デルファイ法

Delphi ストラテジ系

専門家の意見を繰り返し集めて、みんなの合意を目指す方法のこと

簡単な説明

専門家に「これからどうなると思う?」って何回かアンケートして、
「みんなの意見がだんだんまとまってくるのを待つ」未来予測の方法だよ。
顔出しナシ・匿名だから、変な遠慮ナシで本音が聞けるのがポイント!

由来

デルファイ法(Delphi Method)は、1950年代にアメリカのランド研究所(RAND Corporation)で、未来予測のために開発されました。
名前の由来は、古代ギリシャの「デルファイの神託」からきており、「未来のことを知る方法」という意味合いが含まれています。

具体的な説明

デルファイ法は、専門家たちの意見を**匿名で何回かアンケート調査(ラウンド)**して、意見をまとめていく方法です。

・意見は匿名で集めるので、誰かに遠慮することなく答えられます。
・1回目の回答をもとに、2回目は「他の人の意見を見てから再考」できます。
・これを2回、3回と繰り返すことで、「合意(コンセンサス)」に近づきます。

例えば、「10年後に流行っている働き方は何か?」というテーマで、ITの専門家10人に意見を聞きます。
1回目で「リモートワーク」「副業OK」「AIとの協働」などの意見が出たとします。
その意見をまとめて、2回目で「他の人はこう言ってますが、あなたの意見は変わりますか?」と再び聞きます。
これを繰り返すことで、より現実的で共通の予測ができます。

デルファイ法は「定性的リサーチ法」の一種であり、特に不確実性が高い未来予測や政策立案に適しています。
統計的手法は使いませんが、構造化されたフィードバックループによって、意見の集約を行います。
回答者のバイアスや影響力の排除、反復による精緻化が強みです。

ある大学の研究で、「2030年の教育のあり方」をデルファイ法で調査。
教育学の専門家30名に3回のアンケートを行い、1回目は意見がバラバラ。
2回目以降は「個別最適化されたAI教材」が共通のキーワードとして浮上。
結論として、多くの専門家が「AIが教師を補助する教育」が主流になると合意しました。

例文

「学校の新しいカリキュラムを決めるために、先生や教育の専門家の意見をデルファイ法で集めたところ、みんなが納得する内容が見つかりました。」

疑問

Q: デルファイ法は何回アンケートをすれば良いのですか?

A: 通常は2〜3回が一般的ですが、合意に達するまで繰り返すこともあります。

Q: 匿名で意見を集める理由は何ですか?

A: 他の人の影響を受けず、自由に意見を言えるようにするためです。

Q: デルファイ法はどんな分野で使われていますか?

A: 医療、教育、ビジネス、政策立案、IT戦略など、幅広い分野で使われています。

Q: 専門家が一致しない場合はどうなりますか?

A: 最後まで一致しないこともあります。その場合は、多数意見と少数意見を両方まとめます。

Q: デルファイ法と多数決は何が違いますか?

A: 多数決は1回で決めますが、デルファイ法は何回も意見をやり取りして合意を目指します。

Q: デルファイ法は何人くらいの専門家で行うのが一般的ですか?

A: 一般的には10人から50人くらいの専門家で行われます。少なすぎると偏りやすく、多すぎるとまとめるのが大変になるからです。

Q: デルファイ法で使うアンケートは、どのように配られますか?

A: 多くの場合、インターネットやメールを使って送られます。匿名性が重要なので、紙のアンケートではなくデジタルな手段が好まれます。

Q: デルファイ法はどんなときに使うのが効果的ですか?

A: 将来の予測や、答えが一つではない問題(教育や技術の未来、社会の変化など)に使うのが効果的です。

Q: なぜ専門家の意見を何回も聞く必要があるのですか?

A: 最初の意見だけだとバラバラになりやすいからです。何回か繰り返して、意見が近づいていくことが大切です。

Q: 途中で意見を変えるのは間違いではないのですか?

A: いいえ、むしろデルファイ法では「他の人の考えを見て、自分の意見を見直すこと」が大事なのです。

Q: デルファイ法における「フィードバック」とは何ですか?

A: 他の人の意見や平均的な回答を見せることで、自分の意見を見直す材料にすることです。

Q: リアルタイム・デルファイ法って何ですか?

A: 通常のデルファイ法では意見を何回かに分けて集めますが、リアルタイム・デルファイ法では「その場で他の人の意見が見られて、すぐに自分の意見も修正できる」新しい方法です。

Q: なぜ医療分野でデルファイ法がよく使われるのですか?

A: 医療では、全員が納得できる治療法や方針を決めるのが難しいことが多いからです。デルファイ法は、専門家の合意を丁寧に集められるのでとても役立ちます。

Q: e-Delphi法を使うときの注意点はありますか?

A: インターネット環境が必要なことや、質問の設計をしっかり考えないと、意見がうまく集まらないこともあるので注意が必要です。

理解度を確認する問題

将来の技術動向などの予測において、専門家の意見を匿名で複数回集め、合意を得ようとする手法はどれか?

A. ブレーンストーミング
B. SWOT分析
C. デルファイ法
D. ヒストグラム法

正解: C. デルファイ法

関連論文や参考URL

「The Delphi Method: Techniques and Applications(Linstone & Turoff, 1975)」

概要: デルファイ法の理論と応用事例を網羅した古典的文献。教育、医療、政策立案での成功事例を多数掲載。
結果: デルファイ法は「複雑で先が見えにくい分野」において、高い精度の予測を導けると結論づけています。

Applying real-time Delphi methods: development of a pain assessment survey

概要:​この研究では、リアルタイムDelphi法を使用して、オーストラリアの救急看護師の間で痛みの評価と管理に関する知識、認識、影響要因を調査する全国的な調査を開発しました。​リアルタイムDelphi法は、デジタルプラットフォームを活用して、研究者が即時にフィードバックを得ることを可能にし、プロセスを強化する新たな機会を提供します。​このケーススタディは、救急看護や関連分野の研究者にとって、リアルタイムDelphi法の使用に関する洞察と手順上の課題、促進要因を提供します。

まとめ

デルファイ法は、専門家の意見を匿名で繰り返し集め、意見を収束させる方法です。
未来予測や合意形成に用いられ、1回ごとのアンケート結果に基づき再回答を行います。
名前の由来は、古代ギリシャの「デルファイの神託」で、不確実な未来に答えを見つけるための手法です。

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