援助行動

他人を助けるために行う行動のこと

簡単な説明

援助行動は、他者の利益のために自分の時間、労力、資源を提供する行動です。例えば、迷子の子供を見つけて親を探す、事故現場で負傷者を助ける、困っている友人に相談に乗ることなどが含まれます。これらの行動は、共感や道徳感情、社会的規範、個人の価値観によって動機づけられます。

由来

援助行動の研究は、社会心理学の一分野で、他人を助ける動機や状況に焦点を当てています。ダーリーとラタネの「傍観者効果」に関する研究が有名です。これは、事件を目撃した人が多いほど援助行動を取る人が少なくなる現象を示しています。

具体的な説明

援助行動は、社会的な相互作用の一環として重要な役割を果たします。人々は、共感や社会的規範、利他主義の動機によって他人を助けることが多いです。例えば、自然災害の際に被災者を支援するためのボランティア活動が挙げられます。

ダーリーとラタネの実験では、実験参加者が一人で事件を目撃する状況と、他の目撃者がいる状況での援助行動を比較しました。その結果、他の目撃者がいる状況では援助行動が著しく減少することが明らかになりました。これは「傍観者効果」と呼ばれる現象です。

大学レベルでは、援助行動の背後にある心理的メカニズムや状況要因を詳細に学びます。例えば、ダーリーとラタネの研究では、事件の目撃者が多い場合、個々の責任感が分散される「責任の分散」が援助行動を抑制することが示されました。また、共感-利他主義仮説によれば、他者に対する共感が高い人ほど、援助行動を取りやすいとされています。

例文

「彼は駅で倒れた人を見つけるとすぐに駆け寄り、救急車を呼ぶなどの援助行動を取りました。」

疑問

Q: 傍観者効果とは何ですか？

A: 傍観者効果とは、事件の目撃者が多いほど、援助行動を取る人が少なくなる現象を指します。

Q: 援助行動に影響を与える要因は何ですか？

A: 共感、責任感、社会的規範、個人の価値観などが援助行動に影響を与えます。

Q: どのような状況で援助行動が増加しますか？

A: 個人が他者に対する共感を感じる状況、目撃者が少ない状況、社会的規範が援助行動を促す場合などで援助行動が増加します。

Q: 共感-利他主義仮説とは何ですか？

A: 他者に対する共感が高い人ほど、援助行動を取りやすいとする仮説です。

Q: 責任の分散とは何ですか？

A: 複数の人が事件を目撃している場合、個々の責任感が薄まり、援助行動を取る人が減少する現象です。

Q: 援助行動は偽善ですか？

A: 援助行動が偽善とされるかどうかは、行動の背後にある動機によります。もし、他人を助けることで自己満足や他者からの評価を得ようとしている場合、それは偽善と捉えられるかもしれません。しかし、多くの援助行動は純粋な共感や道徳的義務感から来ており、その場合は偽善ではなく、利他主義的な行動と見なされます。心理学的には、動機の多様性を理解し、行動自体の価値を評価することが重要です。

Q: 「やらない善よりやる偽善」は正しいですか？

A: 「やらない善よりやる偽善」という言葉は、行動を起こすことの重要性を強調しています。心理学的には、たとえ自己満足や他者からの評価を求めての行動であっても、その行動が他人にとって有益であるならば、その価値は認められるべきです。援助行動が他人の命を救ったり、生活の質を向上させたりする場合、その行動が偽善的な動機からであったとしても、その結果は肯定的です。行動の動機がどのようなものであれ、行動そのものが他人に利益をもたらすならば、「やらない善よりやる偽善」は正しいと言えるでしょう。

Q: 援助行動に段階があれば教えてください。

A: 援助行動にはいくつかの段階があります。これらの段階は、ジョン・ダーリーとビブ・ラタネによって提唱された「援助行動の5段階モデル」に基づいています。

事件の気づき: まず、人は援助が必要な事件や状況に気づく必要があります。これは、状況の明確さや注意力に影響されます。
事件の緊急性の判断: 次に、その状況が緊急であり、援助が必要であるかを判断します。これは、他の人々の反応や状況の理解に依存します。
個人的責任の引き受け: その後、自分が援助を行うべきかどうかを決定します。これは、傍観者効果（他の人がいると自分が責任を感じにくくなる）などに影響されます。
援助方法の決定: 援助の方法を考えます。どのように助けるか、どんな手段を取るべきかを判断します。
援助の実行: 最後に、実際に援助行動を実行します。この段階では、行動に移すための勇気や能力が必要です。

これらの段階を踏むことで、援助行動が成立します。各段階において、個人の認知や感情、社会的影響が大きな役割を果たします。

Q: みんなが援助行動すればいじめはなくなりますか？

A: みんなが援助行動を取れば、いじめの発生を減少させることが期待されますが、完全になくすことは難しいかもしれません。援助行動には、いじめを止めるための具体的な行動（いじめられている人を助ける、いじめに対して声を上げる、いじめを報告するなど）が含まれます。これにより、いじめの被害者が救われる可能性が高まり、いじめを行う人に対しても抑止力が働きます。

ただし、いじめの根本的な原因（例えば、社会的な不安、家庭環境、個人の心理的要因など）は多岐にわたるため、援助行動だけでは全てのいじめを解決することは難しいです。いじめをなくすためには、学校やコミュニティ全体での取り組み、教育プログラムの強化、カウンセリングやサポート体制の充実など、包括的なアプローチが必要です。

援助行動がいじめ問題の解決に貢献することは間違いありませんが、いじめを根絶するためには、さらなる努力と多角的なアプローチが求められます。