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コンピテンシー(competency)

competency 社会・感情・性格
competency

ある仕事や課題をうまくやるための能力や行動特性のこと

簡単な説明

「コンピテンシーって、ただ頭いいとかテストできるとかじゃなくて、その人がどんな行動をとるかっていう“中身”のスゴさだよ!」

「ゲームで言うと、キャラの“隠れスキル”みたいなもん! 普通に見えないけど、バトルでめっちゃ役立つやつ!」

由来

「コンピテンシー」という言葉は、ラテン語の”competere”(競争する・適任である)に由来しています。心理学の中では、1970年代にアメリカの心理学者デイヴィッド・マクレランド(David C. McClelland)が「知能テストでは仕事の成功を予測できない」とし、代わりに仕事で成功する人に共通する「行動特性」に注目して使われ始めました。

具体的な説明

コンピテンシーとは、ある職務や役割において、高い成果を出す人に共通する行動特性やスキルのことです。知識やスキル(何を知っているか、何ができるか)だけではなく、動機、価値観、態度、性格的特性なども含まれます

職場などでよく使われ、「この仕事に必要なコンピテンシーは何か?」というふうに、人材育成や採用などに活用されます。

たとえば営業職であれば「顧客志向」や「交渉力」がコンピテンシーになり得ます。教師であれば「指導力」や「共感力」などが求められます。

マクレランド(1973)の論文「Testing for Competence Rather than for Intelligence」において、彼は「コンピテンシーは特定の仕事において成功をもたらす行動パターンであり、動機、特性、自己概念、知識、スキルの5層構造で形成される」としています(アイスバーグモデル)。

  • 表層:知識・スキル(学びや訓練で習得できる)
  • 深層:動機・価値観・自己概念(変化しにくい)

マクレランドの研究では、ある職種(例:外交官)で「成功している人」と「平均的な人」を比較し、行動面で何が違うかを徹底的に分析(行動事例インタビューなど)しました。

結果として、成功者には「ストレス下でも冷静な判断ができる」「多文化への理解がある」などの共通点があり、それを「コンピテンシー」と名付けました。

例文

たとえば、バスケットボール部でレギュラーになった子がいるとします。彼はただ上手いだけじゃなく、いつもチームのことを考えたり、ミスしても仲間を励ましたりしています。この「チームワーク」や「責任感」が、その子のコンピテンシーなんです。

疑問

Q: コンピテンシーとスキルの違いは何ですか?

A: スキルは「できること(技術)」を意味しますが、コンピテンシーは「成果を出すための行動特性や態度」も含む広い概念です。

Q: コンピテンシーはどうやって測定されるのですか?

A: 主に行動面接(BEI)や360度評価などで、過去の行動事例に基づいて評価されます。

Q: IQが高くてもコンピテンシーが低い人はいますか?

A: はい。知能が高くても、協調性や責任感が低ければ職場での成果は上がりにくいです。だからこそマクレランドはIQよりもコンピテンシーを重視したのです。

Q: コンピテンシーは育てられますか?

A: 一部のスキルや知識のように、表層のコンピテンシーはトレーニングで伸ばせます。深層の動機などは変化しにくいですが、フィードバックなどで成長する可能性はあります。

Q: コンピテンシーとパーソナリティはどう違うのですか?

A: パーソナリティは「その人の気質や性格」そのもので、場面に左右されにくい特性です。コンピテンシーは「職務においての行動特徴」であり、学習や訓練で変化する可能性もあります。

Q: コンピテンシーはどのような場面で特に重要とされますか?

A: 主に採用、昇進、人材育成の場面で重視されます。職務で成果を出す人材を見極めるため、行動特性に基づいた評価が導入されています。特にマネジメント職やリーダー職では重要視されます。

Q: コンピテンシーの評価はどんな方法で行われるのですか?

A: 代表的な方法は行動事例インタビュー(BEI)です。過去の行動を深掘りして、「どんな状況で」「どう考え」「何をしたか」「その結果どうなったか」を質問し、具体的な行動から能力を見出します。

Q: 全ての職種に共通するコンピテンシーはありますか?

A: はい、コア・コンピテンシーと呼ばれる、職種を問わず求められる基本的な能力があります。例としては「問題解決力」「対人関係力」「自律性」などがあり、どんな仕事でも一定の成果を出すために重要です。

Q: コンピテンシーと「能力(アビリティ)」の違いは何ですか?

A: 「能力(アビリティ)」は主に知的・身体的な素質や学習によって得られるスキルを指します。一方コンピテンシーはそれを実際の職場でどう活かすかという行動の質と傾向を含みます。能力が「道具」なら、コンピテンシーは「その使い方のセンス」と言えるでしょう。

Q: 子どもに対してもコンピテンシーの考え方は使えますか?

A: はい、とても有効です。例えば「友達との協調性」「粘り強く頑張る力」「課題に向かう主体性」など、将来に役立つ行動特性を育てるために、家庭や学校でフィードバックを与えることで、子どもの成長を支援できます。

Q: コンピテンシーは文化によって違いますか?

A: はい、文化や国によって重視される行動特性が異なります。例えば、日本では「協調性」や「謙虚さ」が重視される一方、アメリカでは「自己主張」や「リーダーシップ」が重要視される傾向があります。

Q: コンピテンシーはどのように可視化されるのですか?

A: 多くの企業では、コンピテンシーモデルという形で文書化されます。各職種や役職ごとに求められる行動特性を項目化し、評価基準とともにまとめられています。これにより、育成・評価が一貫して行えるようになります。

Q: コンピテンシーが高い人の特徴とは?

A: 一般的に、「自分で課題を見つけて行動する」「他者とうまく連携する」「フィードバックを受け止めて成長する」などの行動をよく示します。つまり、自律性・協調性・成長志向が高い傾向があります。

Q: コンピテンシーを学校教育に取り入れるとどうなりますか?

A: 子どもたちの学力だけでなく、「考える力」「協力する力」「行動する力」を育てることができ、より実社会で活躍できる人材の育成につながります。文部科学省でも「コンピテンシー基盤の学力観」が注目されています。

Q: コンピテンシーは感情や気分にも影響されますか?

A: ある程度は影響されます。たとえばストレスや不安が強いと、普段は発揮できる行動特性が抑制されることがあります。**感情の自己調整能力(情動的知能:EQ)**も、コンピテンシーの一部として重要視されています。

Q: 感情的コンピテンシーは研修で本当に向上するのですか?

A: はい、向上します。2024年のメタ分析では、感情的コンピテンシー(共感、感情調整など)に関する研修によって、中程度(SMD 0.44~0.46)の効果があり、しかも研修後3ヶ月以上経っても効果が持続することが示されています。

Q: 感情的コンピテンシーの研修効果には個人差がありますか?

A: あります。メタ分析によると、研修効果には個人のモチベーションや実施方法の質によってばらつきが見られました。つまり、「受け身で参加した人」と「積極的に内省や実践を行った人」では、効果に違いがあるということです。

Q: 感情的コンピテンシーと職場でのパフォーマンスには関係がありますか?

A: あります。EI(情動知能)や感情的コンピテンシーが高い人は、同僚との関係やチームワーク、ストレス耐性などにおいて高いパフォーマンスを発揮しやすいとされています。過去の研究では、パフォーマンスとの相関がr = 0.20〜0.30と報告されています。

Q: コンピテンシーモデルには職種ごとの違いはあるのですか?

A: はい。ただし、2024年のレビューによれば、業種や文化を越えて共通するコンピテンシー(例:影響力、感情調整、学習意欲)が存在し、それらは「汎用型コンピテンシー」として活用されています。これにより、職種間での比較や人材育成の指針が可能になります。

Q: バーチャルチームに特有のコンピテンシーはありますか?

A: あります。2025年の研究では、リモート環境においては「個人の自律的行動」「グループとしての協力姿勢」「社会的配慮(例:共感や礼儀)」の3つの次元が特に重要であるとされました。これらは観察可能な行動(例:相手の発言を確認する、会話のまとめを行う)として評価されます。

Q: なぜ行動ベースでの評価が重要なのですか?

A: 行動ベースの評価は、抽象的な能力や性格ではなく、「実際にどう振る舞っているか」に焦点を当てるため、職務パフォーマンスとの関連が強く、フィードバックや育成がしやすいのが特徴です。特に、リモート環境では言葉や表情が限られるため、明確な行動指標が必要です。

Q: コンピテンシーの持続効果を確保するには何が大事ですか?

A: 継続的なフィードバックと実践の場が重要です。2024年のメタ分析でも、研修の効果が3ヶ月以上持続するには、単発の講義形式よりも、「反復的に練習し、自分の行動を振り返る機会がある研修」が効果的とされています。

Q: 共感力や感情制御などの「ソフトスキル」はなぜ注目されているのですか?

A: これらはコンピテンシーの中でも「対人関係能力」に含まれ、チームの雰囲気、対人関係の質、生産性に大きく影響するからです。技術的スキルだけでなく、職場でうまくやっていくためにはこうした能力が欠かせないという研究が増えています。

Q: コンピテンシーの国際比較は行われていますか?

A: 行われています。文化や価値観によって求められる行動特性は異なりますが、最近の研究では「共通コア(例:責任感、協働性)」が世界的に認められており、グローバル人材の育成でもコンピテンシーモデルが活用されています。

理解度を確認する問題

次のうち、マクレランドが提唱した「コンピテンシー」の定義として最も適切なものはどれか?

A. 職務に関する知識の多さ
B. 成功する人が共通して持つ行動特性
C. 性格的な特性
D. 学歴や資格の内容

正解:B

関連キーワード

  • マクレランド(McClelland)
  • アイスバーグモデル
  • 行動面接(BEI)
  • 職務適性
  • 情動的知能(EQ)
  • 人材評価

関連論文

McClelland, D. C. (1973). “Testing for Competence Rather Than for Intelligence.”

解説:この論文でマクレランドは、知能テストよりも実際の行動に着目した「コンピテンシー評価」が現実的であり、成果を予測できると提唱しました。

結果:外交官、マネージャーなどの事例を通じて、職務成功には「行動特性」が鍵であることが明らかになりました。

「職場における感情的コンピテンシー研修の効果」(2024年、Mehler et al. によるメタ分析)

概要:職場での感情知能(EI)、共感、感情調整を対象にした研修を50件(うち対照群付きは27件)を分析。

結果

  • 研修前→後の効果サイズ(SMD)=0.44(95%CI [0.29, 0.59])
  • 介入群 vs 対照群:0.46(95%CI [0.30, 0.63])
  • 全体的に中程度の効果で、研修終了後3ヶ月以上経っても持続した成果

解釈:感情的コンピテンシー(自己認識、共感、感情調整など)は研修により有意に向上し、職場の様々な職能・職群において持続効果があると示されました。信頼性はやや限定(研究間の異質性あり)ですが、企業や組織にとって心理的能力開発の有効な手段であると考えられます。

「Evidence-based General Competency Models のシステマティックレビューと分類」(2024年)

概要:23の汎用コンピテンシーモデルを統合し、職種・業種を横断して共通する36種の汎用コンピテンシーを分類・整理したレビュー。

結果

  • 36項目の分類を作成。有望な共通キーワードは「影響力(influence)」「他者育成」「感情自己統御」「組織コミットメント」「情報探求」など
  • 職種や文化を超えて一定項目が繰り返し現れており、一般性のあるコンピテンシーモデルの存在を支持

解釈:汎用性のある共通コンピテンシーモデルを確立することにより、新しい職務や組織横断の評価・育成に役立つ枠組みが得られます。導入することで、教育設計や人材開発における基盤設計にも寄与します。

「Behavior‑oriented framework for assessing virtual teamwork competency」(2025年4月発表、Hu & Chan)

概要:リモート/バーチャル環境におけるチームワーク・コンピテンシーを評価するため、行動重視の枠組みを提案(学生対象)。

結果

  • 重要次元:グループタスク/個人タスク/社会的次元の3つ
  • 各次元に対応する具体的行動指標をCritical Incident Techniqueとフォーカスグループから抽出

解釈:リモート環境下でのコンピテンシー評価に、自己申告だけでなく観察可能な行動指標を組み込む手法が示され、現代的な職場(遠隔協働)に適した評価基準の開発に貢献します。

覚え方

「コンピ=根っこ(深い動機)、テンスィー=点数(評価される)」で、深いところから評価される!

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