感情価とは、「快か不快か」の感情の方向を示すこと
簡単な説明
「感情価」ってのは、気持ちの“良い or ヤバい”っていうテンションの方向やで。
アイス食って「うまっ!」ってなったら感情価はプラス。
宿題忘れて先生に怒られて「ヤベぇ」ってなったら感情価はマイナス。
つまり心の天気予報みたいなもん。「快晴」か「嵐」かを教えてくれるって感じ!
由来
感情価は、感情の次元モデル(次元論)で用いられる主要な軸の一つです。心理学では、感情をいくつかの要素(次元)に分けて分析することがあり、代表的なのが「ラッセルの感情円環モデル(1980年)」です。
このモデルでは、感情は2つの軸「覚醒度(興奮の強さ)」と「感情価(快・不快)」で分類されます。
具体的な説明
「感情価」は、「そのときの気持ちがどれだけ心地よいか、不快か」という快・不快の度合いを数値や言葉で表すものです。
- 快の感情価(ポジティブ):嬉しい、楽しい、安心、愛情など
- 不快の感情価(ネガティブ):怒り、悲しみ、不安、嫌悪など
この感情価は、−1(とても不快)~+1(とても快)のような連続的なスケールで測定されることもあります。
感情価(valence)は、情動の評価的側面(evaluative aspect)として定義され、情動反応の生物学的・神経的基盤に関与する重要なパラメータとされます。
- 感情価は、扁桃体や前頭前皮質などの脳領域の活動に関連しています。
- 感情価の処理は、報酬系と罰系の情報処理に関係し、意思決定、記憶、注意などの心理的プロセスに影響を与えます。
例文
この映画は感情価が高くて、見ていて心が温かくなったよ
疑問
Q: 感情価と覚醒度はどう違うのですか?
A: 感情価は「快か不快か」を示すもので、覚醒度は「感情の強さ(興奮度)」を示します。たとえば「怒り」と「喜び」はどちらも覚醒度は高いですが、感情価は真逆になります。
Q: 感情価は数値で測れるのですか?
A: はい。多くの研究では−1から+1、または1〜9のスケールで主観評価を用いて数値化します。
Q: 感情価が中立の感情はありますか?
A: あります。「退屈」や「無関心」などは感情価が中立(ゼロ近辺)とされることがあります。
Q: 感情価と気分は違うのですか?
A: はい。感情価は「感情」の性質を示す指標ですが、気分はより長時間続く心の状態で、背景にある感情価が安定している場合もあります。
Q: 感情価が高い=強い感情ですか?
A: いいえ。感情価が高くても覚醒度が低ければ強い感情とは言えません。例:「穏やかな幸せ」は感情価は高いが覚醒度は低いです。
Q: 感情価は主観的なものですか?それとも客観的に測れますか?
A: 感情価は基本的に主観的な評価に基づいて測定されます。ただし、IAPSのように多くの人の評価を集めて「平均感情価」を求めることで、客観的に近い指標として扱うことも可能です。最近では脳活動(例:fMRI)や生理反応(皮膚電気活動など)を使って間接的に測定する試みも行われています。
Q: 感情価は文化によって変わりますか?
A: はい、文化によって「何を快と感じるか、不快と感じるか」は異なることがあります。たとえば、死や別れに対する感情価は、宗教観や文化的価値観によって差が出ることが報告されています。ただし、基本的な快・不快の反応には共通性も多く見られます。
Q: 感情価が低いとき、脳では何が起こっているのですか?
A: 感情価が低い(不快な)刺激を受けたときには、扁桃体(特に右側)が活発に反応することが多く報告されています。また、前帯状皮質(ACC)や島皮質も不快な情動処理に関与しています。ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌も関係することがあります。
Q: 同じ刺激でも感情価が変わることはありますか?
A: はい、状況や個人の状態(気分、疲労、過去の経験)によって感情価の評価は変わります。たとえば、普段は楽しい音楽でも、気分が落ち込んでいるときには「うるさくて不快」と感じることがあります。
Q: 感情価は人間以外の動物にもありますか?
A: あります。動物も快・不快を感じて行動を変化させます。たとえば、ネズミは甘い味(快)を好み、苦い味(不快)を避けます。神経科学的な研究でも、報酬や罰に対する反応に感情価が関係していることが示されています。
Q: 感情価と意思決定にはどのような関係がありますか?
A: 感情価は私たちの意思決定に強い影響を与えます。たとえば、快の感情価をもつ選択肢は好まれやすく、逆に不快の感情価がある選択肢は避けられます。これは「感情ヒューリスティック」と呼ばれる心理メカニズムに基づいています。
Q: 感情価は年齢によって変化しますか?
A: 一般に、高齢になるとポジティブな感情に注意が向きやすくなる「ポジティビティ効果(positivity effect)」が見られます。つまり、年齢とともに感情価のポジティブな側面に敏感になる傾向があるといわれています。
Q: 感情価を高める(ポジティブにする)にはどうすればよいですか?
A: 感情価を高めるためには、好きな音楽を聴く、自然に触れる、感謝の気持ちを持つ、笑うこと、十分な睡眠をとるなどが有効とされています。こうした行動はポジティブ感情の生成に役立ちます。
Q: 感情価と記憶は関係がありますか?
A: はい。感情価が強い(非常に快または不快)出来事は、記憶に残りやすいことがわかっています。特に、扁桃体と海馬の連携が、感情価と記憶の定着に深く関わっています。
Q: 感情価と情動制御(感情のコントロール)は関係していますか?
A: 密接に関係しています。たとえば、ネガティブな感情価を感じたときに、自分の考え方を変えてポジティブに再評価する「再評価法(reappraisal)」は、感情価の調整に有効です。前頭前皮質がこの制御に関与します。
理解度を確認する問題
以下のうち、感情価が最も低い状態として適切なのはどれか。
A. 喜び
B. 興奮
C. 怒り
D. 安心
正解:C. 怒り
関連キーワード
- 情動
- 覚醒度(Arousal)
- ラッセルの感情円環モデル
- 扁桃体
- 感情処理
- IAPS
- 快-不快軸
関連論文
Russell, J. A. (1980). “A circumplex model of affect.” Journal of Personality and Social Psychology.
感情を「感情価」と「覚醒度」の2軸で表現する感情円環モデルを提唱。感情は円状に並び、近い感情同士は似ており、対極にある感情はまったく異なる。
覚え方
「カン情カ(感情価)=感情の方向カ?」
→ 感情の“方向”がプラス(快)かマイナス(不快)かを決める“コンパス”だと思おう!


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