経験曲線(Experience Curve)

experience-curve ストラテジ系

たくさん作れば作るほど、上手になってコストが下がるという法則のこと

簡単な説明

たくさん作れば作るほど、慣れてムダも減って、コストが安くなるよって話。
ゲームでも勉強でも、やればやるほど上手くなるのと同じ感じ!
会社はこれを使って「どうすればもっと安く作れるか」を考えてるんだよ〜。

由来

「経験曲線(Experience Curve)」は、1960年代にアメリカの経営コンサルティング会社「ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)」が提唱した概念です。元々は航空機産業で観察された「製造回数が増えるとコストが下がる」という現象を元にしています。

具体的な説明

製品やサービスの生産量が増えると、作業が効率化され、経験が蓄積されることで、単位あたりのコストが下がるという現象です。

これは、以下のような理由でコストが下がることに由来します:

  • 作業者の熟練
  • 生産工程の見直し
  • 資材や時間の無駄削減
  • 規模の経済の効果

たとえば、同じお菓子を初めて10個作ったときと、1000個作ったときでは、作業の手順や道具の使い方が上達して、1個あたりにかかる時間や材料のムダが少なくなります。これにより「1個あたりのコスト(費用)」が下がります。

この「コストが下がる率」は経験によって予測でき、「経験が2倍になると、コストは20〜30%下がる」と言われています。

経験曲線効果は、累積生産量(累積出荷数)と単位コストとの間の関係を対数グラフにしたときに、直線的な関係を持ちます。

アメリカの航空機製造業では、ある戦闘機の部品を100個、200個、400個と倍々で作るにつれて、学習効果(learning effect)により、20%ずつ生産コストが減少していくことが実測されました。

この現象は製造業だけでなく、ソフトウェア開発やサービス業にも応用できます。

例文

「このゲームのレベルを何回もプレイするうちに、コツがわかってだんだん早くクリアできるようになったよ。これって、経験曲線と同じだね!」

疑問

Q: 経験曲線と学習曲線は同じものですか?

A: 非常に似ていますが、経験曲線はコストの低下に焦点を当て、学習曲線は作業時間の短縮に焦点を当てています。

Q: 経験曲線はすべての業種に当てはまりますか?

A: 多くの業種に当てはまりますが、単純作業が少なく、経験の蓄積が難しい業種では効果が出にくい場合もあります。

Q: 経験曲線はいつまで続きますか?

A: 初期は大きくコストが下がりますが、ある程度の経験を積むと効果が鈍化してきます。

Q: 経験曲線の活用方法には何がありますか?

A: 生産計画の見積もり、価格戦略の策定、競争優位の分析などに使われます。

Q: 経験曲線と規模の経済の相乗効果とは、どのようなメカニズムで働きますか?

A: 規模の経済により固定費が生産量で分散され、単位コストが低下します。一方、経験曲線により生産工程や作業者の熟練が進み、変動費が低下します。この2つが同時に働くと、コスト削減効果がさらに大きくなります。

Q: 企業が経験曲線効果を活用するには、どのような戦略が必要ですか?

A: コストリーダーシップ戦略(例:大量生産によって市場シェアを早期に獲得する)や、継続的な工程改善、教育訓練による熟練度向上が効果的です。また、製品・サービスを標準化することも経験曲線効果を最大化する鍵となります。

Q: 規模の経済と経験曲線は、どのような業界で特に顕著に現れますか?

A: 自動車、半導体、航空機、クラウドサービスなど、大量生産や長期的運用が前提の産業で顕著です。これらの業界では、初期投資が大きくても、累積生産が進むにつれコストが急激に下がる傾向があります。

理解度を確認する問題

「経験曲線」に関する説明として最も適切なものはどれですか?

A. 生産数量が一定以上になるとコストは上がる
B. 生産経験が蓄積されるほどコストが上昇する
C. 生産量の増加により単位コストが低下する傾向
D. 製品価格が高くなることで利益率が上がる

正解: C

関連論文や参考URL

The Experience Curve Reviewed(Boston Consulting Group)

BCGがまとめた複数の業界データをもとに、「累積生産量が2倍になると、コストが平均して20〜30%低下する」という経験則を実証。
結果: この法則は製造業に限らず、多くの産業で観察されるとされ、戦略立案のベースとして使われています。

「How Economies of Scale Meet the Experience Curve」

この研究では、企業が生産規模を拡大することで得られる「規模の経済」と、累積生産量の増加によって効率が向上する「経験曲線」の相乗効果について分析しています。​具体的には、以下のような点が挙げられています:​

  • コスト削減:​生産量の増加により、固定費が分散され、単位あたりのコストが低下します。
  • 効率の向上:​経験の蓄積により、作業手順の最適化やミスの減少が実現されます。
  • 競争優位性の強化:​コストリーダーシップを確立し、市場での競争力を高めることが可能です。​

これらの要素が組み合わさることで、企業は持続的な成長と競争優位性を確保できます。

「Survey of the Empirical Evidence on Economies of Scale」

この調査では、さまざまな業界における規模の経済の実証的な証拠を収集・分析しています。​特に、以下の点が注目されています:​

  • 業界ごとのスケールメリット:​航空機産業や自動車産業など、大量生産が可能な業界では、規模の経済の効果が顕著に現れます。
  • 経験曲線との関連性:​生産経験の蓄積が、効率の向上やコスト削減に寄与することが確認されています。​

これらの知見は、企業が生産戦略を立案する際の重要な指針となります。​

まとめ

経験曲線とは、生産量が増えるほどコストが下がる法則です。
作業の熟練や工程の改善で効率が上がります。
多くの業種で使える経営戦略の基本です。

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