競争相手がいないまったく新しい市場をつくって勝つ戦略のこと
簡単な説明
ブルーオーシャン戦略ってのは、
「他の人とガチンコ勝負せずに、まだ誰もいない場所で勝っちゃおうぜ」って感じの作戦。
ライバルと値下げ合戦とかしないで、新しいアイデアで一人勝ち狙うってイメージだね!
由来
ブルーオーシャン戦略は、2005年にW・チャン・キム氏とレネ・モボルニュ氏という2人の教授によって書かれたビジネス書『ブルー・オーシャン戦略』で紹介されました。
従来の「競争の激しい市場(レッドオーシャン)」とは異なり、競争がほとんど存在しない未開拓の市場(ブルーオーシャン)を狙うことで、価格競争や体力勝負を避けてビジネスで成功しやすくなる、という考え方です。
具体的な説明
ブルーオーシャン戦略は、既存の市場(たとえばファストフード店など)で他の企業と競い合うのではなく、まったく新しい価値を提供することで、ライバルのいない市場を創り出す戦略です。
例えば、スマホが出る前の時代、人々は「携帯電話」と「音楽プレイヤー」を別々に使っていました。しかし、Apple社がiPhoneを開発したことで「電話+音楽+インターネット」を1つにした全く新しい商品を生み出し、それまでなかった市場を作りました。これがブルーオーシャン戦略の好例です。
ブルーオーシャン戦略は、競争優位の源泉を「差別化」および「低コスト」によって同時に実現する「価値革新(Value Innovation)」にあります。ポーターの「競争戦略」では、差別化とコストリーダーシップはトレードオフの関係とされてきましたが、本戦略ではその両立を目指します。
200を超える企業の成功・失敗事例を分析し、「成功した企業は競合と競うのではなく、独自の価値提案を行っていた」ことが判明しました。このような企業は売上と利益の両方で高いパフォーマンスを記録しており、市場シェア争いに巻き込まれていませんでした。
日本市場においてブルーオーシャン戦略が成功した代表的な事例をいくつかご紹介します。
① 任天堂「Wii」
ポイント:
- 一言でいうと:ゲームをしない人にもゲームを楽しんでもらうという新市場の創出
- 詳細:2006年に発売された「Wii」は、PS3やXboxといった高性能ゲーム機とは異なり、操作性の簡単さや**家族・高齢者も楽しめるインターフェース(Wiiリモコン)**に焦点を当てました。
- 結果:全世界で1億台以上の販売、特に高齢者施設などでも活用されました。
② ファーストリテイリング(ユニクロ)
ポイント:
- 一言でいうと:高品質で低価格な衣料の提供という新しい価値提案
- 詳細:従来のファッション業界が「流行性」や「ブランド価値」で競争していた中、ユニクロは「機能性(ヒートテックなど)と価格のバランス」に注力しました。
- 結果:国内外に2,000店舗以上展開し、ファストファッションの新市場を確立。
③ カーブスジャパン(女性専用フィットネス)
ポイント:
- 一言でいうと:高齢女性向けの短時間・低負荷トレーニング市場の創出
- 詳細:カーブスは、忙しい中高年女性が気軽に運動できる30分のプログラムを導入。従来のジムに入りづらかった層を取り込みました。
- 結果:日本全国で約2,000店舗、業界にない新しい顧客層を開拓。
ブルーオーシャン戦略では、「競争の土俵に乗らず、新しい価値を創ること」が大切です。日本でもこうした発想で新しい市場を作った企業は数多くあります。
例文
「うちの会社はブルーオーシャン戦略をとって、他社が手をつけていない子ども向けプログラミングおもちゃの市場に進出しました。」
疑問
Q: ブルーオーシャンってなぜ「青い海」と呼ばれるのですか?
A: 血で赤く染まった競争の激しい市場(レッドオーシャン)に対して、誰も争っていない静かな市場を「青い海=ブルーオーシャン」と比喩的に表現しています。
Q: 競争相手がいないのはいいことですが、需要もないのでは?
A: 需要が“まだ存在していない”のではなく、“気づかれていない”だけで、ニーズを見つけ出せば市場になります。
Q: IT分野でのブルーオーシャンの例はありますか?
A: クラウドサービスが出始めたころのAmazon Web Services(AWS)は、企業のサーバ管理をクラウド化する新市場を開拓しました。
Q: レッドオーシャンとブルーオーシャンはどちらが難しいですか?
A: ブルーオーシャンの方が創造性やリサーチ力が求められるため、初期段階は難しいですが、成功すれば高い利益を得やすいです。
Q: ブルーオーシャン戦略は一度成功すれば永遠ですか?
A: いいえ。新しい市場もやがて競合が参入しレッドオーシャンになります。常に革新が必要です。
Q: ブルーオーシャン戦略を中小企業が採用する場合の利点として、研究で特に強調されていた点は何ですか?
A:
研究によると、中小企業がブルーオーシャン戦略を採用することで、「価格競争を回避しつつ差別化を図る」ことが可能になり、持続可能な成長と競争優位の確保に繋がると報告されています。
Q: ブルーオーシャン戦略のどの側面が競争優位の獲得に最も影響していましたか?
A:「価値の革新」と「未開拓市場の創出」という2つの側面が、競争優位の獲得に対して最も強い正の相関を持つことが明らかになりました。
Q: メタ分析における結論として、ブルーオーシャン戦略は全業種に普遍的に適用可能であるという主張に対する見解は?
A:
メタ分析では、「すべての業種に普遍的に適用可能というより、業界構造や企業文化に応じたカスタマイズが必要」であると結論づけられており、戦略の柔軟な運用が鍵であることが強調されました。
理解度を確認する問題
ブルーオーシャン戦略に関する記述として最も適切なものはどれか?
A. 競争の激しい市場でシェアを拡大することを目的とする
B. ライバル企業と価格競争に挑む戦略である
C. 未開拓の市場を創出し、競争を回避する戦略である
D. コスト削減を最優先とする戦略である
正解:C
関連論文や参考URL
Kim, W. C., & Mauborgne, R. (2004). Blue Ocean Strategy. Harvard Business Review.
概要:この論文では、150社以上の成功企業と失敗企業を比較分析し、成功企業は共通して「競合を避け、新しい価値を創る」アプローチを取っていたことを示しています。
結果:戦略的にレッドオーシャンから脱却した企業は、売上の伸び率が他の企業に比べて平均で2倍以上となりました。
ブルーオーシャン戦略の次元が競争優位の達成に与える影響
この研究は、ヨルダンの中東大学(MEU)におけるブルーオーシャン戦略の次元が競争優位の達成に与える影響を調査しています。研究の結果、ブルーオーシャン戦略の次元と競争優位の間に強い正の相関があることが示されました。
まとめ
ブルーオーシャン戦略とは、競争の激しい市場(レッドオーシャン)ではなく、
まだ誰も手をつけていない未開拓の市場(ブルーオーシャン)を創り出す戦略です。
差別化と低コストを両立し、競争を避けて高い価値を提供することを目指します。


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