ボボ人形実験（The Bobo Doll Experiment）

攻撃性が伝達する実験のこと

アルバート・バンデューラは、1960年代にこの実験を通じて、行動主義の枠を超えて社会的学習理論を提唱しました。彼の理論は、行動が観察と模倣を通じて学習されると主張します。この実験は、行動が必ずしも直接的な強化によって学習されるわけではないことを示すものでした。

ボボ人形実験では、子供たちにボボ人形という大きなゴム製の人形を使って実験が行われました。手順は以下の通りです。

被験者：実験には72人の子供（男の子36人、女の子36人）が参加しました。彼らの年齢は3歳から6歳です。

実験条件：子供たちは3つのグループに分けられました。

攻撃的モデルを観察するグループ：このグループの子供たちは、成人がボボ人形に対して攻撃的な行動を取る様子を観察しました。モデル（成人）は、人形を殴ったり、蹴ったり、ハンマーで叩いたりしました。
非攻撃的モデルを観察するグループ：このグループの子供たちは、成人がボボ人形に対して穏やかに遊ぶ様子を観察しました。モデルは人形に優しく触れたり、おもちゃで静かに遊びました。
モデルを観察しないグループ：このグループの子供たちは、モデルを観察することなく、単におもちゃで遊びました。

観察後、子供たちは別の部屋に移動され、同じボボ人形やその他のおもちゃと一緒に遊びました。実験者は子供たちの行動を記録し、どの程度攻撃的な行動を模倣するかを観察しました。

結果は以下の通りです。

攻撃的モデルを観察した子供たちは、ボボ人形に対して攻撃的な行動を取る傾向が高まりました。彼らはモデルの行動をそのまま模倣するだけでなく、新しい攻撃的行動も見せました。
非攻撃的モデルを観察した子供たちは、攻撃的な行動をほとんど見せませんでした。
モデルを観察しなかったグループの子供たちは、攻撃的な行動を取る頻度が少なく、非攻撃的モデルを観察したグループと似たような結果を示しました。

この実験により、攻撃的な行動を観察した子供たちが、同じように攻撃的な行動を取りやすいことが示されました。これは、子供が他人の行動を観察し、その行動を模倣する「観察学習」または「モデリング」の効果を強く支持するものです。