最初からセキュリティを考えて設計すること
簡単な説明
「家を建てるとき、ドアに鍵をつけるのを忘れてあとから気づくより、最初から鍵付きのドアを設計する方が安全でしょ?そんな考え方が”セキュリティバイデザイン”だよ!」
由来
2000年代後半からサイバー攻撃が激増したことで、「後から対策する」方法では追いつかなくなりました。
そのため、欧州(EU)のGDPRやISO/IEC 27001などの国際基準でも、設計段階でのセキュリティ重視が義務付けられています。
具体的な説明
セキュリティバイデザインとは、システムの設計や開発の初期段階からセキュリティを考慮し、セキュリティリスクを最小限に抑えるためのアプローチです。
これはソフトウェア開発だけでなく、ハードウェアやインフラ設計にも関わります。
たとえば、オンラインバンキングのアプリを開発するとき、ログインのパスワード強度や通信の暗号化(SSL/TLS)を最初から組み込み、後から追加しないように設計することが「セキュリティバイデザイン」です。
セキュリティバイデザインは、「Secure Software Development Lifecycle(SSDLC)」の重要な構成要素です。これは、要件定義、設計、実装、テスト、運用の各段階においてセキュリティ制御を導入することを意味します。ISO/IEC 27034でその考え方が標準化されています。
多くの組織が後付けセキュリティとセキュリティバイデザインを比較する実験を行っています。結果、セキュリティバイデザインの方が後々の脆弱性対応コストを平均で40〜60%削減できたという報告があります(例:米国NIST調査)。
例文
「このアプリはセキュリティバイデザインを採用しているから、不正アクセスにも強いよ。」
疑問
Q: なぜセキュリティは後からではだめなのですか?
A: 後から対応するとコストも手間も増え、脆弱性が残りやすくなるからです。
Q: セキュリティバイデザインはコストが高くなりますか?
A: 初期は高くなることがありますが、長期的には脆弱性修正コストが減るため結果的に安くなることが多いです。
Q: どんなシステムにでも適用できますか?
A: はい。Webアプリ、スマホアプリ、業務システム、IoT機器など、すべてのITシステムに適用できます。
Q: 法律で求められている場合もありますか?
A: はい。EUのGDPRでは、セキュリティバイデザインの導入が義務とされています。
理解度を確認する問題
セキュリティバイデザインの説明として最も適切なものはどれか。
A. セキュリティは運用段階で考えるべきである
B. セキュリティは設計段階から考慮するべきである
C. セキュリティは利用者の責任である
D. セキュリティ対策は定期的な監査だけで十分である
正解:B
関連論文や参考URL
「Security by Design Principles in Software Engineering」
概要:セキュリティバイデザインの原則を取り入れた開発手法が、脆弱性の数と対応コストをいかに削減できるかを評価。
結果:従来手法に比べて、平均47%のセキュリティインシデントの削減効果があると結論づけられています。
まとめ
- セキュリティバイデザインとは、システムやアプリを作るときに最初からセキュリティを組み込む考え方です。
- 後から対策するのではなく、設計段階からリスクを減らします。
- これにより、脆弱性(ぜいじゃくせい)やサイバー攻撃のリスクを大きく減らせます。


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