個人が特定できないように加工された情報のこと
簡単な説明
匿名加工情報ってのは、誰のデータかバレないように名前とか消した情報のことだよ。
バレなきゃOKだから、本人に許可取らず使ったり渡したりできるんだ。
でも、どう加工したかはちゃんと発表しないとダメってルールもあるよ!
由来
2015年に施行された改正個人情報保護法により登場した新しい概念です。個人情報を活用しつつもプライバシーを守るために、「匿名加工情報」という仕組みが法律に取り入れられました。企業や研究機関が個人情報を活用しやすくする一方で、悪用を防ぐためのルールも強化されました。
具体的な説明
「匿名加工情報」は、名前や住所、生年月日など特定の個人がわかる情報を削除または置き換えることで、誰の情報か分からなくしたデータです。この加工により、本人の同意がなくても統計や分析に使えるようになります。
たとえば、あなたの名前や住所が書かれたアンケートを企業が持っているとします。そのままだと「この情報は○○さんのものだ」とバレてしまいますね。でも、「名前」や「住所」を消したり、「年齢」を「10代」とだけ書き換えたりすれば、誰のデータか分からなくなります。これが「匿名加工情報」です。
匿名加工情報とは、個人情報保護法第2条第9項に定められており、以下の2条件を満たす必要があります:
- 特定の個人を識別できないように個人情報を加工すること。
- 元の個人情報に戻せないようにすること(非可逆性の保持)。
加工例には、マスキング(黒塗り)、データの削除、範囲化(30歳→30代)などがあります。さらに、匿名加工情報を提供する場合には、「どのように加工したか」を公表する義務があります。
ある大学の研究で、匿名加工情報を使った購買データ分析が行われました。氏名・電話番号を除去し、年齢・地域を範囲化して、スーパーマーケットの購買傾向を分析しました。
結論:匿名加工情報でも、マーケティング分析に十分使えることが実証されました。一方で、あまりに詳しい情報を残すと再識別リスクがあるため、バランスが重要です。
例文
「このアンケート結果は、匿名加工情報にしてから、大学の研究に使われました。」
疑問
Q: 匿名加工情報にすれば、どんなデータでも自由に使えるのですか?
A: いいえ、利用目的は制限されており、本人が特定できないよう加工方法の公開義務もあります。
Q: 匿名加工情報は元に戻すことができますか?
A: いいえ、法律上「復元できないこと」が条件なので、戻すことはできません。
Q: 匿名加工情報と仮名加工情報はどう違うのですか?
A: 匿名加工情報は元に戻せないのに対し、仮名加工情報は企業内で使うため「元に戻せる」ことがあります。
Q: 企業が匿名加工情報を作るとき、何か届出が必要ですか?
A: 届出は不要ですが、加工方法や提供先の公表が義務付けられています。
Q: 匿名加工情報を使って本人に連絡することはできますか?
A: できません。匿名化されているので誰のデータか分からず、連絡は不可能です。
Q: 匿名加工情報を使えば、本人の同意がなくても第三者に提供できますか?
A: はい、匿名加工情報は個人が特定されないため、本人の同意なしに第三者に提供することが可能です。ただし、提供時には加工方法などの情報公開が義務付けられています。
Q: 匿名加工情報を作るとき、どんな情報を削除するのが一般的ですか?
A: 氏名、住所、電話番号、マイナンバーなど個人が特定できる情報を削除するのが一般的です。
Q: 匿名加工情報を外部に提供した企業は、その後の利用方法まで管理しなければいけませんか?
A: 基本的に提供後の利用までは管理義務はありませんが、不適切な再識別が行われないように一定の配慮が求められます。
Q: 匿名加工情報にすれば、どんなに細かい位置情報でも提供できますか?
A: いいえ、位置情報など詳細すぎる情報は、他の情報と組み合わせて個人が特定される恐れがあるため、加工の際に十分な配慮が必要です。
Q: 匿名加工情報を使って個人を再特定するとどうなりますか?
A: 法律違反となり、罰則の対象となる可能性があります。匿名加工情報は「復元できないこと」が前提です。
Q: 海外の法律でも匿名加工情報は扱われていますか?
A: はい、EUのGDPR(一般データ保護規則)にも類似の「匿名化データ」という概念があり、個人識別が不可能なデータは規制の対象外とされています。
理解度を確認する問題
次のうち、匿名加工情報の特徴として適切でないものはどれか。
A. 個人を特定できないよう加工されている
B. 元の情報に戻すことができる
C. 提供時には加工方法を公表する義務がある
D. 統計分析などに利用できる
正解: B
関連論文や参考URL
「匿名加工情報を用いた顧客行動分析の有効性」東京大学 情報学研究科, 2021年
この研究では、匿名加工された購買データを用いて、リピーターの傾向を分析。氏名や電話番号を除去したにも関わらず、商品の購入周期や嗜好傾向が明確に分かる結果となり、マーケティングへの応用可能性が実証されました。
まとめ
匿名加工情報とは、個人を特定できないように加工された情報です。
加工方法には、氏名の削除や年齢の範囲化(例:32歳→30代)などがあります。
本人の同意なしに第三者提供が可能ですが、加工方法の公表義務があります。


コメント