共通鍵暗号方式

Symmetric-key encryption セキュリティ
Symmetric-key encryption

「1つの鍵で暗号化も復号もする」方式のこと

簡単な説明

たとえば「ひみつの手紙」を渡すとき、合言葉(=鍵)を決めておいて、相手とそれを共有してから使う感じです。
でもその合言葉を盗まれたらアウト。速くて便利だけど、合言葉の渡し方には工夫がいるよって話です。
なので、スパイ映画みたいな「鍵の受け渡し」がポイント!

由来

共通鍵暗号方式は古代ローマのカエサル暗号のようなシンプルなものから、現代のAES(Advanced Encryption Standard)のような高度な方式に進化してきました。
1977年にアメリカで
DES(Data Encryption Standard)が標準化され、2001年にはその後継としてAES
が登場し、今日でも世界中の暗号通信に使われています。

具体的な説明

共通鍵暗号方式(対称鍵暗号方式)は、暗号化と復号に同じ鍵を使う方式です。
送信者と受信者があらかじめ鍵を共有しておく必要があります。
処理が高速で、大量のデータを扱う暗号通信に向いていますが、鍵の配送が安全でないと通信内容が漏洩するリスクがあります。

例えば、あなたが親友に「内緒のメッセージ」を送りたいとき、ふたりで「鍵=オレンジ」と決めておきます。
その鍵で文章を暗号化して送り、親友も同じ「オレンジ」で復号して読むわけです。
でも誰かが「オレンジ」という鍵を盗んだら、その人も中身を読めちゃいます。

項目共通鍵暗号方式公開鍵暗号方式
鍵の本数1本(同じ鍵を共有)2本(公開鍵と秘密鍵)
鍵の共有方法あらかじめ安全な方法で共有が必要公開鍵は誰でも入手可能(秘密鍵は本人だけ)
暗号化の速度速い(高速処理)遅い(計算量が多い)
主な用途大量データの暗号化、VPNなど電子証明書、電子署名、鍵交換など
セキュリティリスク鍵が漏れると全員にバレる秘密鍵が漏れない限り安全
AES、DES、RC4RSA、ECC
鍵配布の難しさ高い(安全な方法が必要)低い(公開鍵を配るだけでよい)
ITパスポート試験での問われ方「同じ鍵を使う暗号方式はどれか」など「公開鍵と秘密鍵を使うのはどれか」など

共通鍵暗号方式(対称暗号)は、暗号関数 Ek(M)=CE_k(M) = CEk​(M)=C と復号関数 Dk(C)=MD_k(C) = MDk​(C)=M において、鍵 kkk が共通であることが前提です。
代表的なアルゴリズムには**ブロック暗号(AES、DES)ストリーム暗号(RC4など)があり、これらは異なる用途で使われます。
セキュリティは
鍵長(ビット数)**に依存し、128ビット鍵では 21282^{128}2128 通りの組み合わせがあるため、現実的には総当たり攻撃は不可能です。

実験や観察手法と結論

実験内容:
  • 比較対象:AES(共通鍵) vs RSA(公開鍵)
  • データ:100MBの動画ファイル
  • 測定項目:暗号化・復号にかかる時間
結果:
  • AESはRSAに比べて暗号化・復号速度が100倍以上速い
  • 共通鍵の暗号強度は十分だが、鍵の共有手段が必要
  • 多くの実際のシステムでは、**公開鍵方式で共通鍵を渡して併用(ハイブリッド方式)**されている

例文

「このフォルダは共通鍵暗号で保護してあります。同じパスワードを使えば復号できます。」

疑問

Q: 共通鍵暗号方式って、どうやって鍵を相手に渡せばいいんですか?

A: 安全な方法(例:USB、直接渡す、公開鍵方式を使う)で渡す必要があります。

Q: 公開鍵暗号方式と比べて、共通鍵暗号の利点は?

A: 暗号化・復号の処理がとても高速で、大量のデータに向いています。

Q: 共通鍵暗号方式って、どんな場面で使われてますか?

A: VPN通信、Wi-FiのWPA2、ZIPファイルの暗号化など、身近な場面でよく使われています。

Q: AESって何ですか?

A: AES(Advanced Encryption Standard)は共通鍵暗号の代表例で、現在の世界標準です。

Q: 共通鍵が漏れたらどうなるの?

A: 相手が復号できるだけでなく、悪意ある第三者も通信内容を見られる可能性があります。

理解度を確認する問題

暗号化と復号に同じ鍵を用いる暗号方式はどれか。

A. 公開鍵暗号方式
B. デジタル署名方式
C. 共通鍵暗号方式
D. ハッシュ関数方式

正解:C. 共通鍵暗号方式

共通鍵暗号方式の特徴として正しいものはどれか。
A. 秘密鍵と公開鍵を使用する
B. ハッシュ関数を使って変換する
C. 同じ鍵で暗号化・復号を行う
D. 鍵の配布が不要である

→ 正解:C

AESはどの暗号方式に分類されるか?
A. 公開鍵暗号方式
B. ハッシュ関数方式
C. 共通鍵暗号方式
D. デジタル署名方式

→ 正解:C

関連論文や参考URL

“The Design of Rijndael: AES – The Advanced Encryption Standard”

内容: AESアルゴリズム(共通鍵暗号)の設計とそのセキュリティについて詳細に解説。
結果: 強力な暗号強度と高い処理性能により、世界中の政府・企業に広く採用されている。

まとめ

暗号化と復号に同じ鍵を使う暗号方式です。

高速で大量のデータ通信に向いているのが特長です。

鍵のやり取りを安全に行う方法が課題になります。

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