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ペアレンティングスタイル(Parenting Style)

Parenting Style コラム
Parenting Style

親が子どもにどう関わるか、その態度や方法のタイプのこと

簡単な説明

心理学では、親の関わり方を「要求の高さ」と「優しさ(応答)」の2軸で分けて、次の4タイプに分類してます。

由来

ペアレンティングスタイルの概念は、1960年代にアメリカの発達心理学者 ダイアナ・バウムリンド(Diana Baumrind) によって提唱されました。彼女は子育ての方法が子どもの性格や社会性の発達に大きく影響することを見出しました。

バウムリンドは、親の「要求度(demandingness)」と「応答性(responsiveness)」の2軸を用いて、4つのペアレンティングスタイルを定義しました。

具体的な説明

ペアレンティングスタイルは、親のしつけ方や態度の違いを4つのタイプに分類します。

  1. 権威的(オーソリタティブ)型
  2. 権威主義(オーソリタリアン)型
  3. 放任(パーミッシブ)型
  4. 無関心・無責任(ネグレクトフル)型

バウムリンドの研究を基に、次の2次元で分類されます:

  • 要求度(demandingness):親が子どもにどれだけの期待やルールを課すか
  • 応答性(responsiveness):親が子どもの気持ちや意見にどれだけ敏感に対応するか

この2軸を組み合わせて、4つのスタイルに分かれます:

スタイル要求度応答性子どもへの影響
権威的高い高い自主性が高く、社会的に成熟する
権威主義高い低い従順だが不安傾向が高くなることもある
放任低い高い自己中心的・規律に乏しくなる傾向
無関心・無責任低い低い社会的能力が低く、自尊感情も低下しやすい

バウムリンドは、プリスクール児の家庭を観察し、親の言動を詳細に分析しました。その後、長期的な追跡調査により、子どもの行動(社会性、攻撃性、独立性など)との関連を統計的に確認しました。

たとえば、権威的スタイルの親を持つ子どもは、自立的で学業成績も高く、社会的に成熟する傾向があることが示されました。

例文

「うちの親は、ちゃんとルールを決めるけど、私の話もよく聞いてくれるから、たぶん“権威的”なペアレンティングスタイルだと思う。」

疑問

Q: ペアレンティングスタイルは親の性格で決まるのですか?

A: 一部は性格に由来しますが、文化や教育、家庭の状況によっても変わります。

Q: 子どもにとって一番いいスタイルはどれですか?

A: 多くの研究で、権威的スタイルが最もバランスが取れているとされています。

Q: 放任型の親は子どもに自由を与えて良いのでは?

A: 自由は大切ですが、ルールやしつけが不十分だと社会性が育ちにくくなります。

Q: スタイルは途中で変えられるのですか?

A: 変えることは可能です。意識して対応を変えることで、親子関係は改善できます。

Q: 権威主義スタイルが悪いとは限らないのですか?

A: 一概に悪いとは言えませんが、高すぎる要求と低い共感性は子どもにストレスを与える可能性があります。

Q: なぜ権威的(オーソリタティブ)スタイルが最も望ましいとされているのですか?

A: バウムリンド(1966)やPinquart(2017)の研究では、権威的スタイルが子どもの社会的成熟、学業成績、精神的健康に最も好影響を与えることが一貫して示されています。高い要求度と高い応答性のバランスが、安心と挑戦の両方を提供するためです。

Q: 権威主義的(オーソリタリアン)スタイルでも成績は上がるのでは?

A: 成績が上がるケースもありますが、Pinquart(2017)のメタ分析では、不安や抑うつなどの内面化症状が増える傾向が指摘されています。学業は伸びても、心理的な健康にはリスクが伴います。

Q: 無関心型(ネグレクトフル)のスタイルが最も悪影響というのはなぜですか?

A: Maccoby & Martin(1983)の研究で、要求も応答もない無関心型の親を持つ子どもは、非行・学業不振・低自尊感情などあらゆる側面で悪影響を受けやすいとされました。子どもの発達には、親の関与と感情的なつながりが不可欠です。

Q: スタイルは文化によって効果が異なりますか?

A: はい。たとえば東アジアの文化圏では、権威主義的スタイルが学業成績と強く関連していることもあります(Spera, 2005)。ただし、心理的な負担や親子関係の質は文化を問わず重要です。

Q: ペアレンティングスタイルと具体的な子育て行動の違いは何ですか?

A: Darling & Steinberg(1993)は、スタイルは育児行動の「文脈」だと述べています。たとえば「宿題を見る」という行動でも、スタイルが権威的か権威主義的かによって、子どもの受け取り方や効果が異なるのです。

理解度を確認する問題

ペアレンティングスタイルに関する説明として正しいものを選びなさい。

A. 権威的スタイルは要求度が低く応答性も低い
B. 放任型は要求度が高く応答性が高い
C. 権威主義型は要求度が高く応答性が低い
D. 無関心型は要求度が高く応答性も高い

正解:C

関連キーワード

  • 応答性(Responsiveness)
  • 要求度(Demandingness)
  • 社会的適応
  • 自律性
  • 子育てスタイル

関連論文

Effects of Authoritative Parental Control on Child Behavior

概要:バウムリンドが提唱した最初のペアレンティングスタイル研究。プリスクール児を対象に、親のしつけ方法と子どもの社会的行動を観察・分析。

結果:権威的スタイルの親の子どもは、自立性・協調性・責任感が高い傾向を示した。

解釈:親の「高い要求」と「温かい応答性」の両立が、最も健全な子どもの発達を促す。

Socialization in the Context of the Family: Parent–Child Interaction

概要:バウムリンドの3分類(権威的・権威主義・放任)に「無関心型(Neglectful)」を加えて4分類へ拡張。

結果:無関心型の親を持つ子どもは、最も社会的適応が悪く、学業不振や非行リスクが高まる。

解釈:親の関心と関与が極端に少ないと、子どもに深刻な心理的・社会的影響が生じる。

Associations of Parenting Dimensions and Styles with Internalizing Symptoms in Children and Adolescents: A Meta-Analysis

概要:ペアレンティングスタイルがうつ、不安などの内面化症状(internalizing symptoms)に与える影響を統計的に検証(429件の研究、N=141,000人以上を統合)。

結果:権威的スタイルは内面化症状が最も少なく、権威主義・無関心型はリスクが高いことが明らかに。

解釈:温かい関わりと一貫したしつけは、子どものメンタルヘルスを守る保護因子となる。

Parenting Style as Context: An Integrative Model

概要:ペアレンティングスタイルは「背景的な文脈」であり、具体的な育児行動(例:勉強の手伝いなど)とは別に捉えるべきという理論的枠組みを提示。

結果:スタイルが肯定的であれば、具体的な行動もより効果的になる。

解釈:スタイルは子育ての「空気」のようなもの。良い空気が、他の育児行動の効果を引き出す。

A Review of the Relationship among Parenting Practices, Parenting Styles, and Adolescent School Achievement

概要:ペアレンティングスタイルと子どもの学業成績の関係に焦点を当てたレビュー。

結果:権威的スタイルの家庭では成績が高く、自己効力感も高い傾向が見られた。

解釈:勉強への意欲や達成感を育むには、自由と責任のバランスが重要。

覚え方

「おう(権威的)・おう(権威主義)・ほう(放任)・むかん(無関心)」と唱えてリズムで記憶!

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