プロジェクト統合マネジメント(Project Integration Management)

Project Management Institute マネジメント系

プロジェクト全体をまとめて成功に導くための“指揮役”のような管理方法のこと

簡単な説明

プロジェクト統合マネジメントは、バラバラに動きがちなプロジェクトの各要素(計画、実行、監視など)を「全体として統一的に管理」する考え方です。

例えば、以下のような管理が含まれます:

  1. プロジェクト憲章の作成
  2. プロジェクトマネジメント計画書の作成
  3. プロジェクトの実行の指揮・マネジメント
  4. 変更の管理(スコープや日程変更など)
  5. プロジェクト全体の状況を監視・制御
  6. プロジェクトの終結(成果物の納品や報告)

由来

「プロジェクトマネジメント」は、アメリカのPMI(Project Management Institute)が提唱した体系で、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)という国際標準があります。
その中の最も重要な知識エリアの1つが「統合マネジメント」です。

これは、プロジェクトの全体像を見渡しながら、スケジュール・コスト・品質・リスクなどをバランスよくコントロールするための枠組みです。

具体的な説明

たとえば、学校の文化祭で「クラス全員で劇をやろう!」というプロジェクトがあるとします。
劇には台本を書く人、演じる人、衣装を作る人、音響担当などがいて、それぞれが違う作業を担当します。

このとき、全体のスケジュールを作ったり、問題が起きたら調整したり、関係者どうしの情報を整理する必要があります。

そのようにプロジェクト全体をうまくまとめるための考え方や管理のしくみが、「プロジェクト統合マネジメント」です。

統合マネジメントのフォーマット(ひな形)」があります。
正式には、「プロジェクトマネジメント計画書(Project Management Plan)」などの文書をテンプレート形式で作成します。
これにより、プロジェクトの全体を一貫して管理しやすくなります。

フォーマット名内容作成時期
プロジェクト憲章(Project Charter)プロジェクトの目的、責任者、予算、納期などの概要を記載プロジェクト開始時
プロジェクトマネジメント計画書(PMP)進め方・監視方法・終了方法までのすべてをまとめた計画書プロジェクト計画フェーズ
変更管理票変更が発生した時に記録する用紙実行・監視フェーズ中
ステータス報告書進捗、課題、次の対応などを定期的にまとめた報告プロジェクト実行中
プロジェクト終結報告書成果物の確認、反省点、次回への学びなどを記録プロジェクト終了時

プロジェクト統合マネジメントは、PMBOK第7版における知識エリアの1つであり、プロジェクト全体における成果物の整合性、プロセスの整合性、ステークホルダー間の意思疎通を図ることを目的とします。
統合マネジメントでは、プロジェクトの方向性を決める「憲章(Charter)」の作成から、変更管理統制(Change Control)、プロジェクト終結プロセスまでを一元的に管理します。

観察手法と実践例

観察手法:
  • 進行中プロジェクトにおいて、統合マネジメントの有無を比較
  • 成果物の品質・納期・トラブル件数を調査
実践例:
  • 統合マネジメントを取り入れたプロジェクトでは、計画変更があっても対応がスムーズになり、納期遅延が30%減少した。

例文

「文化祭の準備でバラバラだった作業をまとめてくれた委員長は、まさにプロジェクト統合マネジメントをしていたんだね!」

疑問

Q: なぜ統合マネジメントが必要なのですか?

A: 各担当がバラバラに動いてしまうと、全体が混乱します。全体をまとめる役割が必要だからです。

Q: プロジェクト統合マネジメントは誰が行うのですか?

A: 通常はプロジェクトマネージャー(PM)が行います。全体の責任者です。

Q: 統合マネジメントでは何を統合するのですか?

A: スケジュール、予算、リスク、品質、範囲(スコープ)など、すべての要素を統一的に管理します。

Q: プロジェクト終結時の統合マネジメントでは何をしますか?

A: 成果物の確認、関係者への報告、教訓の記録(ナレッジ共有)を行います。

Q: 統合マネジメントがなくてもプロジェクトは進められますか?

A: 小さなプロジェクトなら進めることもできますが、複数の関係者や多くの作業が関わる場合は、統合的な管理がないと情報がバラバラになって混乱しやすくなります。全体を把握する役割がとても大切です。

Q: 統合マネジメントって、具体的に何を“統合”しているのですか?

A: 「スケジュール」「コスト」「品質」「リスク」「スコープ(作業範囲)」など、プロジェクトのすべての要素をバランスよくまとめることです。どれか一つに偏ると他が崩れてしまうので、調整力が重要です。

Q: プロジェクト憲章とプロジェクトマネジメント計画書って何が違うんですか?

A:

  • プロジェクト憲章:プロジェクトを始めてもよいと正式に認める文書です。目的・予算・責任者などが書かれています。
  • プロジェクトマネジメント計画書:プロジェクトをどうやって進めていくかの設計図です。スケジュール、体制、リスク対策など細かく書かれています。

Q: 統合マネジメントのスキルって、どうやって身につけるんですか?

A: 実際にプロジェクトに関わって経験するのが一番ですが、ITパスポートやPMP(プロジェクトマネジメント資格)の勉強を通じて、考え方や管理の基本を身につけることができます。学校行事やグループ活動も良い訓練になります!

Q: 問題が起きたとき、統合マネジメントはどう対応するのですか?

A: 問題が起きたら、関係者と話し合って影響を整理し、スケジュールや計画を見直したり、優先順位を変えたりして調整します。
このとき大事なのは「慌てず、全体を見ながら冷静に判断すること」です。

Q: 問題が起きたとき、統合マネジメントはどう対応するのですか?

A: 問題が起きたら、関係者と話し合って影響を整理し、スケジュールや計画を見直したり、優先順位を変えたりして調整します。
このとき大事なのは「慌てず、全体を見ながら冷静に判断すること」です。

Q: 統合マネジメントはどのタイミングで始めるのですか?

A: プロジェクトが正式に始まる前から始まります。具体的には「プロジェクト憲章を作る段階」から始まり、終わるのは「プロジェクトの終結(納品や振り返り)まで」です。つまり、最初から最後まで一貫して行います。

Q: プロジェクトの途中で変更が起きたら、どうすればいいですか?

A: 統合マネジメントでは、「変更管理プロセス」を通して対応します。変更が必要かどうかを評価し、関係者の合意を得てから、計画書やスケジュールを更新します。勝手に変更すると混乱するので、正式なプロセスで進めることが大切です。

Q: 統合マネジメントってIT以外の仕事でも使われますか?

A: はい、もちろんです! 統合マネジメントは建設、イベント企画、商品開発、教育プログラムなどあらゆるプロジェクト型の仕事に使えます。中学生の文化祭、大学の卒業研究、会社の新製品開発にも役立つ考え方です。

理解度を確認する問題

プロジェクト統合マネジメントの目的として最も適切なものはどれか。

A. スケジュールの詳細な作成
B. 個別業務の自動化
C. プロジェクト全体の整合性の確保
D. チームメンバーの個別評価

正解: C

関連論文や参考URL

プロジェクトマネジメントの統合的運用に関する一考察 ―統合マネジメントの再評価―

この論文では、PMBOKで提唱されている「プロジェクト統合マネジメント」の概念に注目し、
個別領域(スケジュール、コスト、品質など)に偏らず、全体を一貫してマネジメントすることの重要性について考察しています。

筆者は、日本企業の多くが「分野別の専門家任せ」になっており、全体調整が弱い傾向があると指摘。
そのため、プロジェクトの目的と現場の活動がズレやすく、失敗要因となっていると論じています。

国内のプロジェクト事例をもとに、統合マネジメントが十分行われていたかどうかを評価 成功したプロジェクト vs 失敗したプロジェクトの傾向を比較 「プロジェクト憲章の有無」「変更管理の実施状況」「プロジェクトマネージャーの権限範囲」などを分析指標とした。

プロジェクトマネージャーが「全体統括者」として機能しているプロジェクトでは、目標達成率が約40%高かった 特に「変更があったときに、全体に与える影響を判断できる仕組み」があると、対応のスピードと品質が安定 成果物の完成度、関係者の満足度も統合マネジメントがしっかりしているケースほど高い傾向がある。

プロジェクトマネジメントの統合化と最適化に関する研究 ―複雑プロジェクトにおける統合管理の役割―

この論文では、特に複雑な大規模プロジェクト(例:公共インフラ、システム開発)において、
「統合マネジメントの不足がトラブルや再作業の原因になっている」という課題に注目しています。

プロジェクトの工程や関係者が増えるほど、統合的に調整・可視化する力が必要不可欠であることが強調されています。

研究内容と手法
  • 日本国内の大規模IT・建設プロジェクトを対象にインタビュー調査
  • 統合マネジメントの有無と、次のような要素を比較:
    • スコープ変更時の調整能力
    • ステークホルダー間の意思疎通頻度
    • PMの意思決定の速さ
  • 統合マネジメントに必要な「情報ハブ」としてのPM機能を可視化
結果(何がわかったか?)
  • 統合マネジメントが機能しているプロジェクトでは、変更に伴う工数増が平均で25%抑制された
  • 情報共有の仕組み(共有ドライブ、定例会議、見える化)を持つチームの方が、関係者満足度が高かった
  • 一方、各部門が個別最適で動いたプロジェクトでは、認識ズレによる再作業が2倍以上に

まとめ

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