単純接触効果

人は何度も接触する対象に対して好意を持つようになる効果のこと

簡単な説明

単純接触効果とは、人がある対象に繰り返し接触することによって、その対象に対する好感度が増す現象です。広告、友人関係、職場の同僚など、さまざまな場面でこの効果が見られます。初対面の相手に対しても、何度も顔を合わせることで自然と親しみが湧いてくるのが一般的です。

由来

単純接触効果は、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンス（Robert Zajonc）によって1960年代に提唱されました。ザイアンスは実験を通じて、人が繰り返し見たり聞いたりするものに対して、次第に好意的な感情を抱くことを示しました。この効果は、広告や人間関係、社会的なつながりの形成において重要な役割を果たします。

ザイアンスの研究（1968年）: ザイアンスの初期の研究では、顔写真や図形を参加者に0回、1回、5回、10回、25回と見せ、その好意度を評価しました。この結果、10回程度の接触で好意度が最大となり、それ以上の接触では好意度が大きく増加しないことが示されました。
ボーンステインの研究（1989年）: 顔写真を異なる回数（2回、5回、10回）見せる実験でも、10回程度の接触で好意度が最大となることが確認されています。

具体的な説明

単純接触効果は、人が繰り返し接触する対象に対して好意を持つようになる心理的現象です。たとえば、毎日同じ広告を見ると、その広告の商品に対して親しみや好感を持つようになることがあります。また、同じクラスや職場で繰り返し顔を合わせることで、その人に対して親しみを感じるようになることもあります。

単純接触効果について、10回までの接触が最も効果的であると言われています。この見解にはいくつかの理由があります。以下に、その背景と詳細を説明します。

10回までの接触が効果的な理由

減少する効果

最初の数回の接触で好意度が急激に増加しますが、10回を超えるとその効果は次第に減少します。この現象は心理学における「限界効用逓減の法則」に類似しており、一定の点を超えると追加の接触がそれ以上の好意度を生み出さない、または逆に減少させることがあります。

理論的背景

飽きの効果: 人は同じ対象に対して過度に接触すると飽きを感じることがあります。広告においても、同じ広告を何度も見せすぎると逆に嫌悪感を持たれることがあります（「広告疲れ」）。
心理的飽和: 繰り返し接触することで、情報の新規性が失われ、心理的に飽和状態に達することがあります。このため、10回程度の接触が最適であるとされるのです。