最小二乗法

Least Squares Method ストラテジ系

たくさんのデータの中から、できるだけ誤差が少なくなる直線を引く方法のこと

簡単な説明

まるで、意見がバラバラな人たちの真ん中に立って、「一番納得されやすい提案」を出すイメージです。
データたちの「気持ちの中心線」を引く…そんな感じですね。

  • たくさんの「点(データ)」の声を聞いて、
  • その声(ズレ)をできるだけ平等に、まっすぐに整えて、
  • みんなが納得するような「一本の道(直線)」を見つけ出す方法です。

由来

最小二乗法(さいしょうにじょうほう、Least Squares Method)は、18世紀にフランスの数学者レジェンドルが考案し、その後ガウスが天体観測に使ったことで有名になりました。観測データは少しずつズレがあるので、できるだけズレ(誤差)が少ない線(モデル)を作る必要がありました。

具体的な説明

最小二乗法とは、データの点と予測される直線との縦のズレ(残差)を2乗して足し合わせた値(誤差)を最小にする直線を求める方法です。

たとえば、ある中学生が「勉強時間」と「テストの点数」の関係を調べたとします。
以下のようなデータがあったとしましょう:

勉強時間(時間)テストの点数
150
255
365
470
575

この点をグラフにすると、バラバラに散らばって見えます。そこで「この点たちをできるだけよく表す1本の直線」を引きたいときに使うのが最小二乗法です。
この直線を「回帰直線(かいきちょくせん)」と呼びます。

実際のデータをExcelなどに入力して、散布図を作成し、「近似直線」を表示すると、この最小二乗法による直線が引かれます。Excelでは「傾き」「切片」も自動で表示されます。

例文

「テストの点数と勉強時間の関係を調べるために、最小二乗法を使って回帰直線を引いたら、1時間勉強するごとに点数が約5点上がることがわかりました。」

疑問

Q: なぜ「誤差」を2乗するのですか?

A: プラスとマイナスの誤差をそのまま足すと打ち消し合ってしまうので、2乗して全ての誤差を正にすることで、全体のズレをしっかり測れるようにするためです。

Q: 最小二乗法はどんな場面で使われますか?

A: ビジネスでは売上予測、教育では成績分析、科学では天体の軌道予測など、さまざまな場面で使われます。

Q: パソコンで簡単にできる方法はありますか?

A: はい、Excelの「近似曲線」機能や、Pythonなどのプログラミング言語でも簡単に実行できます。

Q: どんなときに使ってはいけないのですか?

A: データの関係が「直線」ではない場合や、外れ値(極端なデータ)が多い場合には、正確な結果が出にくくなります。

Q: ITパスポート試験に出るとしたら、どう問われますか?

A: 「最小二乗法とは何を最小にする方法か」「グラフでの利用方法」などが問われることがあります。

Q: 偏差って、そもそも何ですか?

A: 偏差とは、各データが平均(または予測値)からどれだけズレているかを示す数値です。例えば、平均点が70点で、自分の点数が80点なら、偏差は「+10」です。

Q: 偏差をそのまま足し合わせるとどうなりますか?

A: 偏差をそのまま足し合わせると、プラスとマイナスで打ち消し合ってしまい、全体のズレが分からなくなります。そのため、最小二乗法では偏差を2乗して、すべてを「正の数(プラス)」にして計算します。

Q: 偏差と標準偏差の違いは何ですか?

A: 偏差は「各データと平均のズレ」、標準偏差は「全体のデータのバラつきを示す指標」です。標準偏差は、偏差の2乗の平均をとって、さらに平方根を取ることで計算します。

Q: 偏差の2乗和が最小になるって、どういう意味ですか?

A: これは、「予測直線」と「実際のデータ」とのズレが一番小さくなるような線を選ぶということです。このズレを正確に測るために、偏差の2乗(正の値)をすべて合計して、それが最小になる直線を求めるのです。

Q: 傾きってなんですか?

A: 傾きとは、横(x)が1増えると縦(y)がどれだけ増えるかを表す値です。つまり、直線の「どれだけ傾いているか」を数値で表したものです。

Q: 切片ってなんですか?

A: 切片とは、xが0のときのyの値のことです。グラフでいうと、直線がy軸と交わる場所のyの値になります。

Q: 傾きが大きいと、どうなるんですか?

A: 傾きが大きいと、グラフの線が急になります。たとえば傾きが5なら、xが1増えるごとにyが5増えるということです。

Q: 傾きがマイナスだとどうなりますか?

A: 傾きがマイナスだと、右にいくほどグラフの線は下がっていきます。つまり、xが増えるとyが減るという「逆の関係」を表しています。

Q: 最小二乗法はビジネスでどんなときに使われますか?

A: 最小二乗法は、将来の売上や需要を予測するために使われます。過去のデータから「どんな傾向があるか」を見つけて、未来の動きを予測できるからです。

Q: 具体的にはどういうビジネスに使われているんですか?

A: たとえば、以下のような場面で使われています:

  • 小売業:売上と広告費の関係を分析して、広告の効果を測る
  • 飲食店:気温とアイスの売上の関係を見て、仕入れを調整する
  • 製造業:作業時間と製品数の関係から効率を最適化する
  • マーケティング:SNS投稿数とアクセス数の関係を分析する

Q: どうやって使うんですか?専門的なソフトが必要ですか?

A: 実は、Excel(エクセル)だけでも使えます。「散布図を作成→近似曲線を追加→傾きと切片を表示」とするだけで、最小二乗法による回帰直線が表示されます。

Q: なぜ最小二乗法を使うと信頼できるんですか?

A: 最小二乗法は、すべてのデータのズレを最小にするように計算されているため、「一番誤差が少ない予測直線」が得られます。客観的で科学的な手法だから、ビジネスでも信頼されています。

理解度を確認する問題

次のうち、最小二乗法の説明として最も適切なものはどれか?

A. データの平均値を求める方法
B. データの最大値を求める方法
C. データと予測値の誤差の二乗和を最小にする方法
D. データの中央値を求める方法

正解: C

関連論文や参考URL

「The Method of Least Squares」(Carl Friedrich Gauss)

概要:
この論文では、天体観測データに対して最小二乗法を用い、より正確な軌道計算を行ったことが紹介されています。
結果:
誤差が大幅に減り、惑星の位置予測の精度が飛躍的に向上しました。

まとめ

最小二乗法(Least Squares Method)とは?

  1. データの点と予測直線とのズレ(誤差)を計算します。
  2. ズレを2乗してすべて足し合わせます。
  3. その合計が一番小さくなるような直線を見つけます。

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