お互いに協力すれば得なのに、自分の利益を優先して損してしまう状況のこと
簡単な説明
「囚人のジレンマ」って、2人で協力すりゃよかったのに、自分だけ助かろうとしたら、結果的にどっちもヤバくなるって話なんだよ。
友情も商売も国際関係も、裏切るより信じる方がトクになるって、心理学は教えてくれてるんだよねー。まさに人生の縮図!
由来
「囚人のジレンマ」は1950年、アメリカの研究者 メリル・フラッド と メルヴィン・ドレシャー によって考案され、その後 アルバート・タッカー が物語形式にしたことで有名になりました。これはゲーム理論という分野の研究から生まれました。
具体的な説明
2人の容疑者(囚人)がいて、警察は2人を別々に取り調べます。お互いに連絡は取れません。警察は次のように提案します:
- もしあなたが黙っていて、相手が自白したら、あなたは10年の刑。
- もしあなたが自白して、相手が黙っていたら、あなたは自由。
- もし2人とも自白したら、2人とも5年の刑。
- もし2人とも黙っていたら、2人とも1年の刑。
合理的に考えれば、どちらも自白してしまい、結局5年ずつ刑を受ける結果になります。でも、協力して黙っていれば1年で済むんです。
囚人のジレンマは「非ゼロ和ゲーム(non-zero-sum game)」であり、**ナッシュ均衡(Nash equilibrium)**を持ちます。各プレイヤーが最適な戦略を取った結果、相手の行動を変えない限り、これ以上得にはならない状態がナッシュ均衡です。
このジレンマのナッシュ均衡は、「互いに裏切る(自白する)」ことであり、これがパレート最適とは一致しないという点が問題とされています。
実験や観察手法と結論
実験例:
ロバート・アクセルロッド(1980年代)は、囚人のジレンマの繰り返しゲームを用いた大会を開催しました。参加者は戦略をプログラムして提出し、複数回ゲームを行います。
結論:
最も成功した戦略は「しっぺ返し(Tit for Tat)」でした。これは最初は協力し、その後は相手の前の行動を真似るというシンプルな戦略です。相手が協力すれば協力し、裏切れば裏切る、というやり方です。
例文
「友達と内緒の計画をしていたけど、先生にバレそうになった。どちらかがしゃべれば片方は助かる。でも、どちらも黙っていれば軽く済む。でも結局、2人ともしゃべってしまって大変なことになった。まるで囚人のジレンマみたいだったよ。」
疑問
Q: 囚人のジレンマは一回限りのゲームだけですか?
A: 一回限り(単発)の囚人のジレンマもありますが、何度も繰り返す「繰り返しゲーム」もあります。後者では協力が維持されやすくなります。
Q: 協力する戦略はいつもうまくいくのですか?
A: 協力戦略は、相手も協力的であるときには効果的ですが、相手が常に裏切る場合は損をすることもあります。
Q: これは現実世界でもあるのですか?
A: はい、企業間の価格競争、国同士の軍縮、友人関係など、多くの現実の社会場面で起こります。
Q: 囚人のジレンマとナッシュ均衡の関係は?
A: 囚人のジレンマのナッシュ均衡は「互いに裏切る」状態です。お互いに最適な戦略ですが、全体としては非効率です。
Q: パレート最適とはどう違うのですか?
A: パレート最適は、誰かが得をするために他の誰かが損をしないといけない状態。囚人のジレンマでは協力がパレート最適ですが、ナッシュ均衡は非効率になります。
理解度を確認する問題
囚人のジレンマにおけるナッシュ均衡として最も適切なのはどれか?
A. 両者が協力する
B. 一方が協力し、他方が裏切る
C. 両者が裏切る
D. 両者が無視する
正解:C. 両者が裏切る
関連キーワード
- ゲーム理論
- ナッシュ均衡
- パレート最適
- 協力と競争
- しっぺ返し戦略(Tit for Tat)
- 社会的ジレンマ
- 信頼と裏切り
- 繰り返しゲーム
関連論文
Axelrod, R. (1984). The Evolution of Cooperation. Basic Books.
解説:この書籍は繰り返し囚人のジレンマにおける「協力の進化」について述べています。
結果:単純な「しっぺ返し」戦略が長期的に見て最も協力的で成功することを示しました。
覚え方
「自分だけ得しようとすると、結局みんな損するゲーム」と覚えましょう!
また、「2人で黙れば得する、でも話すと損する」→ ふたり黙って、フク(福)くる、しゃべればバク(爆)くる、とリズムで覚えるのも効果的です。


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