自分のやれる力を信じる感覚のこと
簡単な説明
「自己効力感」とは、自分がある状況や課題において、望む結果を達成できるという信念や自信を指します。
自己効力感は、健康行動、学業、職業、スポーツなど、さまざまな領域において重要です。自己効力感が高い人は、問題解決や目標達成に向けた行動を積極的に取ることが多く、困難に直面しても諦めずに粘り強く努力します。
由来
自己効力感は、カナダの心理学者アルバート・バンデューラ（Albert Bandura）によって提唱された概念です。1977年、バンデューラは「社会的認知理論（Social Cognitive Theory）」の一部として自己効力感の理論を発展させました。彼は、個人がどのようにして自分の行動を調整し、目標を達成するための努力を続けるかを理解する上で、この信念が重要な役割を果たすと考えました。
具体的な説明
自己効力感は、個人が特定の課題や挑戦に直面した際に、自分がそれを成功させる能力があると信じるかどうかを意味します。自己効力感が高い人は、難しい状況でも自分の能力を信じ、努力を続ける傾向があります。一方、自己効力感が低い人は、自分の能力に自信がなく、課題を前にして諦めやすいです。
バンデューラは、自己効力感が以下の4つの要素から影響を受けると考えました。
- 成功体験（Mastery Experiences）
過去に成功した経験があると、自分の能力に対する自信が強化され、自己効力感が高まります。 - 代理学習（Vicarious Experiences）
他者が同様の状況で成功しているのを見ることで、自分も成功できると感じ、自己効力感が高まります。 - 社会的説得（Social Persuasion）
他者からの励ましや肯定的なフィードバックを受けることで、自分の能力に対する信念が強化されます。 - 生理的・感情的状態（Physiological and Emotional States）
ストレスや疲労などの身体的、感情的な状態は、自己効力感に影響を与えます。リラックスしていると自己効力感が高まり、ストレスがあると低下することがあります。
自己効力感に関する研究では、参加者が新しいスキルを学ぶ際の自己効力感を測定し、その後の学習成果を比較する実験がよく行われます。例えば、ある実験では、実験グループに対してポジティブなフィードバックを与え、自己効力感を高めたところ、学習結果が向上したことが確認されました。一方、フィードバックを与えなかった対照グループでは、学習結果に改善が見られなかったことが報告されています。
大学レベルでは、自己効力感は動機づけや行動の持続性において中心的な役割を果たすとされています。心理学や教育学では、自己効力感が学業成績やキャリアの成功にどのように影響を与えるか、またそれを高める方法について広く研究されています。自己効力感が高い学生は、学業で困難に直面しても積極的に学び続け、成績向上につながることが多いです。
例文
「彼女は自己効力感が高く、新しいプロジェクトでも自信を持って取り組むことができています。」
疑問
Q: 自己効力感を高めるためにはどうすればよいですか？
A: 自己効力感を高めるためには、小さな成功体験を積み重ねることが有効です。また、他者からの励ましや、他の人の成功を観察することも役立ちます。
Q: 自己効力感と自己肯定感の違いは何ですか？
A: 自己効力感は、特定の課題に対して「自分が達成できる」という信念です。一方、自己肯定感は、自分自身に対する全般的な評価や自信を指します。
Q: 自己効力感が低いとどのような影響がありますか？
A: 自己効力感が低いと、挑戦に直面したときに自分の能力に自信が持てず、行動を起こすことが難しくなります。また、課題を途中で諦めやすくなり、成功の可能性が低くなることがあります。
Q: 社会的説得が自己効力感に与える影響は何ですか？
A: 他者からのポジティブなフィードバックや励ましは、自己効力感を高める要素です。他者に「できる」と言われることで、自分の能力に対する信念が強化されます。
Q: 成功体験はどのように自己効力感を強化しますか？
A: 成功体験は、自分が目標を達成できるという実績を作ることで、自己効力感を強化します。過去の成功経験があると、次の挑戦にも自信を持って取り組むことができます。
Q: 自己効力感が健康行動にどのような影響を与えますか？
A: 自己効力感が高い人は、自分の行動が健康に与える影響を信じているため、健康行動（禁煙、運動、食事改善など）を積極的に取りやすいです。特に禁煙や運動習慣の確立では、自己効力感が強い人ほど成功率が高く、長期間にわたって行動を維持する傾向があります。
Q: 自己効力感が高い人はストレスにどのように対処しますか？
A: 自己効力感が高い人は、ストレスに対して積極的な対処戦略（問題解決型アプローチ）を取る傾向があります。そのため、ストレスの影響を軽減し、精神的な健康を維持しやすくなります。逆に、自己効力感が低い人は、ストレスに対して逃避や回避的な行動を取りやすく、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があります。
Q: 自己効力感は職業発達や仕事の満足度にどのように影響しますか？
A: 自己効力感が高い従業員は、仕事の課題に対して積極的に取り組み、パフォーマンスが向上する傾向があります。また、自己効力感が強いことで、仕事の満足度が高まり、キャリアアップの機会が増えることが確認されています。自己効力感が高い人は、職場でのストレスにも柔軟に対応できるため、職業発達にポジティブな影響を与えます。
Q: 自己効力感は学業成績や学習モチベーションにどのような影響を与えますか？
A: 自己効力感が高い学生は、学業に対して積極的に取り組み、難しい課題にも粘り強く取り組む傾向があります。これにより、学習モチベーションが高まり、成績が向上することが多いです。また、自己効力感を高める教育的介入は、学生の学習成果に対してポジティブな影響を与えることが示されています。
Q: 自己効力感は年齢層ごとにメンタルヘルスにどのような影響を与えますか？
A: 自己効力感が高い人は、どの年齢層でもメンタルヘルスが良好であることが確認されています。特に中年期において、自己効力感が高いとストレス対処能力が向上し、レジリエンス（回復力）が強くなります。自己効力感が低い場合、うつ病や不安障害のリスクが高まることが示されています。
理解度を確認する問題
自己効力感を強める要素として正しいものはどれですか？
A. 社会的説得
B. 効果的な失敗体験
C. ストレスの増加
D. 他者の失敗
回答: A. 社会的説得
自己効力感が高い人は、どのような行動を取りますか？
A. 困難な課題を避ける
B. 簡単な課題だけを選ぶ
C. 課題に対して積極的に挑戦し続ける
D. 他者に任せる
回答: C. 課題に対して積極的に挑戦し続ける
関連キーワード
- 自己効力感
- 成功体験
- 社会的説得
- 代理学習
- 自己肯定感
- 動機づけ
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覚え方
「自己効力感」は「自分がうまくやれる力を信じる感覚」と覚えると、行動を続けるための信念として理解しやすくなります。
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