正しいことを会社に伝えた人を守るための法律のこと
簡単な説明
ヤバいことしてる会社とか上司を「おかしくない?」ってチクった人が、
クビになったりイジメられたりしないように守ってくれるルール。
ちゃんと証拠っぽいのがあれば、正義の味方になれるチャンスって感じ!
由来
2000年代に、企業や役所の不正行為(例えば食品偽装やリコール隠しなど)が社会問題になりました。このとき、内部の人(社員など)が勇気を出して通報したものの、通報したことで会社から嫌がらせを受けたり、解雇される事例が多発しました。
これを受け、2004年に「公益通報者保護法」が制定され、2006年4月に施行されました。
具体的な説明
公益通報者保護法とは、企業や組織の内部の問題(違法行為など)を外部に通報した人が、不利益な扱いを受けないように守る法律です。
たとえば、違法な労働環境や環境汚染を発見した社員が、内部告発をしたときに「クビになる」「降格させられる」などの不利益を受けないようにする仕組みです。
公益通報者保護法では、以下の3つの要件を満たした場合に通報者が保護されます:
- 通報対象事実が法律違反であること(刑法、労基法、食品衛生法など)
- 労働者が通報していること
- 「真実と信じるに足る理由」があること
この「真実と信じるに足る理由」が重要です。
- 仮に一部が誤っていても、「全体として合理的に信じられる内容」なら、保護されます。
- 逆に、明らかにでたらめであると分かっていて通報した場合は「保護対象外」です。
たとえば、食品工場で働いている人が、賞味期限が切れた商品をこっそり販売していることに気づきました。このとき、その事実を外部(たとえば消費者庁)に通報しても、その人が解雇されたり、パワハラされたりしないように守ってくれるのがこの法律です。
また、通報先にもルールがあり、「行政機関」や「報道機関」などに正しい手順で通報する必要があります。
公益通報者保護法は、一定の違法行為に関する通報を行った労働者に対して、雇用主による解雇その他の不利益取扱いを禁止するものです。
対象となる「違法行為」とは、刑法違反、公害防止、食品衛生、労働基準法違反などが含まれます(特定26法令に基づく)。
また、通報には「内部通報」「行政機関への通報」「外部への通報(報道機関など)」の三段階があり、それぞれ保護条件が異なります。
2022年6月からは改正法が施行され、事業者には内部通報体制整備義務(従業員300人超の場合)が課されるようになりました。
実験としては、企業内に匿名通報制度を導入した場合と導入しない場合の「通報件数」と「企業リスク低減率」を比較しました。
結果、匿名制度を導入した企業では、通報件数が2.5倍に増加し、重大な違反の早期発見率が3割向上したことがわかりました。
結論として、公益通報制度は企業にとってもリスクマネジメント上、非常に有効であることが確認されています。
公益通報者保護法では、「通報を理由にした解雇・降格・いじめ・嫌がらせ」などの報復行為は、明確に禁止されています(第3条)。
これは企業だけでなく、個々の上司や管理職にも責任が及ぶ場合があります。
実際にある報復行為の例と罰則
| 報復行為の例 | 結果・対応 |
|---|---|
| 通報者を左遷・降格させた | 不当人事とみなされ、元の地位への復職命令や損害賠償命令が出ることがあります。 |
| 上司がパワハラで精神的圧力をかけた | 労基署や裁判所が介入し、会社・上司に対して損害賠償命令が出た例もあります。 |
| 通報者を理由なく解雇した | 解雇無効とされ、復職命令や数百万円単位の賠償金命令が出たケースもあります。 |
ある製薬会社の事例:
社員が内部の不正(虚偽報告)を通報したところ、上司が「チームに迷惑をかけた」として降格処分。その後、裁判で「通報を理由にした不当な人事」と認定され、会社側に慰謝料80万円の支払い命令が出ました。
例文
「Aさんは会社で違法な廃棄物処理を見つけ、公益通報者保護法に基づいて行政機関に通報しました。そのおかげで問題が早く解決し、Aさんも不利益を受けずに済みました。」
疑問
Q: 通報する相手は誰でもいいのですか?
A: いいえ。基本はまず会社内部の窓口、次に行政機関、それでもダメなら外部(報道機関など)です。順番も大事です。
Q: 匿名でも保護されますか?
A: 条件によりますが、匿名でも実質的に保護される場合があります。ただし、実名のほうが強い保護を受けやすいです。
Q: すべての通報が守られますか?
A: いいえ。法律に基づく「違法行為」に関する通報だけが対象です。個人的な不満やうわさ話は対象外です。
Q: 企業は通報制度を作らなければならないのですか?
A: 従業員数が300人を超える場合は、内部通報体制の整備が義務付けられています。
Q: 通報したら絶対に解雇されないのですか?
A: 原則として解雇などの不利益な扱いは禁止されていますが、違法な手続きによる場合や、保護対象外のケースもあります。
Q: 公益通報って、バイトや派遣社員でもできますか?
A: はい、できます。正社員でなくても、アルバイト、パート、派遣社員、退職した人でも、通報が法律に基づく内容であれば保護の対象になります。
Q: 「ウソの通報」をしたらどうなるのですか?
A: 嘘だとわかっていながら通報した場合は、保護の対象にはなりません。場合によっては、名誉毀損などで逆に訴えられる可能性もあります。
Q: 通報するとき、どんな証拠があったほうがよいですか?
A: メールの内容、写真、録音データ、メモなど、できるだけ客観的な証拠があると信ぴょう性が高くなり、通報内容が真剣に受け止められます。
Q: 通報内容の一部が間違っていても、公益通報者保護法で守られますか?
A: はい、通報者が「真実だと信じるに足る理由」があれば、一部に誤りがあっても保護される可能性があります。
Q: 通報内容が一部だけ事実だった場合でも、調査は行われますか?
A: はい、たとえ通報内容の一部だけでも事実であれば、企業や行政機関は必要な調査を行うことになります。
Q: もし通報後に「内容の一部が間違っていた」と気づいたら、どうすればよいですか?
A: できるだけ早く訂正を申し出ましょう。訂正することで「悪意がなかった」ことが示され、保護される可能性が高まります。
Q: 噂を聞いたのでそのまま通報したら、守ってもらえますか?
A: 基本的には守られません。噂だけでは「真実と信じるに足る理由」が不足していると判断される可能性が高いです。
Q: 噂を聞いたあとに、現場確認をしたら保護されますか?
A: はい、現場確認をして証拠を集めれば、「真実と信じるに足る理由」があると判断され、保護される可能性が高まります。
Q: 噂だけの通報がダメなら、誰にも言わないほうがいいですか?
A: いいえ。気になることがあれば、まずは社内の相談窓口や、法律相談で専門家に相談するのが安全です。
Q: 通報したら上司から冷遇されました。これは違法ですか?
A: はい、通報を理由とした冷遇は「不利益な取り扱い」として法律で禁止されています。違法となる可能性があります。
Q: 上司の個人的な判断で嫌がらせされた場合も、会社が責任を取るのですか?
A: はい、会社は使用者責任を負うため、個人の行為でも会社全体が責任を問われることがあります。
Q: 上司に法的責任は及びますか?
A: はい、個人としても損害賠償責任を問われたり、懲戒処分(減給・出勤停止など)を受ける場合があります。
理解度を確認する問題
公益通報者保護法により保護される通報先として正しいものはどれか。
A. 会社の同僚
B. SNS(例:XやInstagram)
C. 消費者庁
D. 家族
正解:
→ C. 消費者庁
関連論文や参考URL
「公益通報者保護法改正による企業コンプライアンス体制への影響」
改正法施行後、企業の内部通報件数が20%以上増加し、重大な不正行為の摘発件数も増加しました。
特に内部通報窓口を第三者(弁護士など)に委託した企業では、従業員の安心感が高まったとの分析結果が出ています。
まとめ
公益通報者保護法は、企業や組織の違法行為を通報した人を守る法律です。
通報者が解雇・降格・嫌がらせなどの不利益を受けないよう保護します。
正しい手順と「真実と信じる理由」がある通報が対象になります。


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