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資産特殊性(Asset Specificity)

Asset Specificity 行動経済学
Asset Specificity

特定の相手との関係でしか価値が発揮できない資産のこと

簡単な説明

資産特殊性っていうのは、簡単に言うと「ある特定の人(や会社)のためだけに時間やお金、道具、スキルをめっちゃ使っちゃって、他では使えなくなる状態」のことです。

たとえば、あるラーメン屋のためだけに特別なスープを作る機械を買ったとします。その機械は他のラーメン屋では使えない。もしその店との取引が終わったら、その機械はムダになっちゃいます。つまり、「この関係のためだけに用意したもの=資産特殊性が高い」ってことです。

人間関係でも同じようなことがあります。たとえば、「彼女のために料理やファッション頑張ったけど、別れたらその努力どこにも使えない…」みたいな。これも立派な資産特殊性です。

資産特殊性が高いと、その相手にすごく依存することになるので、「裏切られたら損するから、信頼がめっちゃ大事」になります。だからこそ、企業同士でも長期契約を結んだり、信頼関係を大切にしたりするんですね。

由来

この用語は経済学者オリバー・ウィリアムソン(Oliver E. Williamson)が1970年代に提唱した取引コスト理論(Transaction Cost Economics)の中核概念です。ウィリアムソンはこの理論で2009年にノーベル経済学賞を受賞しました。

具体的な説明

資産特殊性とは、一度投資すると他の用途には転用しにくくなる資産の性質を指します。つまり、ある特定の取引関係のために作られたモノやスキル、設備、知識などは、その関係が終わると価値を失う、または他で使いにくくなることです。

たとえば、あるメーカーが特定の企業用の部品を作るために専用の機械を買ったとします。その部品は他社では使えないものであれば、その機械は他には使いづらくなります。このような場合、その機械は「資産特殊性が高い」と言えます。

ウィリアムソンによると、資産特殊性は以下の5種類に分類されます:

  1. 物理的資産特殊性(Physical Asset Specificity)
    特定の相手に合わせた機械や設備。
  2. 人的資産特殊性(Human Asset Specificity)
    特定の技能や経験を積んだ労働者。
  3. サイト特殊性(Site Specificity)
    地理的に近くないと成立しない資産。
  4. 時間的特殊性(Temporal Specificity)
    時間制約がある取引(例:生鮮食品の流通)。
  5. ブランド特殊性(Brand Specificity)
    ブランドに依存する価値。

資産特殊性が高まると、取引相手に依存するリスクが増し、契約や信頼関係、制度の整備が必要になります。

実験や観察手法と結論

ウィリアムソンは実験よりも理論的・事例的分析に基づいてこの概念を提示しました。例えば、自動車産業における下請け企業の機械や技術が自動車メーカー1社に依存しているケースなどが調査されました。

結論としては、「資産特殊性が高いほど、長期契約や信頼関係が必要になる」というものでした。

例文

「この部品はトヨタ専用に作られているから、他のメーカーには売れない。つまり、資産特殊性が高いってことだね。」

疑問

Q: 資産特殊性が高いとなぜリスクになるのですか?

A: 他の取引先に転用できないため、その取引がなくなると資産の価値が大きく下がるからです。

Q: 資産特殊性は人にも当てはまりますか?

A: はい、特定の仕事にしか使えないスキルは人的資産特殊性にあたります。

Q: なぜこの概念が心理学検定に関係あるのですか?

A: 組織心理学や社会的交換理論で、人間関係における信頼や依存の分析に使われるからです。

Q: どうすれば資産特殊性のリスクを減らせますか?

A: 汎用性の高いスキルや資産を増やす、取引先を多様化することが有効です。

Q: ブランドも資産特殊性に含まれるのですか?

A: はい、特定のブランド価値がその会社にしか使えない場合はブランド特殊性に該当します。

理解度を確認する問題

次のうち、「資産特殊性」が最も高いと考えられるのはどれか?

A. 汎用的なパソコン
B. トヨタ専用の自動車部品製造機
C. 通勤にも使える自転車
D. 書店で売っている一般的な文房具

正解:B

関連キーワード

  • 取引コスト理論
  • 専用資産
  • 組織間関係
  • 信頼と依存
  • 契約理論
  • 社会的交換理論

関連論文

Asset specificity and relationship performance: A meta-analysis over three decades」

概要:この研究は、資産特殊性が関係性パフォーマンスに与える直接的な影響を調査し、取引コスト経済学(TCE)と関係交換理論(RET)との理論的緊張に焦点を当てています。33の研究を対象としたメタ分析を採用し、資産特殊性の高まりが関係性パフォーマンスに正の影響を与えることを示しています。しかし、実証研究の中には一貫性のない結果もあり、TCEとRETの視点を統合することで、より包括的な理解が得られる可能性があると提案しています。

結果:資産特殊性が高いほど、関係性パフォーマンスが向上する傾向が見られましたが、すべての研究で一貫した結果が得られたわけではありません。このことから、TCEとRETの理論を統合することで、資産特殊性の影響をより深く理解できる可能性が示唆されています。

覚え方

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