子どもが学校に行けなくなる心理的な状態のこと
簡単な説明
不登校って、サボりとかじゃ全然なくて、心がちょっと疲れてるサイン。無理して登校するより、まずは“どうしたの?”って聞いてあげるのが大事なんだよね。
由来
「不登校」という言葉は、かつては「登校拒否」と呼ばれていましたが、1992年に文部省(現・文部科学省)がより中立的な表現として「不登校」という言葉を使用するようになりました。これは、意図的に学校を拒否しているのではなく、心理的・社会的な要因により「行けない」子どもたちが多いことを認めるためです。
具体的な説明
不登校とは、小学校・中学校・高等学校に在籍する児童・生徒が、年間30日以上学校を欠席し、その主な理由が病気や経済的理由ではないものを指します。つまり、心理的なストレスや家庭・学校の人間関係が主な背景です。
たとえば、「学校で友達とうまくいかない」「先生が怖い」「家の中が安心できない」「進路への不安が大きすぎる」といった理由で、学校に行こうとするとお腹が痛くなったり、涙が出たりする子どもがいます。これが長期的になると「不登校」と呼ばれます。
不登校は、児童青年期の適応障害の一形態と捉えられ、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)における「不安障害」や「気分障害」との関連も示唆されています。
特に、回避性パーソナリティ傾向や家族機能不全(ファミリーディスファンクション)との関係が注目されており、心理的アセスメントや環境調整が必要とされます。
具体的な実験・観察手法と結論
実験例:
文部科学省の調査では、不登校児の約7割が「人間関係の悩み」を抱えていると報告されています。また、心理学者・遠藤利彦らの研究では、愛着スタイルが不登校傾向に強く影響していることが分かっています。
結論:
安定した愛着を持つ子どもほど、不登校になる可能性が低く、逆に不安型愛着を持つ子どもは人間関係のトラブルに対して回避的な行動をとる傾向があります。
例文
「最近、息子が朝になるとお腹が痛いと言って学校に行きたがらなくなった。病院では異常がなく、先生に相談すると『これは不登校の初期かもしれません』と言われた。」
疑問
Q: 不登校は精神疾患と同じものですか?
A: 必ずしも精神疾患とは限りませんが、背景にうつ病や不安障害などが関与しているケースもあります。
Q: 不登校と引きこもりは同じ意味ですか?
A: 似ていますが異なります。不登校は「学校に行かない状態」、引きこもりは「社会的な活動すべてを避けて家にこもる状態」です。
Q: 親の関わり方はどのように影響しますか?
A: 過干渉や無関心が不登校のリスクを高める一方で、適度な共感と支援が回復を促します。
Q: 一度不登校になったら一生影響しますか?
A: 適切な支援があれば回復し、社会的にも十分に適応している人も多くいます。
Q: カウンセリングは効果がありますか?
A: 個別のケースによりますが、認知行動療法や家族療法などは高い効果が報告されています。
Q: 不登校の子どもに共通する心理的特徴にはどのようなものがありますか?
A: 教育心理学のメタ分析(2020年)によると、自己効力感の低さ、社会的スキルの不足、学業不安が不登校児に多く見られる特徴です。これらは心理的ストレスの対処が困難であることを示しており、学校という社会的場面への不適応につながることが示されています。
Q: 親子関係は不登校にどのように影響しますか?
A: 日本心理学会誌(2018年)の研究では、不安型愛着を持つ児童ほど不登校傾向が高いとされました。特に母親との愛着が心理的安定に影響しており、信頼と安心のある関係が不登校の予防要因となることが示されています。
Q: 学業成績が高くても不登校になることはありますか?
A: はい、あります。メタ分析によれば、不登校の発生には成績そのものよりも、成績へのプレッシャーや達成不安の方が強く影響します。つまり「できているけど、できていないと思い込む」ような子も不登校になり得ます。
Q: 不登校の早期発見にはどのようなサインを見逃さないべきですか?
A: 研究では、「朝になると体調不良を訴える」「些細なことで泣く・怒る」「家にいても笑顔が少ない」などの情緒的サインが早期の兆候とされています。こうした小さな変化が蓄積し、長期欠席につながるケースが多いため、日常の観察が非常に重要です。
理解度を確認する問題
不登校の定義として最も適切なのはどれか?
A. 学校を欠席するがスポーツや旅行が理由である
B. 病気で長期欠席する
C. 年間30日以上の欠席で心理的要因が中心
D. 経済的事情で通学できない
正解:C
関連キーワード
- 愛着理論
- 社会的支援
- 適応障害
- 家族療法
- 認知行動療法
- 教育心理学
関連論文
「児童の不登校と親子関係における愛着の役割」
概要:この研究では、不登校傾向と親子間の愛着スタイルとの関連を調査しました。
結果:不安型愛着を持つ子どもは、不登校傾向が高いことが示されました。特に、母親との愛着が心理的安定に大きく寄与していると結論づけられています。
解釈:親子間の安定した愛着関係が、不登校の予防や改善に重要であることが示唆されます。
「不登校の心理的要因に関するメタ分析」
概要:このメタ分析では、過去の研究を統合し、不登校の心理的要因を明らかにすることを目的としました。
結果:不登校の主な心理的要因として、社会的スキルの欠如、自己効力感の低さ、学業への不安が挙げられました。
解釈:これらの要因に対する介入が、不登校の予防や改善に効果的である可能性が示唆されます。
覚え方
「行かないんじゃなくて、行けないんだ!ふ・と・う・こ・う!」
(「ふ」:不安、「と」:登校ができない、「う」:うつ傾向、「こ」:孤独感、「う」:受け止める支援)


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