トラブルが起きたときに、素早く対応して影響を最小限におさえる仕組みのこと
簡単な説明
インシデント管理って、ざっくり言うと「ITのトラブルをすぐ直して、元に戻す仕組み」だよ。
誰かが「ネットつながらない!」って言ったら、それを受けて対応して、早く直すのが目的。
とにかく、止まってるのを早く動かすことが最優先!
由来
「インシデント(incident)」とは、予期しない出来事のことです。ITの世界では、システムが止まったり、ウイルスに感染したりといった「トラブル」のことを指します。
「インシデント管理」は、ITサービス管理の国際的なベストプラクティスである「ITIL(アイティル)」というフレームワークに含まれる重要なプロセスです。
具体的な説明
インシデント管理とは、システムやサービスで問題(インシデント)が発生したときに、できるだけ早く正常な状態に戻すための対応プロセスです。
たとえば、パソコンがフリーズした、サーバーにアクセスできない、ネットがつながらない…といった時に、それを記録し、優先順位をつけて、担当者が対応し、解決まで追跡することを行います。
たとえば、コンビニのレジが突然使えなくなったとしましょう。これが「インシデント」です。このままだとお客さんがレジで待たされてしまい、売上にも影響します。
このとき、すぐに原因を調べ、別のレジに誘導したり、システム担当者がすぐに対応したりする必要があります。こうしたトラブルの受付・記録・対応・復旧・報告を行うのが「インシデント管理」です。
インシデント管理は、ITIL v4における「サービスマネジメントプラクティス」の1つであり、サービスの可用性(Availability)を維持するための基本的なプロセスです。
KPI(主要業績評価指標)としては、平均対応時間(MTTA)、平均復旧時間(MTTR)などが用いられます。自動化されたインシデントチケットシステム(例:ServiceNow、JIRA Service Deskなど)が多くの企業で導入されています。
具体的な観察手法と結論
IT部門では、ユーザーからの通報や監視システムのアラートを使ってインシデントを特定し、チケットとして登録します。その後、以下の手順で処理されます:
- インシデントの受付
- 優先度の決定(緊急性×影響度)
- 対応担当者の割り当て
- 対応・暫定対応
- 解決とサービス復旧
- クローズと報告
このプロセスにより、サービス停止の影響を最小限に抑え、信頼性の高いサービス提供が実現されます。
例文
「今日はインシデントが2件発生して、サーバーのダウンとネットワークの遅延があったけど、どちらも1時間以内に対応して復旧できたよ。」
疑問
Q: インシデントと問題(プロブレム)はどう違うのですか?
A: インシデントは「一時的なトラブル」で、問題は「その原因」や「繰り返し発生する根本的な要因」です。
Q: インシデントが起きたら誰が対応しますか?
A: 多くの場合、「サービスデスク」が最初に対応し、必要に応じて専門チームにエスカレーションします。
Q: インシデントを全部記録する意味はありますか?
A: はい。後から分析して再発防止策を立てたり、対応時間を短くするために重要です。
Q: インシデントの優先順位はどうやって決めますか?
A: サービスに与える「影響度」と「緊急性」で決まります。例えば「全社員が使えないメール」は高優先です。
Q: インシデント管理で「一時対応」と「恒久対応」は何が違うのですか?
A: 一時対応は「とりあえず動くようにする」応急処置で、恒久対応は「もう二度と起きないようにする」根本的な解決です。インシデント管理では主に一時対応を行います。
Q: インシデントはすべて自動で検出できますか?
A: 一部はできますが、すべてではありません。監視ツールで検出できないような、ユーザーからの通報が必要なトラブルもあります。
Q: 小さなインシデントもすべて記録する必要がありますか?
A: はい、記録しておくことで「よくあるトラブル」が見えてきたり、問題管理への橋渡しになったりします。
Q: インシデント管理とサービスデスクはどう関係していますか?
A: サービスデスクはインシデント管理の「最初の窓口」であり、ユーザーからの問い合わせや通報を受け付けて、処理を開始します。
Q: インシデント管理の改善はどうやって行いますか?
A: 過去の記録(ログ)を分析し、対応時間や手順の見直し、マニュアルの整備、自動化の導入などを行うことで継続的に改善します。
理解度を確認する問題
インシデント管理の主な目的はどれですか?
A. 障害の根本原因を特定し、恒久対策を講じること
B. サービスの中断を早期に復旧し、影響を最小限にすること
C. システムの設計を最適化すること
D. セキュリティポリシーを制定すること
正解: B
関連論文や参考URL
“Incident Management Process Improvement using ITIL Framework”(2018年、国際情報システム学会)
内容: ITILに基づいてインシデント管理を導入した企業が、平均復旧時間(MTTR)を40%削減した事例が報告されています。
結論: 手順の明確化と自動化の導入により、復旧までのプロセスが効率化され、ITサービスの安定性が向上した。
まとめ
インシデント管理とは、ITサービスで起きたトラブルを迅速に復旧させる仕組みです。
サービスの中断による影響を最小限にし、正常な状態に早く戻すことが目的です。
受付から対応・復旧・報告までを一連のプロセスとして管理します。


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