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心理学の調査法

実験法 原理・研究法・歴史
実験法

心理学の研究では、様々な調査法が用いられます。以下は、その代表的な調査法とその特徴です。

簡単な説明

1. 観察法(Observational Method)

自然な環境で行動を観察し、記録する方法。

背景や由来

観察法は、特に幼児や動物の研究で頻繁に使用されます。観察者は、被験者の行動を自然な状態で観察し、介入を最小限に抑えます。

具体的な説明文

観察法では、研究者は特定の行動や現象を観察し、記録します。この方法は、被験者が自然な状態でどのように行動するかを理解するために用いられます。例えば、幼稚園で子供たちの遊び方を観察し、社会的な相互作用を記録することがあります。

「教師が授業中の生徒の行動を観察し、集中力の違いを記録する」

利点と欠点
  • 利点: 被験者の自然な行動が観察できる。
  • 欠点: 観察者の主観が入る可能性がある。

2. 実験法(Experimental Method)

一言でいうと何か?

変数を操作し、因果関係を明らかにする方法。

背景や由来

実験法は、心理学の研究において最も厳密な方法の一つです。実験者は独立変数を操作し、その結果を従属変数として測定します。

具体的な説明文

実験法では、研究者が特定の条件(独立変数)を操作し、その結果としての行動や反応(従属変数)を観察します。これにより、因果関係を明らかにすることができます。例えば、ストレスが記憶に与える影響を調べるために、参加者にストレスを与え、その後の記憶テストの結果を比較します。

「新しい学習方法が成績に与える影響を調べるために、実験群と対照群を設定する」

利点と欠点
  • 利点: 因果関係を明確にできる。
  • 欠点: 実験環境が自然でないため、現実世界にそのまま適用できない場合がある。

3. 質問紙法(Questionnaire Method)

一言でいうと何か?

質問紙を使ってデータを収集する方法。

背景や由来

質問紙法は、心理学の研究で広く使用される方法です。大規模なデータ収集が可能であり、統計的な分析に適しています。

具体的な説明文

質問紙法では、研究者が設計した質問紙を用いて、被験者から情報を収集します。質問紙は紙媒体やオンライン形式で提供されることがあります。例えば、ストレスレベルを評価するためのアンケートを配布し、その結果を分析します。

「学生の学習意欲を調査するためにアンケートを配布する」

利点と欠点
  • 利点: 大規模なデータ収集が可能で、分析が容易。
  • 欠点: 被験者の自己報告によるバイアスが入る可能性がある。

4. 面接法(Interview Method)

一言でいうと何か?

対面で質問し、詳細な情報を得る方法。

背景や由来

面接法は、質的データの収集に適しており、被験者の詳細な感情や意見を理解するために使用されます。

具体的な説明文

面接法では、研究者が被験者と対面し、直接質問を行います。この方法は、深い洞察や詳細な情報を得るのに適しています。例えば、うつ病の患者に対する治療の効果を調査するために、治療後の感情や経験について面接を行います。

「新しい治療法の効果を評価するために、患者と面接を行う」

利点と欠点
  • 利点: 詳細で深い情報を得ることができる。
  • 欠点: 時間とコストがかかる。

5. ケーススタディ法(Case Study Method)

一言でいうと何か?

個別の事例を詳細に調査する方法。

背景や由来

ケーススタディ法は、個別のケースを深く理解するために使用されます。特定の事例に焦点を当て、その詳細な分析を行います。

具体的な説明文

ケーススタディ法では、特定の個人やグループ、イベントを詳細に調査します。この方法は、複雑な現象を深く理解するのに適しています。例えば、特異な精神疾患を持つ患者のケースを詳細に調査し、その症状や治療法を分析します。

「特定の患者の治療経過を詳細に記録し、その効果を分析する」

利点と欠点
  • 利点: 詳細な情報を得ることができ、複雑な現象を理解するのに役立つ。
  • 欠点: 一般化が難しい。

6. リッカート法(Likert Scale)

一言でいうと何か?

回答者が一連の陳述に対して同意度を評価する方法。

背景や由来

リッカート法は、態度測定や意見調査で広く使用されます。1932年にRensis Likertによって開発されました。

具体的な説明文

リッカート法では、回答者に一連の陳述を提示し、それに対する同意度を段階的に評価してもらいます。例えば、1(全く同意しない)から5(完全に同意する)までの5段階評価を使用します。

「『私は毎日運動するのが好きだ』という陳述に対して、1から5の範囲で同意度を評価する」

利点と欠点
  • 利点: 回答者の態度や意見を定量的に評価できる。
  • 欠点: 中間の選択肢が多い場合、回答が偏る可能性がある。

7. ダブルバーレル質問(Double-Barreled Questions)

一言でいうと何か?

1つの質問に2つ以上の異なる要素を含む質問形式。

背景や由来

ダブルバーレル質問は、回答者に混乱を招くため避けるべき質問形式です。しかし、その存在を理解することは重要です。

具体的な説明文

ダブルバーレル質問とは、1つの質問で2つ以上の異なる事柄を尋ねることです。例えば、「この製品は使いやすく、コストパフォーマンスが良いですか?」という質問は、使いやすさとコストパフォーマンスの両方を同時に尋ねています。

「このカフェのサービスと食事の質に満足していますか?」

利点と欠点
  • 利点: なし(避けるべき質問形式)。
  • 欠点: 回答者がどちらの要素について答えているのかわからなくなる。

8. 再検査法(Test-Retest Method)

一言でいうと何か?

同じテストを異なる時点で繰り返し実施し、信頼性を測定する方法。

背景や由来

再検査法は、テストの安定性や一貫性を評価するために使用されます。

具体的な説明文

再検査法では、同じ被験者に対して同じテストを時間をおいて再度実施し、結果の一致度を評価します。高い一致度は、テストが信頼性が高いことを示します。

「学力テストを1ヶ月後に再度実施し、両方の結果を比較する」

利点と欠点
  • 利点: テストの信頼性を評価できる。
  • 欠点: 学習効果や時間の経過による影響を受ける可能性がある。

9. 場面想定法(Scenario Method)

一言でいうと何か?

仮想の場面を提示して、被験者の反応や行動を調査する方法。

背景や由来

場面想定法は、被験者が現実の場面では体験しにくい状況を想定し、そこでの反応や行動を測定するために使用されます。

具体的な説明文

場面想定法では、被験者に特定の仮想的な場面を提示し、その状況下での行動や反応を尋ねます。例えば、職場でのトラブルに対する対応方法を調査するために、仮想的な職場シナリオを提示し、その反応を分析します。

「職場で同僚との意見の食い違いが発生した場合、あなたはどのように対処しますか?」

利点と欠点
  • 利点: 実際には体験しにくい状況を調査できる。
  • 欠点: 被験者の反応が現実と異なる可能性がある。

10. 多段抽出法(Multistage Sampling)
一言でいうと何か?

複数の段階を経てサンプルを選定する方法。

背景や由来

多段抽出法は、大規模な母集団から効率的にサンプルを抽出するために使用されます。各段階でサンプルを徐々に絞り込んでいくプロセスです。

具体的な説明文

多段抽出法では、まず大きな集団から大きな単位(例えば地域)をランダムに抽出し、その後さらに小さな単位(例えば学校)を抽出する、といった複数の段階を経て最終的なサンプルを選びます。

「全国の高校生を対象にした調査で、まず都道府県を抽出し、その後各都道府県内の学校を抽出し、最終的に各学校の生徒をランダムに抽出する」

利点と欠点
  • 利点: 大規模な母集団から効率的にサンプルを抽出できる。
  • 欠点: 各段階での抽出バイアスが影響する可能性がある。

11. SD法(Semantic Differential Method)

一言でいうと何か?

評価対象を対になる形容詞を用いて評価する方法。

背景や由来

SD法は、対象の意味や印象を測定するために使用されます。1957年にCharles Osgoodらによって開発されました。

具体的な説明文

SD法では、被験者に評価対象について対になる形容詞(例えば、良い-悪い、楽しい-つまらない)を使って評価してもらいます。各形容詞対は通常7段階の尺度で評価されます。

「新製品に対する印象を『良い-悪い』『便利-不便』などの対になる形容詞を使って評価する」

利点と欠点
  • 利点: 対象の意味や印象を多面的に評価できる。
  • 欠点: 被験者の解釈に主観が入る可能性がある。

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