類推見積法(るいすい みつもりほう)

Analogous Estimating システム開発技術

過去の似た事例から、今回の作業や費用、時間などを予測する方法のこと

簡単な説明

「前にやった似たようなやつ、これくらいだったから今回もそんなもんでしょ」って見積もる方法。とにかく早くざっくり出したいときに便利。でも、ちゃんと似てないと全然外れることもあるから注意!

由来

類推見積法は、英語では「Analogous Estimating」と呼ばれます。プロジェクトマネジメントの分野で使われる技法のひとつで、過去のプロジェクトのデータや実績を参考にして、現在のプロジェクトの見積もりを行う方法です。

プロジェクトマネジメントの国際標準である「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」にも含まれている正式な見積もり手法です。

具体的な説明

「類推見積法」とは、過去に行った似たようなプロジェクトや作業内容から、工数(時間や人手)やコスト(費用)を見積もる手法です。

たとえば、去年作ったホームページの制作に100時間かかったとします。今年も似たようなホームページを作るなら、「だいたい同じ100時間くらいかかるだろう」と考えるのが類推見積法です。

たとえば、あなたが去年「小学校向けのホームページ」を作る仕事をして、費用は50万円、期間は3週間かかったとします。

そして今年、「中学校向けのホームページ」を作る依頼を受けました。機能もページ数もほぼ同じで、デザインも似たようなものなら、去年の経験から「だいたい同じくらいの期間と費用でできる」と見積もることができます。

これが類推見積法です。

類推見積法は、定量的データが不十分な初期段階での見積もりに有効であり、主観的判断に頼る傾向があるため、経験のあるプロジェクトマネージャの知識と判断力に依存します。

この方法は、工数見積りの初期フェーズや類似プロジェクトが存在する場合に使われやすく、開発規模が急に大きく変化したり、新しい技術を使う場合には精度が落ちるリスクがあります。

複数のプロジェクトを対象に、類推見積法と実際の所要時間や費用を比較する研究が行われた結果、類似度が高いプロジェクトでは精度が高くなる一方、プロジェクトの規模や技術が異なる場合、誤差が大きくなることがわかりました。

例文

「去年のオンラインショップ構築で2ヶ月かかったから、今回の案件も類推見積法で同じくらいの期間を見積もっておこう。」

疑問

Q: 類推見積法はいつ使うと良いのですか?

A: プロジェクトの初期段階で、まだ詳細な情報がないときに使うと便利です。

Q: この方法は正確ですか?

A: 過去のプロジェクトと似ていれば正確ですが、違いが大きいと誤差が出やすくなります。

Q: 類推見積法と他の見積もり方法はどう違いますか?

A: 他には「ボトムアップ見積法」や「パラメトリック見積法」などがあります。類推見積法はざっくり見積もるときに使います。

Q: 見積もりの元になるプロジェクトがないときはどうすればいいですか?

A: その場合は他の見積もり方法を使うか、専門家に意見をもらいましょう。

Q: この方法はIT以外でも使えますか?

A: はい。建設業や製造業など、多くの分野で使われています。

理解度を確認する問題

以下のうち、類推見積法の説明として最も適切なものはどれか?

A. 作業を最小単位に分解して、それぞれの工数を積み上げて見積もる方法
B. 数式やデータに基づいて工数や費用を見積もる方法
C. 過去の類似プロジェクトを基に見積もる方法
D. プロジェクトの全体像を無視して直感的に見積もる方法

正解:C

関連論文や参考URL

「An Empirical Study of Estimation Accuracy Using Analogous Estimation Method」(類推見積法の精度に関する実証研究)

解説:この研究では、20件のソフトウェア開発プロジェクトにおける類推見積法の精度を分析しました。結果、過去のプロジェクトとの類似性が80%以上ある場合、見積もり精度は±10%以内に収まることがわかりました。

An empirical evaluation of ensemble adjustment methods for analogy-based effort estimation

概要: この研究では、類推見積法における調整手法の効果を評価するため、8つのデータセットを用いて40の調整手法の組み合わせを比較しました。

結果: 線形調整手法を組み合わせたアンサンブル手法が、予測精度と安定性の面で優れていることが示されました。

解釈: 複数の調整手法を組み合わせることで、個々の手法の弱点を補い、より正確な見積もりが可能となることが示唆されました。

まとめ

過去の類似プロジェクトの実績を基にして、現在のプロジェクトの費用や工数を見積もる方法です。

詳細な情報が少ない初期段階でも素早く見積もれるのが特徴です。

類似性が高いほど精度が上がりますが、経験と判断力に依存します。

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