印象形成の連続対モデル

人が他者についての印象を形成する際、最初は大まか、後から細かく判断するモデルのこと

簡単な説明

人が他者を評価する際、最初に一般的なカテゴリーに基づいて判断を行い、その後、得られた詳細な情報を反映させて印象を更新する過程です。これは、一般的なステレオタイプの適用から、個別的で具体的な情報に基づく評価へと移行するプロセスを表しています。

由来

印象形成の連続対モデル（Continuum Model of Impression Formation）は、フィスケ（Fiske）とノイバーグ（Neuberg）が1990年に提唱したモデルです。このモデルは、他者についての印象を形成する過程が、カテゴリー的な判断から個別的な情報処理に連続的に移行することを示しています。

具体的な説明

このモデルによると、他者についての印象は初めにカテゴリー的（例：性別、人種、職業など）な情報に基づいて形成されます。その後、より詳細な個別的な情報（例：性格、行動など）が利用可能になると、その情報を基に印象が修正されます。連続対モデルは、これらのプロセスが一つの連続体上で行われると考えます。

フィスケとノイバーグの実験では、被験者に対して他者の写真と簡単なプロフィールを提示し、その印象形成過程を観察しました。結果、被験者は最初にカテゴリー情報（例：性別、人種）を使用し、その後、個別的な情報（例：特定の行動や性格特性）に基づいて印象を修正することが確認されました。

印象形成の連続対モデルは、社会心理学の重要な理論の一つであり、他者評価の過程を説明するために用いられます。このモデルでは、他者の印象は最初に自動的にカテゴリー情報に基づいて形成され、その後、必要に応じて個別情報に基づいて修正されるとします。研究では、個人の動機や認知資源がこれらのプロセスにどのように影響を与えるかが探求されています。

例文

「新しいクラスメートに会ったとき、最初は彼の見た目や服装から、どのグループに属しているかを判断しましたが、話をするうちに彼のユーモアや親切さに気付き、最初の印象が大きく変わりました。」

疑問

Q: 連続対モデルにおけるカテゴリー的判断とは何ですか？

A: カテゴリー的判断とは、性別や人種、職業などの一般的な特徴に基づいて他者を評価することを指します。

Q: なぜ連続対モデルは重要ですか？

A: 連続対モデルは、他者評価の過程を理解するために重要です。特に、ステレオタイプから個別的評価への移行を説明するのに役立ちます。

Q: 連続対モデルとステレオタイプの関係は？

A: 連続対モデルは、最初にステレオタイプ（カテゴリー的判断）を使用し、その後、個別的情報に基づいて評価を修正するプロセスを説明しています。

Q: 連続対モデルにおける個別的情報の役割は何ですか？

A: 個別的情報は、最初のカテゴリー的判断を修正し、より正確な印象を形成するために重要です。

Q: 連続対モデルに影響を与える要因は何ですか？

A: 個人の動機や認知資源、得られる情報の量と質が連続対モデルに影響を与えます。

Q: カテゴリー的判断において、小学生はどのような判断をしていますか？

A: 小学生はカテゴリー的判断において、他者の見た目や行動、話し方などの明確な特徴に基づいて判断を行います。例えば、服装や髪型、持っているおもちゃや文房具などから、その人が男の子か女の子か、年上か年下か、友達になりやすいかどうかなどを判断します。小学生は大人ほど複雑なカテゴリー情報を使用しないため、比較的単純な特徴に基づいて他者についての印象を形成します。

Q: カテゴリー的判断において、中学生はどのような判断をしていますか？

A: 中学生はカテゴリー的判断において、他者の外見や行動、言動に基づいて判断を行います。例えば、服装のブランドやスタイル、好きな音楽や趣味、言葉遣いなどから、その人がどのグループに属しているか、社交的か内向的か、趣味や興味が自分と合うかどうかを判断します。中学生は小学生よりも社会的なカテゴリーを意識し始め、友人関係や学校内の社会的地位などを考慮した印象形成を行います。

Q: カテゴリー的判断において、高校生はどのような判断をしていますか？

A: 高校生はカテゴリー的判断において、他者の外見、行動、言動、社会的背景に基づいてより複雑な判断を行います。例えば、服装のスタイルやブランド、話す内容や態度、興味関心のあるクラブ活動や趣味、学業成績などから、その人の性格や価値観、友人グループ、将来の志向などを判断します。高校生は、社会的地位やグループダイナミクスをより意識し、自分との共通点や違いを基に他者についての印象を形成します。また、SNSなどのオンラインでの情報も含め、より多様な情報源から他者を評価する傾向があります。

Q: カテゴリー的判断において、大学生はどのような判断をしていますか？

A: 大学生はカテゴリー的判断において、他者の外見、行動、言動、そして社会的および学術的背景に基づいてさらに洗練された判断を行います。例えば、服装や持ち物、専攻分野、話す内容や態度、アルバイトやインターンシップの経験、所属するサークルやクラブ活動、さらには信条や価値観などから、その人の興味関心、社会的アイデンティティ、将来のキャリア志向などを評価します。大学生は、他者の学業成績や専門知識にも基づいて印象を形成することが多く、同時に自己のアイデンティティや社会的立ち位置を考慮に入れて他者を判断します。

理解度を確認する問題

印象形成の連続対モデルにおいて、最初に用いられる判断基準はどれですか？

1. 行動の観察
2. 性格特性
3. カテゴリー情報
4. 個別的情報

回答: 3. カテゴリー情報

印象形成の連続対モデルによると、最初に形成される印象は何に基づいていますか？

1. 詳細な個別的情報
2. 一般的なカテゴリー情報
3. 行動の観察結果
4. 内面的な性格特性

回答: 2. 一般的なカテゴリー情報

関連キーワード

• カテゴリー的判断
• 個別的情報
• ステレオタイプ印象形成
• 社会心理学

関連論文

Fiske, S. T., & Neuberg, S. L. (1990). A continuum of impression formation, from category-based to individuating processes: Influences of information and motivation on attention and interpretation. Journal of Personality and Social Psychology, 48(1), 61-72.

この論文では、印象形成の連続対モデルが提唱され、他者の評価過程におけるカテゴリー的判断と個別的情報の役割が詳細に検討されています。具体的な実験結果も報告されており、このモデルの有効性が示されています。

Smith, E. R., & DeCoster, J. (2000). Dual-process models in social and cognitive psychology: Conceptual integration and links to underlying memory systems. Personality and Social Psychology Review, 4(2), 108-131.

この論文では、社会心理学と認知心理学における二重過程モデルについての統合的な概念を提供し、記憶システムとの関連を探ります。印象形成におけるカテゴリー判断と個別情報の処理についても議論されています。

Macrae, C. N., & Bodenhausen, G. V. (2000). Social cognition: Thinking categorically about others. Annual Review of Psychology, 51(1), 93-120.

このレビュー論文は、他者についてカテゴリー的に考えることの重要性を強調し、印象形成のプロセスにおけるカテゴリー情報の役割を詳述しています。

Brewer, M. B. (1988). A dual process model of impression formation. Advances in Social Cognition, 1, 1-36.

この論文では、印象形成における二重過程モデルを提案し、カテゴリー的判断と個別的情報処理の両方の役割を探求しています。

Hastie, R., & Kumar, P. A. (1979). Person memory: Personality traits as organizing principles in memory for behaviors. Journal of Personality and Social Psychology, 37(1), 25-38.

この研究は、他者の行動を記憶する際の性格特性の役割を探求し、印象形成における個別情報の重要性を示しています。

覚え方

「最初は大まか、後から細かく」と覚えると良いでしょう。これは、最初に大まかなカテゴリー的判断を行い、後から詳細な個別情報で印象を修正するという連続対モデルの基本的な流れを簡潔に表現しています。