サイバー攻撃の流れを7つの段階に分けて理解し、防御策を立てるためのモデルのこと
簡単な説明
サイバーキルチェーンってのは、ハッカーが攻撃する流れを7つに分けたチェックリストみたいなもんだよ。
「どうやって攻めてくるか」がわかるから、「どこで止めるか」も見えてくるってわけ。
メールとかウイルスとか、最初から最後までの流れを見て防御を考えるんだ。
由来
「サイバーキルチェーン(Cyber Kill Chain)」は、サイバー攻撃の一連のプロセスを7つの段階に分けて体系化したフレームワークです。このモデルは、攻撃者の行動を理解し、防御策を講じるための有効な手段として活用されています。2009年に米国の防衛企業ロッキード・マーティン社によって提唱され、現在では多くの組織でセキュリティ対策の基盤として採用されています。
具体的な説明
サイバーキルチェーンの7つの段階
- 偵察(Reconnaissance)
攻撃者が標的となる組織や個人の情報を収集します。例えば、公開されているウェブサイトやSNS、ドメイン情報などから、メールアドレスや使用しているソフトウェアのバージョンなどを調べます。 - 武器化(Weaponization)
収集した情報をもとに、攻撃に使用するマルウェアやエクスプロイトコードを作成します。例えば、特定のソフトウェアの脆弱性を突くウイルスを作成するなどです。 - 配信(Delivery)
作成したマルウェアを標的に届けます。一般的な手法としては、フィッシングメールに添付する、悪意のあるウェブサイトに誘導する、USBメモリを介して配布するなどがあります。 - 攻撃(Exploitation)
標的がマルウェアを実行することで、システムの脆弱性が悪用され、攻撃が開始されます。例えば、メールの添付ファイルを開くことでウイルスが作動するケースなどです。 - インストール(Installation)
マルウェアが標的のシステムにインストールされ、持続的なアクセスが可能になります。これにより、攻撃者は継続的にシステムを操作できるようになります。 - コマンド&コントロール(Command and Control, C2)
攻撃者が遠隔からマルウェアを操作し、指示を送るための通信が確立されます。これにより、攻撃者は標的のシステムを自在に操ることが可能になります。 - 目的の達成(Actions on Objectives)
最終的な目的を達成します。例えば、機密情報の窃取、システムの破壊、ランサムウェアによる金銭の要求などが含まれます。
サイバーキルチェーンの7つの段階それぞれに対して、どんな防御策(対応策)があるかをわかりやすく説明します。
1. 偵察(Reconnaissance)
攻撃者が情報を集める段階(例:社員のSNS、公開Web)
対応策:
- 社員教育でSNSやブログに機密を書かないよう指導する
- Webサーバやメール情報などの公開範囲を制限する
- IDS(侵入検知システム)で異常アクセスを監視する
2. 武器化(Weaponization)
収集情報をもとにマルウェアを作る段階
対応策:
- サンドボックス環境で未知のファイルを自動検査する
- 脆弱性を悪用されないようOS・ソフトを常に最新版に保つ
- ウイルス定義ファイルを常に更新する
3. 配信(Delivery)
マルウェアを送り込む段階(例:メール・USB・Webサイト)
対応策:
- メールフィルタやスパム対策ソフトを導入する
- USBや外部媒体の使用制限
- Webフィルタリングやファイアウォールで怪しいサイトを遮断
4. 攻撃(Exploitation)
マルウェアが実行される段階(例:添付ファイルを開く)
対応策:
- アプリやOSのセキュリティパッチ適用(脆弱性対策)
- 権限を最低限に設定し、影響範囲を小さくする
- エンドポイントセキュリティソフト(EDR)を導入
5. インストール(Installation)
マルウェアがPCやサーバに居座る段階
対応策:
- 不審なインストールを検出・阻止するEDRの活用
- OSにアプリのインストール制限(ホワイトリスト方式)を導入
- 権限昇格の監視と管理
6. コマンド&コントロール(C2)
外部の攻撃者が遠隔操作する段階
対応策:
- 不審な外部通信(海外IPなど)を監視・遮断
- 通信ログを収集・分析して早期発見
- ファイアウォールで不要な外部通信をブロック
7. 目的の達成(Actions on Objectives)
データ窃取や破壊など最終目的を実行する段階
対応策:
- 機密情報へのアクセス権を最小限に制限
- データの暗号化とバックアップ
- SIEMでログ監視し、異常な振る舞いを早期検知
例文
取引先を装ったメールでマルウェアが社内に侵入し、経理部のPCが乗っ取られました。
攻撃者は外部から遠隔操作し、顧客情報を盗み出しました。
サイバーキルチェーンに沿って攻撃が進行し、複数段階で防ぐチャンスがありました。
疑問
Q: サイバーキルチェーンの目的は何ですか?
A: サイバー攻撃の各段階を理解し、適切な防御策を講じることで、攻撃を未然に防ぐことを目的としています。
Q: 「偵察」段階での防御策はありますか?
A: 公開情報の管理や、アクセスログの監視などが有効です。不要な情報の公開を避けることが重要です。
Q: 「配信」段階での防御策は?
A: メールフィルタリングや、添付ファイルのスキャン、URLのチェックなどが有効です。
Q: 「コマンド&コントロール」通信の検出方法は?
A: 不審な外部との通信を監視し、異常なトラフィックを検出することで対応します。
Q: サイバーキルチェーンはすべての攻撃に適用できますか?
A: 多くの攻撃に適用可能ですが、内部犯行や特定の攻撃手法には適さない場合もあります。
理解度を確認する問題
サイバーキルチェーンの最初の段階はどれですか?
A. 配信
B. 偵察
C. 攻撃
D. インストール
正解:B
関連論文や参考URL
「Tecnicas Avanzadas de Ciberseguridad: Integracion y Evolucion de la Kill Chain en Diversos Escenarios」
サイバーキルチェーンの進化と他のフレームワークとの統合について議論されています。この研究は、攻撃の検出と防御のための新しいアプローチを提案しています。
まとめ
サイバーキルチェーンは、サイバー攻撃の流れを7段階で整理したモデルです。
攻撃者の行動を理解し、防御策を立てるために使われます。
偵察から目的達成までの各段階で対策を講じることが重要です。


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