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攻撃性/攻撃行動

Aggression 犯罪・非行

他人に苦痛や損害を与える意図のある行動や心の傾向のこと

簡単な説明

「ムカッとしても、暴れるか、こらえるかで“攻撃行動”かどうかが決まるんだよね。怒るのはOK、ぶつけ方が大事!」

由来

  • 攻撃性(aggression) は、怒りや敵意に基づいた心の性質(性格的傾向)
  • 攻撃行動(aggressive behavior) は、それが実際の行動として表現されたもの

心理学では「意図性があるかどうか」が非常に重要で、「相手を傷つけよう」とする意図がある場合、それを攻撃行動とみなします。

具体的な説明

たとえば、わざと友達を押したり、悪口を言ったり、物を壊したりするのは「攻撃行動」。
それをくり返してしまう気持ちやクセが「攻撃性」です。

攻撃行動の主なタイプ:

タイプ内容例
直接的攻撃殴る、蹴る、怒鳴る
間接的攻撃陰口を言う、仲間外れにする
衝動的(敵意的)攻撃怒りにまかせて突発的に殴る
計画的(道具的)攻撃他人を利用して自分の目的を果たす

代表的な実験と理論

バンデューラの「ボボ人形実験(1961)」
  • 概要:子どもが大人の攻撃的な行動(人形を殴る)を観察すると、そのまねをするかを調べた
  • 結果:大人の暴力を見た子どもは、同じように人形を叩いたり蹴ったりした
  • 解釈:攻撃行動は**「学習される」ものであり、見たものをまねること(観察学習)が影響する**

🧠 この理論は「社会的学習理論(Social Learning Theory)」の基礎です。

例文

「攻撃性が高い人は、ちょっとしたことで怒鳴ったり、暴力に訴える傾向がある。」

疑問

Q: 攻撃性は生まれつきですか?

A: 一部は生得的な要因(脳の働きやホルモン)もありますが、育った環境や人間関係、経験によって学習される部分も大きいです。

Q: 女の子でも攻撃的になりますか?

A: はい。ただし、間接的攻撃(陰口、仲間外し)として表れることが多く、男の子のように物理的攻撃とは形が異なることがあります。

Q: 怒っている人はみんな攻撃的なんですか?

A: いいえ。怒りを感じても、理性的に対処できる人も多くいます。怒り=攻撃ではなく、「怒りの表し方」が問題です。

Q: 攻撃性が高い人は犯罪をしやすいの?

A: 攻撃性が高いことは反社会的行動のリスク因子になりますが、全員が犯罪者になるわけではありません。周囲の支援や自己制御力が重要です。

Q: 攻撃性はなくせますか?

A: 完全になくすことは難しくても、怒りのコントロール方法(アンガーマネジメント)や対人スキルの学習で、行動を改善することは可能です。

Q: 攻撃性が高い人はリーダーになれないのですか?

A: いいえ。攻撃性の一部(主張性・自己主張の強さ)は、リーダーシップに活かされることもあります。ただし、他者への配慮や共感が伴わなければ「支配的」「威圧的」と受け取られる可能性があるため、バランスが大切です。

Q: 子どもがゲームやアニメを見て攻撃的になるのは本当ですか?

A: 一部の研究では、暴力的メディアの視聴が攻撃行動を一時的に増加させる傾向が報告されています。ただし、すべての子どもに影響が出るわけではなく、もともとの性格・育成環境・保護者の関わり方が重要な要因です。

Q: 攻撃行動を「うまく表現」する方法ってありますか?

A: はい。アサーティブ・コミュニケーション(自分の気持ちを正直に、でも相手を尊重しながら伝える方法)が効果的です。「怒り」を“攻撃”ではなく“意思表示”として伝える練習がポイントです。

Q: 攻撃的な人と距離を置いた方がいいですか?

A: 状況によります。自分や他人への被害が想定される場合は、安全を優先し距離を取るべきですが、根底に「助けを求めているサイン」があることも。学校や職場などでは専門家の介入が必要です。

Q: 攻撃性の少ない人はストレスをためやすいの?

A: はい。攻撃性を全く外に出せない(抑圧傾向が強い)人は、内在化されたストレスやうつ症状を抱えやすいという研究もあります。感情を適切に表現する「自己開示」のスキルが役立ちます。

理解度を確認する問題

以下のうち、「攻撃行動」に該当するものとして最も適切なのはどれか。

A. 偶然ぶつかってしまう
B. 間違って物を壊す
C. 怒りにまかせて物を投げつける
D. 友達の成功をねたむだけで何もしない

正解:C

関連キーワード

  • 観察学習(Observational Learning)
  • 社会的学習理論(Social Learning Theory)
  • アンガーマネジメント
  • 衝動性
  • 攻撃性パーソナリティ
  • ドメスティックバイオレンス(DV)
  • 攻撃抑制と自己制御

関連論文

Transmission of aggression through imitation of aggressive models

概要:攻撃行動が観察学習によって子どもに伝わるかを実験
結果:大人の行動を観察した子どもは、攻撃的な行動を真似しやすくなる傾向があった
解釈:暴力や攻撃的表現のあるメディアや家庭環境が、子どもの攻撃性を強めることがある

大学生の攻撃性の強さとキレ行動および情動コンピテンスとの関連性

概要:​関東圏の大学生348名を対象に、攻撃性、キレ行動(突発的な怒りの爆発)、情動コンピテンス(感情の認識と制御能力)の関連性を調査。​

結果:​攻撃性の高い学生ほど、怒鳴る・物に当たるなどのキレ行動が多く、特に感情制御が苦手な傾向が見られた。​

解釈:​怒りの感情を適切に認識・制御する能力(情動コンピテンス)が低いと、攻撃性が高まり、突発的な攻撃行動に繋がる可能性がある。​

攻撃行動からの学びに関する検討:意図的な遂行からその結果まで

概要:​過去に攻撃行動を経験した大学生を対象に、行動後の内省や学びについて質的に分析。​

結果:​能動的な攻撃(計画的な攻撃)を行った人は、自己理解や他者受容といった深い学びを得ていた。一方、反応的な攻撃(衝動的な攻撃)を行った人は、反省に留まり、内省が浅い傾向があった。​

解釈:​攻撃行動の後に内省する機会を持つことが、自己成長や他者理解に繋がる可能性がある。

攻撃的ツイートに対する拡散行動促進要因に関する探索的研究

概要:​攻撃的な内容を含むツイートに対する拡散行動(リツイートや「いいね」)の要因を調査。​

結果:​反応的攻撃性が高く、道徳的規範意識が低い人ほど、攻撃的ツイートを拡散する傾向があった。​

解釈:​個人の攻撃性や道徳観が、オンライン上での攻撃的な情報の拡散に影響を与えることが示唆された。

覚え方

「攻撃性=“やろうとする心”」「攻撃行動=“実際にやった行動”」

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