explaining the Enigmatic Anchoring Effect: Mechanisms of Selective Accessibility”
- 3. Ariely, Loewenstein, & Prelec (2003) “Coherent Arbitrariness: Stable Demand Curves Without Stable Preferences”
- 4. Epley & Gilovich (2006) “The Anchoring-and-Adjustment Heuristic: Why the Adjustments Are Insufficient”
- 5. Furnham & Boo (2011) “A literature review of the anchoring effect”
- 全体の読み分けミニまとめ
全体の読み分けミニまとめ
- 現象の提示:Tversky & Kahneman (1974)(まず”起きる”)
- 検索の偏り:Strack & Mussweiler (1997)(アンカー整合情報が出やすい)
- 価値の形成:Ariely et al. (2003)(価格・WTP/WTAが”作られて固定”)
- 調整の停止:Epley & Gilovich (2006)(もっともらしさで止まる)
- 全体地図:Furnham & Boo (2011)(モデル・領域・論点整理)
覚え方
「最初の数字は”いかり(錨)”」
→いかりを下ろすと船が大きく動けない=最初の数字が判断を固定します

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