シュリンクラップ契約

Shrink Wrap ストラテジ系

ソフトウェアのパッケージを開けたら、契約に同意したことになる仕組みの契約のこと

簡単な説明

本屋で買ったゲームソフトに「この袋を開けたら、遊び方のルールを守ることに同意したことになります」と書いてある。
袋を開けてゲームを始めたら、もうそのルールに従う義務があるよ、という仕組みです。

現在では、インターネット経由でのダウンロード販売が主流になったため、
「シュリンクラップ契約」は「クリックラップ契約(クリックで同意)」や「ブラウズラップ契約」に進化しています。

由来

「シュリンクラップ(Shrink Wrap)」とは、熱で縮む透明な包装フィルムのことです。
昔のパッケージソフト(CD-ROMなど)は、このシュリンクフィルムで密封されており、
そのフィルムに「開封したら使用許諾契約に同意したとみなします」と記載されていました。

この開封=同意という仕組みを「シュリンクラップ契約」と呼びます。

具体的な説明

シュリンクラップ契約の法的問題として、「消費者が契約内容を事前に確認できないまま拘束される」ことがあり、
裁判では「契約の成立時期や有効性」が争点になるケースもあります。

  • アメリカでは一部の州で有効とされるが、州によっては無効とされることもあり、解釈に差があります
  • 日本では消費者契約法・電子契約法の観点から、「事前の明示性・同意の明確性」が重視されます

実例:Microsoftの旧製品

  • Windows 95 や Office 2000などは、CD-ROMのパッケージに「このパッケージを開けたら使用条件に同意したとみなします」と明記
  • 使用条件は中の紙に印刷されており、開封前には見られない
  • しかし、開けて使えば「同意した」とされていた

例文

「ソフトを開封して使った時点で契約が成立するシュリンクラップ契約は、クリックラップ契約の前身といえます。」

疑問

Q: シュリンクラップ契約とはどのような契約方式ですか?

A: 商品のパッケージを開けたら、契約に同意したとみなす方式です。

Q: 主にどのような商品で使われてきましたか?

A: CD-ROMなどのパッケージソフトウェアで使われてきました。

Q: シュリンクラップ契約の法的な問題点は何ですか?

A: 購入者が契約内容を開封前に確認できない点が問題となることがあります。

Q: 現代のオンライン契約では、何に置き換えられていますか?

A: 「クリックラップ契約(クリックで同意)」や「ブラウズラップ契約」です。

Q: シュリンクラップ契約で「契約に同意した」とみなされるのは、どのタイミングですか?

A: 商品のパッケージを開封した時点で「契約に同意した」とみなされます。

Q: なぜシュリンクラップ契約には批判もあるのですか?

A: 購入者が契約内容を開封するまで読めないため、「知らずに同意させられる」可能性があるからです。

Q: ユーザーが契約内容に納得できなかった場合、返品できるのですか?

A: 一部の企業では返品制度を設けていますが、法律上は返品の義務はなく、トラブルになることもあります

Q: オンライン時代の契約とシュリンクラップ契約の違いは何ですか?

A: シュリンクラップは物理的パッケージの開封による同意ですが、オンラインではボタンをクリックして同意する「クリックラップ契約」が主流です。

Q: シュリンクラップ契約でクーリングオフは適用されますか?

A: 通常は適用されません。
クーリングオフ制度は、訪問販売や電話勧誘販売などの特定商取引法の対象であり、
店頭購入やECサイトでの一般的なソフトウェア購入は対象外です。

理解度を確認する問題

次のうち、シュリンクラップ契約に関する説明として最も適切なものはどれか?

A. ソフトウェアを使用した後に契約を確認できる
B. ユーザーが明示的に署名して契約する形式である
C. パッケージを開封した時点で契約に同意したとみなされる
D. ネットでサービスを利用する際に自動で契約が成立する方式である

正解: C. パッケージを開封した時点で契約に同意したとみなされる

関連論文や参考URL

「シュリンクラップ契約の問題点」

この論文では、シュリンクラップ契約の法的有効性について、特にアメリカの判例を中心に検討しています。​シュリンクラップ契約とは、ソフトウェアのパッケージを開封することで、使用許諾契約に同意したとみなす契約形態です。​論文では、シュリンクラップ契約が契約法および著作権法とどのように関係するかを分析しています。

論文では、シュリンクラップ契約の有効性について、以下のような見解が示されています。

  • シュリンクラップ契約は、契約法上の「合意」が成立していない可能性があるため、法的拘束力が疑問視される。​
  • 著作権法との関係では、シュリンクラップ契約によって著作権法が認める利用者の権利(例:リバースエンジニアリングの権利)が制限される場合、著作権法に抵触する可能性がある。

この論文から、シュリンクラップ契約には以下のような問題点があると解釈できます。

  • 契約の成立時期の不明確さ:​パッケージ開封時に契約が成立するとされるが、利用者が契約内容を事前に確認できないため、真の合意があったか疑問が残る。​
  • 利用者の権利制限:​シュリンクラップ契約によって、著作権法で認められた利用者の権利が不当に制限される可能性がある。​
  • 法的な一貫性の欠如:​契約法と著作権法の間で、シュリンクラップ契約の扱いに一貫性がなく、法的な混乱を招く可能性がある。

まとめ

シュリンクラップ契約は、ソフトウェアのパッケージを開けたら契約に同意したとみなす方式です。
中身を開けないと契約内容が見えないことが法的に問題になる場合があります。
現在ではクリックラップ契約など、より明示的な契約方式が主流です。

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