要配慮個人情報(ようはいりょこじんじょうほう)

Sensitive Personal Information セキュリティ関連法規

特にデリケートで、扱いに注意が必要な個人情報のこと

簡単な説明

たとえば、ある人が「○○病にかかったことがある」とか「どこの宗教を信じているか」など、
知られたくないことや、人によっては偏見の原因になることってありますよね。

そういう情報を勝手に使ったり、ネットに出したりすると、大きな問題になることがあるんです。
だから特別に守るルールがある、それが「要配慮個人情報」です。

由来

「要配慮個人情報」という概念は、2017年に改正された個人情報保護法で新たに定義されました。
特にプライバシー侵害や差別などにつながるリスクが高い情報として、一般の個人情報とは区別されています。

具体的な説明

要配慮個人情報とは、本人に不利益や差別を与えるおそれがあるため、特に慎重な取り扱いが求められる情報のことです。
この情報を取得・利用するには、原則として本人の同意が必要です(例外あり)。

以下の情報が「要配慮個人情報」に該当します:

  • 人種、信条、社会的身分
  • 病歴、障害、健康診断の結果、医療情報
  • 犯罪歴、犯罪被害歴
  • 労働組合への加入
  • セクシャルマイノリティに関する情報(性的指向・性自認)
  • 本人を識別できる遺伝子情報、生体認証情報

要配慮個人情報は、GDPR(EU一般データ保護規則)における“Sensitive Personal Data”と類似しており、
日本においても特に厳しい取り扱いが必要とされる情報群です。

その取り扱いにおいては、

  • 取得時の同意
  • 目的の明確化
  • 適切な安全管理措置
    が法的に求められ、違反すると罰則が科されることもあります。

ある病院で、従業員が患者の病歴情報をSNSで漏らしてしまったケースがありました。
→ 医療機関は行政指導を受け、本人には精神的被害が発生。

要配慮個人情報の取り扱いミスは、企業にとって信用問題や損害賠償にも直結します。

例文

「面接の際に宗教を尋ねるのは、要配慮個人情報にあたり不適切です。」

疑問

Q: 要配慮個人情報とはどんな情報ですか?

A: 本人に不利益や差別をもたらすおそれがあり、特に慎重に取り扱うべき個人情報

Q: 要配慮個人情報を取得する際のルールは?

A: 原則として、本人の明確な同意が必要です。

Q: 要配慮個人情報にあたるものを3つ挙げてください。

A: 病歴、信仰、犯罪歴 などです。

Q: 通常の個人情報との違いは何ですか?

A: 要配慮個人情報は、扱いを間違えると重大なプライバシー侵害になる可能性があるため、法律で特に保護されています。

Q: 会社が要配慮個人情報を管理する上で必要なことは?

A: 目的を明確にし、同意を得て、安全に保管・使用することが求められます。

Q: 要配慮個人情報が漏洩した場合、企業にどのような罰則がありますか?

A: 個人情報保護法違反に該当し、個人情報保護委員会からの勧告・命令・過料(最大50万円)を科されることがあります。悪質な場合は刑事罰の対象にもなります。

Q: 法人ではなく個人(従業員)が漏洩させた場合はどうなりますか?

A: 業務上の故意・過失であれば、企業が責任を負うことになりますが、
場合によっては個人にも損害賠償請求や刑事責任が問われる可能性があります。

Q: 要配慮個人情報が漏洩した際、企業が取るべき対応は何ですか?

A: 速やかに本人と個人情報保護委員会に報告し、再発防止策を講じる必要があります。報告義務は法的にも定められています(2022年改正法以降、原則義務化)。

Q: 個人同士で要配慮個人情報をやり取りする場合にも、法律は関係ありますか?

A: はい、営利目的でなくても、要配慮個人情報を第三者に提供・拡散する行為は、
名誉毀損・プライバシー侵害・損害賠償請求などの法的責任が発生する可能性があります。

Q: SNSなどで他人の病歴や信条を投稿したらどうなりますか?

A: 個人情報保護法の対象外であっても、民法・刑法・名誉毀損罪などの法律により、損害賠償や処罰の対象になることがあります。
特に、意図的・悪質な晒し行為は訴訟リスクが高まります。

Q: 個人間でのやりとりに「個人情報保護法」は適用されるのですか?

A: 原則として、個人情報保護法は「業務として個人情報を取り扱う事業者」を対象としています。
ただし、個人間でもSNSやネットを通じて
拡散性が高くなると、他の法令による処罰の対象になる可能性があります。

理解度を確認する問題

次のうち、「要配慮個人情報」に該当するものはどれか?

A. 氏名
B. メールアドレス
C. 病歴
D. 住所

正解: C. 病歴

要配慮個人情報を取得する際に必要なこととして適切なものはどれか?

A. 本人の年齢確認
B. 本人の同意
C. 管理者の許可
D. 利用者のメールアドレス

正解: B. 本人の同意

関連論文や参考URL

「要配慮個人情報の保護と企業リスク」

要配慮個人情報に対する企業のコンプライアンス体制を分析し、リスク管理の必要性を説く。
結果: 要配慮情報の漏えいが、企業ブランドと顧客信頼に大きなダメージを与えることが確認された。
解釈: 情報管理は、単なるセキュリティ対策ではなく、企業の社会的責任(CSR)の一部として扱うべき。

「Analyzing Leakage of Personally Identifiable Information in Language Models」

本論文では、言語モデル(LM)が学習データから個人を特定できる情報(PII)を漏えいするリスクを分析しています。従来、データセットのスクラビング(個人情報の削除)によりPII漏えいは防止できると考えられていましたが、スクラビングの不完全性やデータの有用性維持とのトレードオフにより、完全な防止は難しいと指摘しています。​

結果:

  • 新たに提案された攻撃手法により、既存の手法と比較して最大10倍のPIIシーケンスを抽出できることが示されました。​
  • 差分プライバシーを適用した場合でも、約3%のPIIシーケンスが漏えいすることが確認されました。​
  • レコードレベルのメンバーシップ推論とPII再構成との間に微妙な関連性があることが示唆されました。​

解釈: この研究は、言語モデルがPIIを漏えいするリスクが依然として存在し、データスクラビングや差分プライバシーといった既存の防御策だけでは不十分であることを示しています。特に、PIIの漏えいは個人のプライバシー侵害や法的問題を引き起こす可能性があるため、より強力な防御策の開発や、モデルの学習・運用における慎重な配慮が必要であることが示されています。

まとめ

要配慮個人情報とは、病歴・信仰・性的指向など、特に慎重な管理が必要な個人情報のことです。
本人の同意なしに取得・利用することは禁止されています。
企業や組織が違反すると、法的・社会的なリスクが発生します。

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