本人が本当に送ったと証明する仕組みのこと
簡単な説明
「これ、オレが書いたよ!」って証明するためのサインです。
他の人が勝手に変えてないってことも確認できちゃいます。
パソコンの世界のハンコの代わりみたいなものです。
由来
デジタル署名は、1990年代にインターネットが広まるとともに生まれました。
書面の署名やハンコと同じ法的な役割を果たすため、電子文書の信頼性を保つ目的で開発されました。
特に公開鍵暗号方式(RSAなど)が基礎になっています。
具体的な説明
デジタル署名は、暗号技術を用いた署名方法であり、送信された電子データが「改ざんされていないこと」と「正しい送り主から送られたこと」を証明できます。
具体的には、送信者は自分の秘密鍵でメッセージに署名し、受信者は送信者の公開鍵を使って署名の正当性を検証します。
ある企業が契約書を電子データで送るとき、秘密鍵で署名をつけて送信します。受け取った側は、その企業の公開鍵で確認することで、「改ざんされていない」ことと「その企業が送った」ことを確かめます。これによって、紙の契約書の印鑑と同じ効力を持ちます。
デジタル署名は、主にRSAやDSA(Digital Signature Algorithm)といった公開鍵暗号技術に基づきます。
署名の過程では、まずメッセージのハッシュ値(ダイジェスト)**を生成し、それを秘密鍵で暗号化します。
受信者はメッセージのハッシュ値を再計算し、公開鍵で復号した署名と照合することで、整合性と真正性を検証します。
例文
「このメール、本当に社長から送られてきたの?」
→「デジタル署名がついてるから、社長の秘密鍵でサインされたって証明されてるよ!」
疑問
Q: デジタル署名と電子署名はどう違いますか?
A: デジタル署名は「電子署名」の一種で、暗号技術を使った高度な方法を指します。
Q: なぜハッシュ値を使うのですか?
A: 元のメッセージが長くても、ハッシュ値は短く固定されていて、効率的に署名・検証ができるからです。
Q: 公開鍵が知られたら安全じゃないのでは?
A: 公開鍵はそもそも他人に見せるためのものなので問題ありません。秘密鍵が守られることが重要です。
Q: デジタル署名はどこで使われていますか?
A: 電子契約、電子納税、電子メールなど、改ざん防止や本人確認が必要な場面で使われます。
Q: 法的効力はあるのですか?
A: 電子署名法により、一定の条件を満たせば紙の署名と同等の効力があります。
Q: デジタル署名で「改ざん防止」ができるのはなぜですか?
A: 元のメッセージとハッシュ値を照合することで、内容が1文字でも変わっていれば一致しなくなるためです。
Q: 秘密鍵と公開鍵はどうやって作るのですか?
A: 専用のソフトウェアやOSの機能を使って、数学的なアルゴリズムによりペアで自動的に生成されます。
Q: 同じメッセージを複数回送っても、署名は同じになりますか?
A: 通常は同じになりますが、署名方式によってはランダム性を加えて毎回異なる署名になることもあります(例:DSA)。
Q: ハッシュ関数って何をしてるのですか?
A: 入力されたデータを特定のアルゴリズムで圧縮して、短い固定長の値(ダイジェスト)を作り出します。元に戻すことはできません。
Q: 誰でも公開鍵で検証できるなら、なりすましはされないの?
A: なりすまし防止には、公開鍵が本物であると証明する「電子証明書」が使われます。信頼できる機関(CA)が発行しています。
Q: 公開鍵を悪意のある人が勝手に配ったらどうなるのですか?
A: それを防ぐために、公開鍵の持ち主と本人を紐づける電子証明書が必要です。これにより「本物の公開鍵か?」が確認できます。
Q: デジタル署名って無料で使えるの?
A: フリーの暗号ライブラリで実装は可能ですが、正式な電子契約や法的証明が必要な場面では有料の認証局サービスが使われます。
Q: 紙の署名と同じくらい信用できるのですか?
A: 技術的にはそれ以上に安全です。電子署名法でも、一定の条件下では紙の署名と同等の法的効力を持つと認められています。
Q: デジタル署名が偽造されることはあるのですか?
A: 現代の暗号技術では、秘密鍵が漏れない限り署名の偽造はほぼ不可能です。ただし、鍵の管理には厳重な注意が必要です。
理解度を確認する問題
デジタル署名の目的として適切なものはどれか。
A. メールの内容を暗号化すること
B. 送信者の認証と改ざん防止を行うこと
C. ネットワークの速度を向上させること
D. ファイルを圧縮して転送量を減らすこと
正解:B
デジタル署名で使われる「鍵」の組み合わせとして正しいものはどれか。
A. 送信者が公開鍵で署名し、受信者が秘密鍵で検証する
B. 送信者が秘密鍵で署名し、受信者が公開鍵で検証する
C. 双方が同じ鍵で暗号化と復号を行う
D. 送信者が秘密鍵、受信者が別の秘密鍵で署名と検証を行う
正解:B
関連論文や参考URL
“Digital Signatures and Public Key Cryptosystems” – Rivest, Shamir, Adleman(1978)
RSA暗号の理論的基盤を定義し、デジタル署名を公開鍵で安全に実装する仕組みを提案した画期的な論文です。現在でも電子商取引や行政サービスの信頼性を支える基盤技術となっています。
まとめ
デジタル署名は、電子データが改ざんされていないことと、送信者が本人であることを証明します。
秘密鍵で署名をし、公開鍵でそれを検証します。
主に電子メールや電子契約書で使われています。


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