ファブレス(Fabless)

Fabless ストラテジ系

自社では工場を持たずに製品を設計・開発し、製造は外部の工場に委託するビジネスモデルのこと

簡単な説明

ファブレスってのは「モノは作らない会社」ってこと。
設計とかアイデア出しは自分たちでやるけど、実際に作るのは外の工場におまかせ。
AppleがiPhone作るのをフォックスコンに任せてる、あれが典型的なファブレス!

具体的な説明

製造工場(ファブ)を持たず、開発・設計に集中する会社を「ファブレス企業」といいます。製品は、外部の製造専門会社(ファウンドリ)に生産を依頼します。このモデルを使えば、初期投資を抑えながら、最新技術を使った製品を市場に提供できます。

「ファブレス」というのは、自分のところに工場を持たない会社のことです。例えばスマートフォンの頭脳である半導体チップはとても細かくて高い技術が必要です。ある会社はチップの設計だけして、それを作るのは別の専門の工場に任せています。これがファブレスです。

ファブレス企業は、SoC(System on Chip)など高度な半導体の回路設計(RTL設計)やレイアウト設計を行い、製造はTSMCなどの**ファウンドリ(Foundry)**に委託します。これにより、設備投資リスクや製造リスクを低減でき、R&Dに資源を集中できます。ファブレスモデルの台頭により、水平分業が進行し、エコシステムの進化が加速しました。

実証実験として、同一設計の半導体をファブレス企業が設計し、ファウンドリで製造を行った場合と、自社工場で製造した場合を比較すると、以下のような結果が報告されています。

  • ファブレス+ファウンドリモデル:開発期間 20%短縮、初期投資コスト 60%削減
  • 自社製造モデル:柔軟性は高いが、設備維持コストが重い

このことから、ファブレスモデルは迅速な市場投入とコスト効率に優れているといえます。

新興のIoTスタートアップも、多くは製造設備を持たずに、基板や筐体(ケース)の製造は中国や台湾のEMS企業に依頼します。自身はアプリや通信制御などの設計に集中します。

業界ファブレス活用例外部委託先の例
スマートフォンAppleFoxconn(台湾)
アパレルナイキ、ユニクロ中国・ベトナムなどの縫製工場
おもちゃタカラトミー中国の玩具工場
時計ダニエルウェリントンアジアの時計工場
IoT機器スタートアップ企業多数EMS企業(製造受託企業)

由来

ファブレス(fabless)」は、Fabrication(製造)less(ない)を組み合わせた造語です。1980年代、半導体業界でこの概念が登場しました。高度な製造設備が必要なチップ業界では、設計に特化して製造を外部に委託することで、開発スピードやコスト競争力を高めるために生まれたモデルです。

例文

「この会社はファブレスだから、自分で作るよりも早く新製品を出せるんだね!」

Q: ファブレスとファウンドリの違いはなんですか?

A: ファブレスは「設計だけする会社」で、ファウンドリは「製造だけする工場」のことです。役割が違います。

Q: ファブレス企業にはどんな有名企業がありますか?

A: 代表的な企業はアメリカのQualcomm(クアルコム)や日本のソシオネクストです。

Q: ファブレスのメリットはなんですか?

A: 初期投資が少なく、最新設備を持つ工場に頼めるので、高性能な製品を作りやすいです。

Q: ファブレスはどんな業界で多いのですか?

A: 主に半導体業界ですが、最近はスマートフォン、IoT機器、ゲーム機などの開発企業でも増えています。

Q: ファブレス企業でも技術者は必要ですか?

A: はい、設計や開発を行う技術者はとても重要です。

Q: ファブレス企業が製造工程を外部委託する主な理由は何ですか?

A: 設備投資のコストを抑え、設計や研究開発に集中するためです。製造設備は数千億円に及ぶことがあり、初期投資が非常に高額です。

Q: ファブレス企業が製造委託する際によく利用する企業の形態は何と呼ばれますか?

A: それは「ファウンドリ」と呼ばれます。製造専業の企業です。台湾のTSMCが代表的な企業です。

Q: ファブレス企業にとって、製造を外部に委託することで起きやすいリスクは何ですか?

A: 主に「納期遅延」や「品質管理の難しさ」です。製造を自社で管理できないため、外部との連携が重要になります。

Q: ファブレスモデルが有効に機能するには、どのようなパートナーシップが重要ですか?

A: ファウンドリとの「綿密な情報共有」と「技術的な連携」が重要です。設計通りに製造してもらうには、仕様の明確化と共有が不可欠です。

Q: ファブレス企業が注力する「設計」には、どのような工程が含まれますか?

A: 回路設計、論理設計、レイアウト設計、シミュレーション(検証)などが含まれます。これらは製品の性能や機能を決定づける重要な工程です。

疑問

ファブレス企業に関する説明として最も適切なものはどれか。
ア. 製造工場を持ち、製品の大量生産を行う企業
イ. 製品の企画・設計に特化し、製造を外部委託する企業
ウ. ハードウェアとソフトウェアの両方を自社で製造する企業
エ. 製品をOEMとして提供する企業

正解:イ

理解度を確認する問題

「The Rise of Fabless Semiconductor Companies」

概要:ファブレス企業の成長と、製造委託による産業の分業化を検証。
結果:ファブレスモデルは製造装置の高騰により加速しており、世界市場における設計中心企業の売上シェアは20年間で10%→40%に拡大。

関連論文や参考URL

「Fabless: The Transformation of the Semiconductor Industry」

この書籍では、ファブレスモデルの進化とその影響について詳述されています。特に、設計と製造の分離が業界にもたらした変革や、ファブレス企業の成功要因について分析されています。

「Fabless Semiconductor Firms’ Financial Performance Determinants」

この研究では、ファブレス企業の財務パフォーマンスに影響を与える要因を分析しています。技術的能力や製品プラットフォームの効率性が、企業の成長と収益性にどのように寄与するかを明らかにしています。

「Technical, Organizational, and Business Model Modularity: Evidence from Fabless Semiconductor Design」

この論文では、ファブレス企業における技術的・組織的・ビジネスモデルのモジュール性が、業界全体のイノベーションと成長にどのように寄与しているかを探っています。特に、設計と製造の分離が新たなビジネスモデルの構築に与える影響について分析されています。​

まとめ

ファブレスとは、工場を持たず製品の設計・開発だけを行い、製造は外部に委託するビジネスモデルです。
主に半導体業界で発展し、コスト削減と開発スピードの向上がメリットです。
スマートフォンやアパレル業界など、他分野でも広く採用されています。

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