コンカレントエンジニアリング

いろんな部門が同時に協力してモノづくりを進める方法のこと

簡単な説明

「設計だけじゃなくて、作る人・売る人・チェックする人、みーんな最初から集まって一緒にモノづくりしようぜ！」って感じのやり方。

バラバラにやるより、早い・ムダない・ミス減るっていう、効率重視のチームプレイ！
ただし、最初は「誰が何するの？」って調整にちょっとパワーいるかもね。

由来

1980年代後半、アメリカの国防総省（DoD）が開発期間の短縮と品質向上のために取り入れたのが始まりです。
従来の「順番に進める開発（ウォーターフォール型）」では時間がかかるため、同時進行（コンカレント）**で作業を進める考え方が生まれました。

具体的な説明

コンカレントエンジニアリングは、製品の設計・開発において、設計・製造・営業・品質管理などの各部門が最初から一緒に関わり、同時に作業することで、
・開発期間の短縮
・品質の向上
・手戻りの削減
を実現するアプローチです。

たとえば、ある自動車を開発する際、以前は以下のように順番で作業していました：

設計部門が図面を描く
製造部門が部品を作る
品質管理部門が検査を行う
営業が販売準備をする

しかし、これでは途中で「この部品は実際には作れない」といった問題が起きて設計に戻る＝手戻りが発生してしまいます。

そこで、最初から設計・製造・品質・営業が集まって会議を行い、
「この部品、作れますか？」「お客様のニーズに合ってますか？」と話し合いながら同時に開発を進めるのがコンカレントエンジニアリングです。

コンカレントエンジニアリングは、製品開発におけるクロスファンクショナルチーム（多部門連携チーム）を用いて、ライフサイクル全体最適化を目指します。
製品の上流工程（企画・設計）で、下流の製造・保守の視点を取り入れることで、開発リードタイムの短縮（30～70％）、トータルコストの削減（20～60％）が可能とされます。

アメリカの企業GEでは、コンカレントエンジニアリングを導入して新型家電を開発した結果、
・開発期間：従来比で40%短縮
・開発コスト：35%削減
・市場投入スピード：1.5倍向上
という成果が得られたと報告されています。

コンカレントエンジニアリングのメリット

項目	内容
開発期間の短縮	各部門が同時に作業を進めることで、製品完成までの時間が30～50％短縮されます。
コスト削減	手戻り（やり直し）が減ることで、材料や人件費などの無駄なコストが抑えられます。
品質向上	製造や品質管理の視点を設計初期から取り入れることで、完成度の高い製品になります。
チーム間連携の強化	多部門が協力して開発するため、社内のコミュニケーションが活発になります。
顧客満足の向上	営業やサポート部門の意見が反映され、使いやすくニーズに合った製品になります。

コンカレントエンジニアリングのデメリット

項目	内容

導入準備が大変

多部門の調整やITツールの導入が必要で、仕組みを整えるまでに手間とコストがかかります。

専門知識の共有が難しい

設計者と営業では用語や考え方が違うため、相互理解に時間がかかることがあります。

情報量の増加

多くの部門が同時に関わるため、管理する情報が増えて複雑になります。

意見の衝突

部門間で優先順位や考え方が異なる場合、調整に時間がかかることもあります。

教育コスト

社内でこの仕組みを理解して運用できる人材を育てる必要があります。

例文

「このロボット、設計と製造と販売のチームが同時に話し合って作ったんだって。まさにコンカレントエンジニアリングだね！」

疑問

Q: なぜ順番に作るより、同時進行がいいのですか？

A: 同時に進めることで、後でミスが見つかる「手戻り」が減り、時間とコストを節約できるからです。

Q: 誰が関わるのですか？

A: 設計者、製造部門、品質管理、営業、サービス担当など、製品に関係する多くの部門が最初から一緒に関わります。

Q: ITの開発でも使えますか？

A: はい、ソフトウェア開発でも開発・テスト・サポート部門が協力して進めることで効果を発揮します。

Q: どんなツールが使われますか？

A: CAD（設計ツール）やPLM（製品ライフサイクル管理）ツール、オンラインのコラボレーションツールなどが使われます。

Q: どうしても意見がぶつかることはないの？

A: あります。でもその対立が早めに表に出ることで、大きな失敗を防ぐことができるのです。

Q: 「手戻り」とは具体的にどんなことを指しますか？

A: 手戻りとは、設計や作業が一度完了したあとで、後工程からの指摘や不具合が見つかり、再びやり直しになることです。時間もコストも余計にかかるため、これを減らすのがコンカレントエンジニアリングの目的です。

Q: すべての部門が同時に関わると、逆に混乱しませんか？

A: 混乱を防ぐために、明確な役割分担やプロジェクトマネージャーの存在が大切です。また、各部門が情報をリアルタイムで共有できる仕組みも必要です。

Q: コンカレントエンジニアリングはいつから効果が出ますか？

A: 初期段階では調整が大変かもしれませんが、数回のプロジェクトでノウハウが蓄積されると、短期間で効果が見えやすくなります。特に量産製品で効果が大きいです。

Q: なぜ製品の品質も上がるのですか？

A: 各部門が早い段階から意見を出すことで、使いにくさや設計上の問題が事前にわかりやすくなり、改良がしやすくなるからです。

Q: ソフトウェア開発にも使えますか？

A: はい、使えます。たとえば開発者・テスター・UIデザイナー・顧客対応担当が一緒に要件を詰めることで、ミスや手戻りを減らし、早く品質の高いソフトを完成させることができます。

理解度を確認する問題

コンカレントエンジニアリングの説明として最も適切なものはどれか。

ア）各工程を順番に進めて確実に完成させる方式
イ）複数の部門が同時に関与して製品開発を行う方式
ウ）開発作業を外注してコストを下げる方式
エ）製造ラインを全自動化する方式

正解：イ

まとめ

コンカレントエンジニアリングは、設計・製造・営業などが同時に連携して製品開発を進める手法です。
手戻りを減らし、開発期間の短縮・コスト削減・品質向上を実現します。
ただし、導入には部門間の調整や情報共有の仕組みが重要となります。