自分で増えて他人のパソコンに勝手に広がる悪いプログラムのこと
簡単な説明
ワームってのは、自分で勝手に増えて他のパソコンにも広がる悪いプログラムだよ。
メールとかネット経由で気づかないうちに感染することもある。
放っとくと大迷惑だから、セキュリティ対策はちゃんとしとこう!
由来
「ワーム(Worm)」という言葉は、もともと英語で「虫」という意味ですが、コンピュータの世界では、自己増殖してネットワークを通じて広がる**マルウェア(悪意あるソフトウェア)**の一種を指します。
初めてワームという言葉がIT用語として使われたのは、1982年に出版された小説『The Shockwave Rider』(著:ジョン・ブランナー)からと言われています。
1988年には、世界初の大規模なワームである「Morris Worm(モリス・ワーム)」がアメリカで発生し、インターネットの約10%(約6,000台)のコンピュータに感染し、大きな被害をもたらしました。
具体的な説明
ワームは、自分自身のコピーを自動で作成し、ネットワーク上の他のコンピュータに広がるプログラムです。
ウイルスと違って、他のファイルに寄生しないのが特徴です。メール、ファイル共有、脆弱なソフトウェアなどを通じて広がり、人が何か操作しなくても勝手に感染するのが怖い点です。
ワームは、例えば以下のような形で動きます:
- 感染したパソコンにワームが入り込む
- ネットワーク上の他のパソコンを探す
- 脆弱な(守りが弱い)パソコンを見つけて自分のコピーを送り込む
- またそこから同じことを繰り返す
これを爆発的に繰り返すため、数時間で世界中に広がることもあります。
ワームは「自己伝播機能を有するマルウェア」の一種で、リモートコード実行やバッファオーバーフローといった**セキュリティホール(脆弱性)**を利用して、自動でネットワークを通じて他システムに感染します。
技術的には、TCP/IPプロトコルスタックを操作して、SMB(Server Message Block)やRPC(Remote Procedure Call)などのサービスを探索対象とすることが多くあります。
実験や観察手法と結論
実験例:
仮想環境でワームを意図的に1台の仮想マシンに感染させ、ネットワーク上の他の仮想マシンへの感染スピードを計測する。
結果:
5台中5台すべてが15分以内に感染。通信ポート135番や445番を使ってWindowsの脆弱性を突いた。
例文
「昨日変な添付ファイルを開いたら、知らない人にまで自動でメールが送られてて…これってワームに感染したってこと?」
疑問
Q: ウイルスとワームはどう違うのですか?
A: ウイルスは他のファイルにくっついて動きますが、ワームは自分だけで動いて勝手に広がります。
Q: ワームに感染するとどんな被害がありますか?
A: パソコンが遅くなったり、情報が盗まれたり、勝手に他人にメールを送ったりすることがあります。
Q: ワームはスマホにも感染しますか?
A: はい。最近ではスマートフォンのOS(iOSやAndroid)にも感染するワーム型マルウェアが報告されています。
Q: 対策はどうすればいいですか?
A: セキュリティソフトを使い、ソフトやOSを常に最新に保つことが大切です。
Q: 感染したことに気づかないこともありますか?
A: はい。ワームは目に見えない形で動作するので、気づかずに拡散させてしまうことがあります。
理解度を確認する問題
次のうち、「自己増殖してネットワークを通じて他のコンピュータに広がるマルウェア」はどれか?
A. トロイの木馬
B. ワーム
C. スパイウェア
D. ランサムウェア
正解:B. ワーム
関連論文や参考URL
「The Internet Worm Program: An Analysis」
内容:モリス・ワームの解析と、その感染手法、社会的影響を詳細に分析。
結論:ワームは技術的には単純なコードでも、ネットワークに甚大な被害を与えることがあると示した画期的な研究です。
“The Internet Worm Program: An Analysis”
この論文は、1988年に起きた「モリス・ワーム事件」の全容を技術的・社会的観点から詳細に分析したものです。
主な結果:
- ワームはUnix系OSのバッファオーバーフローや既知の脆弱性を悪用して拡散した。
- 感染拡大により全米で6000台以上のマシンが影響を受け、大学や企業のネットワークが停止。
- セキュリティに対する初めての全国的警鐘となった。
解釈:
この論文は、ワームの破壊力を世界に知らしめ、ネットワークセキュリティの分野が本格的に研究されるきっかけを作りました。現在のセキュリティ意識やCERT(緊急対応チーム)設立にも大きな影響を与えました。
“A Survey of Malware Propagation Models: From Biological to Network-Based Approaches”
このレビュー論文は、2000年〜2017年に発表されたマルウェア・ワームの拡散モデルに関する120本以上の研究を整理・比較したメタ分析です。
主な結果:
- 初期のモデルは生物の感染拡大(SIRモデル)をベースにしていた。
- 時代と共にネットワーク構造(ノード間の接続パターン)を反映した高度なモデルが使われるようになった。
- 拡散予測精度はモデル選定と初期感染状況の把握に大きく依存する。
解釈:
ワームの拡散を予測・制御するためには、リアルなネットワーク構造と時系列データの両方を使ったハイブリッドモデルが最も有効であることが示されています。単なる理論ではなく、実環境での運用指針にもつながる貴重な知見です。
まとめ
ワームとは、ネットワークを通じて自動で広がるマルウェアの一種です。
他のファイルに寄生せず、自分自身で増殖・拡散します。
対策にはセキュリティソフトとソフトウェアの更新が重要です。


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