- はじめに:あなたは「都合のいい人」にされていませんか?
- 第1章:テイカーとは何者か——人間関係の3つのタイプを理解する
- 第2章:テイカーを見抜く5つの決定的なサイン
- 第3章:なぜあなたはテイカーに狙われるのか——自己理解のための心理学
- 第4章:テイカーから身を守る4つの実践戦略
- 第5章:テイカーを避けた先にあるもの——成功するギバーへの道
- おわりに:あなたの人生は、あなたが選ぶ
はじめに:あなたは「都合のいい人」にされていませんか?

「また私に押し付けてきた…」
金曜日の夕方、あなたは同僚から急ぎの資料作成を頼まれました。本当は今日中に終わらせて、週末は家族との時間を楽しみにしていたのに。
「ちょっと手が離せなくて。君、この分野得意でしょ?お願いできる?」
断れないあなたは、結局その仕事を引き受けました。一方、頼んできた同僚は定時で帰宅。月曜日になっても、感謝の言葉はありませんでした。
こんな経験、ありませんか?
「私が優しすぎるのかな」 「もっと図太くならないとダメなのかな」 「でも、冷たい人間にはなりたくない…」
あなたは何も悪くありません。
問題は、あなたの周りに「テイカー(奪う人)」がいることです。そして、あなたにはまだ、彼らから自分を守る「戦略」がないだけなのです。
組織心理学者アダム・グラント氏の研究によれば、私たちの周りには3つのタイプの人間がいます。与える人(ギバー)、奪う人(テイカー)、バランスを取る人(マッチャー)。そして驚くべきことに、テイカーは約20%も存在するのです。
つまり、5人に1人は、あなたから何かを奪おうとしている可能性があるということです。
今日は、心理学の視点から、あなたのエネルギーと時間を奪う「テイカー」の正体を明らかにし、自分を守りながら健全な人間関係を築く方法をお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたは「都合のいい人」を卒業し、本当に大切にすべき人間関係に時間を使えるようになっているはずです。
第1章:テイカーとは何者か——人間関係の3つのタイプを理解する

1-1. すべての人間関係は「与える」と「受け取る」で成り立っている
まず、基本的な前提からお話しします。
私たちは社会的な生き物です。仕事でも、友人関係でも、家族との間でも、常に「何かを与え、何かを受け取る」という相互作用の中で生きています。
このギブアンドテイクのバランスをどう捉えるかによって、人は3つのタイプに分かれるとグラント氏は指摘します。
【図解挿入ポイント①:3つのタイプの比率を示す円グラフ】
タイトル:「あなたの周りにいる3つのタイプ」
- ギバー(与える人):25%(緑色)
- テイカー(奪う人):20%(赤色)
- マッチャー(バランスを取る人):55%(青色)
サブタイトル:「5人に1人はテイカー。あなたの周りにも必ずいます」
ギバー(Giver):与える人【約25%】
「何をしてあげられるだろう?」と考える人たちです。
見返りを期待せず、まず相手の役に立つことを優先します。困っている人を見ると、つい助けてしまう。頼まれると断れない。そんな優しい人たちです。
もしかしたら、あなた自身がこのタイプかもしれませんね。
心理学的に言えば、ギバーは共感性が高く、他者の幸福を自分の喜びとして感じられる人たちです。脳の回路が「人の笑顔を見ると嬉しい」という仕組みになっているのです。
テイカー(Taker):奪う人【約20%】
「何をしてもらえるだろう?」と考える人たちです。
常に自分の利益を最優先し、他者を自分の目的を達成するための「道具」として見る傾向があります。彼らにとって、世界は「食うか食われるかの競争の場」なのです。
重要なのは、テイカーの多くは一見すると魅力的に見えることです。第一印象が良く、人当たりもいい。だからこそ、見抜くのが難しいのです。
マッチャー(Matcher):バランスを取る人【約55%】
「公平でありたい」と考える人たちです。
受けた恩は必ず返し、受けた害には相応の報復で応えようとします。心理学で言う「互恵性の原理(受けたら返す)」を強く意識している人たちです。
実は、社会の過半数がこのマッチャーです。この事実が、後で説明する「テイカーの末路」と「あなたが取るべき戦略」に大きく関わってきます。
1-2. テイカーの基本心理:なぜ彼らは奪うのか
テイカーの心の中を覗いてみましょう。
彼らは、人間関係を「取引」として捉えています。心理学的には、これを道具的アプローチと呼びます。すべての人間関係を「損か得か」で判断するのです。
テイカーの世界観:
- 上司や有力者:「利用価値がある。媚びよう」
- 部下や立場が下の人:「利用価値がない。適当でいい」
この二重基準が、テイカーの最大の特徴です。
さらに、テイカーには興味深い心理的特徴があります。それは、「自分は特別だ」という信念です。心理学では、これを過剰な自己愛(ナルシシズム)と関連付けています。
「俺は人より優れているから、人よりも多く受け取って当然だ」 「私はこれだけ頑張っているんだから、周りがサポートするべきだ」
このような思考パターンが、テイカーの搾取的な行動を正当化し、支えているのです。
1-3. なぜテイカーは魅力的に見えるのか

ここが最も厄介なポイントです。
多くのテイカーは、表面的には非常に魅力的です。なぜでしょうか?
それは、彼らが「印象管理」のスキルに長けているからです。心理学用語で言えば、セルフ・プレゼンテーションが上手なのです。
テイカーは、相手から何かを得るために、意図的に好印象を与えようとします。笑顔も、褒め言葉も、親切な態度も、すべて計算されたものです。
実際、心理学の研究では、ナルシシストほど初対面での印象が良いことが示されています。彼らは:
- 自信に満ちている(ように見える)
- 話が上手い
- カリスマ性がある(ように演出する)
だからこそ、テイカーを見抜くには、表面的な印象ではなく、具体的な行動パターンを観察する必要があるのです。
次の章では、その具体的な観察ポイントをお伝えします。
第2章:テイカーを見抜く5つの決定的なサイン
さて、ここからが本題です。あなたの周りにいるテイカーを特定するための、具体的な観察ポイントをお伝えします。
サイン1:立場が下の人への態度が豹変する
これが最も確実なサインです。
テイカーは、自分に利益をもたらす相手と、そうでない相手への態度が驚くほど違います。
具体的な観察ポイント
飲食店での振る舞い
- 店員への態度が横柄、命令口調になる
- 「おい」「早くして」といった言葉遣い
- ミスがあったときの過剰な責め方
- お礼を言わない、目も合わせない
タクシーや配達員への接し方
- 運転手に対して見下した態度を取る
- 配達員を「召使い」のように扱う
- 不満があると高圧的になる
- 感謝の言葉がない
職場での二面性
- 上司には笑顔で従順、部下には厳しく冷淡
- 同僚の中でも、「使える人」と「使えない人」で態度が変わる
- 部下の成果を自分の手柄にする
- 部下が困っていても助けない
【図解挿入ポイント②:テイカーの態度の二重性を示す図】
タイトル:「テイカーの二重基準」
左側:上司・有力者に対する態度
- 笑顔のアイコン
- 「承知しました!」「さすがです!」
- 低姿勢のイラスト
右側:部下・店員に対する態度
- 無表情または厳しい表情のアイコン
- 「早くやれ」「使えないな」
- 高圧的なイラスト
中央に大きな矢印で対比を強調
サブタイトル:「この落差が、テイカーの本質を表しています」
なぜこれがサインなのか:心理学的背景
テイカーは、人間関係を「投資対象」と「その他」に二分しています。
- 上司や有力者は「投資対象」→ リターンが見込める → 丁寧に扱う
- 店員や部下は「その他」→ リターンが見込めない → 適当に扱う
この非対称な態度こそ、テイカーの本質を如実に表しているのです。
心理学の研究では、人の本当の性格は「パワーのない相手への態度」に最も明確に現れることが示されています。自分に何の利益ももたらさない相手にどう接するか——そこにその人の真の人格が表れるのです。
✓ 今すぐできるチェック
- 次にランチや飲み会に行ったとき、相手が店員にどう接するか観察してみましょう
- その人の「本性」が見えるはずです
- もし横柄な態度を取っていたら、その人はあなたに対しても、いずれ同じ態度を取る可能性があります
サイン2:「ギブ」に見せかけた「取引」をしてくる
一見すると親切に見えても、実は裏に計算があるケースです。
具体的なパターン
「前にやってあげたよね?」が口癖
- 「この間助けてあげたでしょ。今度は君の番だよ」
- 恩を着せ、すぐに回収しようとする
- 助けてから数日、数週間以内に見返りを要求する
見返りを明確に要求する
- 「これやってくれたら、今度○○を手伝ってあげる」
- 条件付きの協力しかしない
- 「ギブアンドテイクでしょ?」という言葉を頻繁に使う
恩を何度も持ち出す
- 一度助けたことを、何ヶ月も、何年も持ち出す
- 「あの時助けてあげたのに」という言葉で圧力をかける
- 助けた内容を誇張して語る
手伝った後の態度が冷たい
- あなたが困っていても、「今は忙しい」と断る
- 自分が利益を得た後は、連絡が途絶える
心理学的解説:2つの人間関係のスタイル
心理学では、人間関係を2つのタイプに分類します。
交換関係(Exchange Relationship)
- 「これをあげるから、あれをちょうだい」という明確な取引
- ギブアンドテイクが即座に、等価で行われる
- ビジネスライクで損得勘定が明確な関係
- 「借り」を残したくない、残させたくない
共同体関係(Communal Relationship)
- 「困っているから助ける」という無条件の支援
- 損得勘定を超えた、互いの幸福を願う関係
- 誰が何をしたかを細かく記録しない
- 家族や親しい友人との関係
テイカーは、すべての関係を交換関係として捉えています。だから、「やってあげた」ことをすぐに「回収」しようとするのです。しかも、本人は「公平に取引している」と思っているため、罪悪感がありません。
一方、本物のギバーは、共同体関係の精神で接します。見返りを期待せず、ただ相手の役に立ちたいと思っているのです。
具体例で理解する
テイカーのギブ:
- 「先週、君のプレゼン資料作るの手伝ったよね。だから今回は俺の営業同行してよ」
- → 明確な取引。しかも、すぐに回収しようとする
ギバーのギブ:
- 「プレゼン、大変そうだったから手伝ったよ。うまくいったみたいで良かった!」
- → 見返りを求めない。相手の成功を純粋に喜ぶ
✓ 今すぐできるチェック
- その人は「やってあげた」という言葉を何度も使いますか?
- 助けてくれた後、すぐに見返りを求めてきますか?
- あなたが困っているときに、同じように助けてくれますか?

サイン3:SNSが「盛り」すぎている
現代ならではのサインです。SNSは、その人の自己認識と価値観を映す鏡になります。
具体的な観察ポイント
プロフィール写真
- 実物と大きくかけ離れた加工写真
- 明らかに「良く見せよう」という意図が強い
- 頻繁に変更し、常に「最高の自分」を演出
投稿内容のパターン
- 自慢話が異常に多い(高級レストラン、ブランド品、有名人との写真)
- 「すごいでしょ」「羨ましいでしょ」というアピールが強い
- 自分の成功、実績、持ち物ばかりを強調
- 日常の些細な幸せではなく、派手な体験ばかり投稿
他者への言及の仕方
- 有名人や影響力のある人との繋がりを過度にアピール
- 「○○社長と食事に行きました」という投稿が多い
- 一般の友人への言及は少ない、またはほとんどない
- 部下や家族を「自分を引き立てる背景」として扱う
コメントへの反応
- 褒められると過度に喜ぶ、または当然という態度
- 批判的なコメントには攻撃的に反応、またはブロック
- 自分の投稿には反応を求めるが、他人の投稿にはリアクションしない
なぜこれがサインなのか
心理学の研究によれば、過度なSNS上の自己顕示は、ナルシシズム(自己愛)と強く相関していることが分かっています。
ナルシシズムの特徴は:
- 自分は特別だという信念
- 賞賛への過度な欲求
- 共感性の欠如
- 傲慢な態度
テイカーは、他者からの評価を操作し、自身の価値を誇張することで利益を得ようとします。SNSは、その格好の舞台なのです。
実際、ある研究では、Facebookの投稿頻度、自撮り写真の多さ、友達の数などが、ナルシシズムのスコアと正の相関を示すことが明らかになっています。
注意:すべてのSNS利用者がテイカーではありません
- 楽しい思い出を友人と共有するのは健全です
- 自分の仕事の成果を報告するのも問題ありません
- 問題は「過度な盛り」「自己顕示欲の強さ」「他者への関心のなさ」の組み合わせです
✓ 今すぐできるチェック
- その人のSNSを見たとき、「この人、実物と印象が違うな」と感じませんか?
- 投稿の9割が自分の自慢話や、派手なアピールになっていませんか?
- 他人の投稿には無関心で、自分の投稿にばかり反応を求めていませんか?
サイン4:影響力のある人の名前しか出さない
これは極めて効果的な見抜き方です。雑談の中で、さりげなく使える質問です。
魔法の質問
「あなたの人生を劇的に変えた4人は誰ですか?」
この質問をしてみてください。そして、相手の答えを注意深く観察します。
テイカーの典型的な回答
- 「前職の社長です」
- 「大学時代の著名な○○教授」
- 「有名な経営者の△△さん」
- 「政治家の××さん」
- 「業界で有名な□□先輩」
共通点:すべて、自分より地位や影響力が高い人物、または有名人です。
ギバーやマッチャーの回答
- 「母です。どんなときも支えてくれました」
- 「困難な時期に無償で助けてくれた友人」
- 「最初の職場の直属の上司(有名ではないが、人として尊敬している)」
- 「部下の○○さん。彼から学んだことが大きかった」
- 「高校時代の恩師」
共通点:立場や知名度に関わらず、自分の成長や人生に本当に影響を与えてくれた人を挙げます。
【図解挿入ポイント③:テイカーとギバーの人間関係の描き方の違い】
タイトル:「誰を『大切な人』と考えるか」
左側:テイカーの人間関係
- ピラミッド型の図
- 頂点に「有名人・権力者」
- 自分は中間にいて、上を見上げている
- 下層(部下・店員など)は視界に入っていない
サブタイトル:「垂直的(上下関係)で見ている」
右側:ギバーの人間関係
- 円形の図
- 中心に自分
- 周囲に様々な立場の人が対等に配置
- 母、友人、恩師、部下、同僚など
サブタイトル:「水平的(対等)で見ている」
心理学的背景:社会的比較理論
心理学者レオン・フェスティンガーの社会的比較理論によれば、人は常に他者と自分を比較して自己評価を行います。
テイカーの比較は垂直的(上下関係)です:
- 自分より上の人:学ぶべき相手、利用すべき相手、近づくべき相手
- 自分より下の人:眼中にない、利用価値がない、関わる必要がない
健全な人の比較は水平的(対等)です:
- 立場に関わらず、人から学ぶ姿勢がある
- 相手の人間性、誠実さ、優しさを重視する
- 「この人は自分に何をしてくれるか」ではなく「この人から何を学べるか」を考える
別のバリエーション質問
もう少し自然に聞きたい場合は、以下の質問も効果的です:
- 「今までで一番影響を受けた人は誰ですか?」
- 「尊敬している人を3人挙げるとしたら?」
- 「人生の転機で、誰に相談しましたか?」
✓ 今すぐできるチェック
- 雑談の中で「誰から影響を受けましたか?」と聞いてみましょう
- 有名人や権力者の名前しか出てこなかったら、要注意です
- 逆に、身近な人や立場に関わらず「その人の人柄」を語る人は、信頼できる可能性が高いです
サイン5:第一印象が「異常に」良い
最も危険なサインです。
「え?第一印象が良いのは、いいことじゃないの?」と思われるかもしれません。しかし、異常に良い場合は要注意なのです。
なぜ第一印象の良さが危険なのか
テイカーは、相手から何かを奪うために、意図的に好印象を与えようとします。
具体的な行動パターン
- 初対面でやたらと褒めてくる(「素敵ですね」「さすがですね」連発)
- 共通点を過剰に強調し、親近感を演出する
- あなたの話に過度に同調する(「わかります!」「そうなんですよ!」)
- 「この人、いい人だな」と思わせることに全力を注ぐ
- 自分の魅力や能力をさりげなくアピールする
心理学では、これを印象操作(Impression Management)と呼びます。
「人当たりの良いテイカー」が最も危険
あからさまに傲慢で嫌な人は、むしろ分かりやすいのです。すぐに「この人とは関わらないでおこう」と判断できます。
問題は、表面上は非常に良い人に見えるテイカーです。
彼らは:
- 笑顔が上手で、人を魅了する
- 聞き上手を装う(実は次に何を話すか考えているだけ)
- 相手を立てる言葉を巧みに使う
- カリスマ性があるように見せる
心理学の研究では、ナルシシストは短期的な印象形成において非常に有利であることが示されています。自信に満ち、社交的で、魅力的に見えるのです。
だからこそ、多くの人が騙され、気づいたときには搾取されているのです。
見抜くポイント:「時間」が真実を明かす
第一印象は操作できますが、長期的な行動パターンは隠せません。
初期(1〜2週間)
- 非常に親切で、協力的
- あなたに興味を示し、質問してくる
- 頻繁に連絡を取ろうとする
中期(1〜3ヶ月)
- 徐々に本性が見え始める
- 「もう仲良くなった」と判断したら、態度が変わる
- 小さな頼み事から始める
後期(3ヶ月以降)
- 搾取が本格化する
- あなたを利用することに遠慮がなくなる
- または、利用価値がないと判断したら、冷たくなる
第一印象が「普通」の人が実は信頼できる
逆説的ですが、第一印象が「普通」「地味」な人ほど、長期的に信頼できることがあります。
彼らは:
- 無理に良く見せようとしない
- 自然体で接してくる
- 時間をかけて関係を築こうとする
- 派手さはないが、誠実さがある
心理学の「印象形成の順序効果」によれば、最初の印象は強烈ですが、長期的な関係においては一貫性の方が重要です。
✓ 今すぐできるチェック
- 初対面で「この人、良い人すぎる…」「完璧すぎる…」と感じたら、少し距離を置いて観察しましょう
- 数週間後も同じ態度か、それとも変わったか確認してください
- 本物の良い人は、時間が経っても態度が一貫しています
- テイカーは、時間が経つと徐々にメッキが剥がれてきます

第3章:なぜあなたはテイカーに狙われるのか——自己理解のための心理学

ここまで、テイカーの特徴を見てきました。次の疑問が浮かぶかもしれません。
「でも、なぜ私ばかりがターゲットにされるんだろう…」
答えを先に言います:あなたは悪くありません。
ただ、テイカーが好む「特徴」を持っているだけなのです。そして、その特徴を理解し、少し修正するだけで、あなたは搾取から自分を守れるようになります。
3-1. テイカーが狙う人の3つの特徴
特徴1:「ノー」と言えない
これが最大の要因です。
テイカーは、断られない人を本能的に嗅ぎ分けます。そして、徹底的に利用します。
なぜあなたは断れないのでしょうか?心理学的には、いくつかの理由があります。
承認欲求が強い
- 「良い人だと思われたい」
- 「嫌われたくない」
- 相手の評価が自分の価値を決めると感じている
拒絶への恐怖
- 「断ったら、関係が壊れるかもしれない」
- 「孤立するのが怖い」
- 過去に拒絶された経験がトラウマになっている
罪悪感を感じやすい
- 「困っている人を見捨てるなんて…」
- 「断るのは冷たい人間だ」
- 「私が我慢すれば丸く収まる」
自己主張が苦手
- 「自分の意見を言うのは、わがままだ」
- 「相手を優先するのが美徳だ」
- 幼少期から「いい子でいなさい」と育てられた
これらの心理が、あなたを「断れない人」にしているのです。
特徴2:境界線(バウンダリー)がない
心理学で言う境界線(バウンダリー)とは、「自分と他者を健全に区別し、自分のニーズを守る心理的な防御線」のことです。
境界線がない人の特徴:
- 相手の問題を自分の問題として抱え込む
- 「この人を助けなきゃ」という責任感が強すぎる
- 自分の時間、エネルギー、お金を際限なく使ってしまう
- 相手の感情に過度に影響される(相手が不機嫌だと自分のせいだと感じる)
- 「ノー」という言葉を知らない
テイカーは、この「境界線のなさ」を見抜き、つけ込んでくるのです。
境界線がない人は、テイカーにとって「無限に奪える井戸」のような存在なのです。
特徴3:共感性が高すぎる
意外かもしれませんが、共感性の高さも、テイカーに狙われる要因です。
共感性が高い人の特徴:
- 相手の困っている様子を見ると、放っておけない
- 相手の気持ちを敏感に察知する
- 「この人、本当に困っているんだ」と感じると、助けずにいられない
- 他人の痛みを自分のことのように感じる
これは素晴らしい資質です。しかし、テイカーはこの優しさを「弱点」として利用します。
テイカーの手口:
- 困っている様子を演出する
- あなたの共感性を刺激する
- 「この人を助けなきゃ」という気持ちを引き出す
- あなたが助けたら、それを当然と受け取る
- 次も、その次も、要求する
共感性が高い人は、相手が「本当に困っているのか」「演技なのか」を見抜くのが苦手な傾向があります。なぜなら、「人を疑う」ことに罪悪感を感じるからです。
3-2. 自己犠牲の罠:なぜ「いい人」は疲弊するのか
ここで、非常に重要な区別をお伝えします。
実は、ギバー(与える人)には、2つのタイプがいるのです。

タイトル:「同じ『与える人』でも、結果は正反対」
左側:失敗するギバー(自己犠牲型)
- 疲れ果てた人のイラスト
- 下向き矢印
- 「疲弊」「バーンアウト」「搾取される」
- 成功の序列:最下位
右側:成功するギバー(他者志向型)
- 元気な人のイラスト
- 上向き矢印
- 「信頼」「成功」「Win-Win」
- 成功の序列:最上位
中央に「決定的な違いは何か?」という問いかけ
失敗するギバー:自己犠牲型
特徴:
- 自分の利益を完全に度外視する
- 相手を勝たせることだけを考える
- 「私が我慢すればいい」と考える
- 自分のニーズや限界を無視する
結果:
- テイカーに搾取される
- 時間とエネルギーが枯渇する
- 重要な仕事に手が回らなくなる
- 燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥る
心理学者ハーバート・フロイデンバーガーが提唱したバーンアウトは、まさにこの状態です。
バーンアウトの3つの症状:
- 情緒的消耗感:もう誰も助けたくない、疲れ果てた
- 脱人格化:人を人として見られなくなる、冷淡になる、機械的に対応する
- 個人的達成感の低下:何をやっても意味がない、自分は無能だと感じる
これが、自己犠牲型ギバーの末路です。優しさが、自分を破壊してしまうのです。
成功するギバー:他者志向型
特徴:
- 相手の利益を考えつつ、自分の利益も見失わない
- Win-Win(自分も相手も勝つ)を目指す
- 持続可能な方法で与える
- 境界線を持っている
結果:
- 長期的に強固な信頼を築く
- 燃え尽きない、持続可能
- 結果的に大きな成功を収める
- 周囲からの協力と応援を得られる
アダム・グラント氏の研究が示した通り、最も成功するのは、この「他者志向型ギバー」なのです。
決定的な違い:自分を守れるかどうか
2つのギバーの違いは、シンプルです。
- 失敗するギバー:境界線がない、断れない、テイカーを見抜けない
- 成功するギバー:境界線を持つ、戦略的に与える、テイカーから身を守る
つまり、「与える」という行為そのものが問題なのではなく、「どのように与えるか」が重要なのです。
3-3. 最も重要なメッセージ:あなたは悪くない
もう一度、はっきりと言います。
あなたがテイカーに搾取されているのは、あなたが「ダメな人間」だからではありません。
- あなたの優しさは、素晴らしい資質です
- あなたの共感性は、人間として誇るべき強みです
- あなたの誠実さは、かけがえのない美徳です
これらは、決して「弱点」ではありません。武器です。
ただ、今まで「自分を守る戦略」を持っていなかっただけなのです。
そして、これから学ぶ戦略を使えば、あなたは:
- 優しさを保ったまま
- 自分を守りながら
- 本当に大切な人たちに貢献できる
そんな「成功するギバー」になれます。
次の章では、その具体的な戦略をお伝えします。
第4章:テイカーから身を守る4つの実践戦略
さあ、ここからが本番です。具体的に、今日から使える防御策をお伝えします。

タイトル:「テイカーから身を守る4段階戦略」
ステップ1:テイカーを見抜く
↓
ステップ2:マッチャーとして振る舞う
↓
ステップ3:境界線を引く(断る技術)
↓
ステップ4:必要なら距離を置く
サブタイトル:「段階的に実践することで、無理なく自分を守れます」
戦略1:マッチャーとして振る舞う——「教育」としての対抗

最も効果的な防御策は、テイカーに対しては「マッチャー」になることです。
「でも、それって復讐みたいで怖い…」と思うかもしれません。安心してください。これから、その不安を解消します。
具体的なステップ
ステップ1:最初は協力的に接する
- まだ相手がテイカーかどうか確定していない段階では、ギバーとして振る舞います
- 協力的な姿勢を示し、助けます
- 「この人、本当に困っているかもしれない」という可能性を信じる
ステップ2:相手が搾取的なら対抗する
- 相手があなたの善意を利用し、不公平な要求をしてきた場合
- こちらも同様にバランスを取る行動で対抗します
具体例:
- テイカー:「また資料作っておいて。君、得意でしょ?」(3回目)
- あなた:「今回はお手伝いしますが、次回からは○○さんご自身でお願いします。私も他の仕事があるので」
ステップ3:時には寛大になる
- ただし、毎回厳しく対抗するのではなく、「3回に1回は寛大になる」ことも効果的
- 相手に態度を改めるチャンスを与える
- 「この人、変わるかもしれない」という希望を残す
【重要】これは「復讐」ではなく「教育」です
ここで、優しいあなたは思うかもしれません。
「でも、やり返すなんて、復讐みたいで怖い…」 「私もテイカーと同じような人間になってしまうのでは?」
安心してください。これは復讐ではありません。
マッチャーとして振る舞うことは、相手に健全な境界線を教える「教育」なのです。
なぜ「教育」なのか:心理学的根拠
考えてみてください。もしあなたが何も言わず、ずっと搾取を許し続けたら、テイカーはどうなるでしょうか?
あなたが何も言わない場合:
- テイカー:「この人からは好き勝手に奪える」と学習します
- 他の人にも同じことを繰り返すようになります
- 結果的に、誰からも信頼されなくなります
- 最終的には孤立し、長期的な成功を収められません
あなたがバランスを取る場合:
- テイカー:「ここでは好き勝手できない」と学びます
- テイカー:「相手を尊重しないと、協力してもらえない」と気づきます
- 結果的に、テイカーの行動が改善される可能性があります
- 少なくとも、あなたへの搾取は止まります
これは、子どもに「ダメなことはダメ」と教えるのと同じです。
親が何も言わずに子どもの悪い行動を許し続けたら、子どもはそれが正しいと学習してしまいます。きちんと境界線を示すことが、子どもの成長のために必要です。
大人のテイカーも同じです。
むしろ、何も言わずに搾取を許し続けることの方が、相手のためにならないのです。
あなたが「教育」することで、社会全体が良くなる
さらに視点を広げると、あなたがテイカーに対抗することは、社会全体にも貢献しています。
なぜなら、テイカーが搾取を続けられるのは、誰も止めないからです。
あなたが勇気を持って対抗することで:
- テイカーは学習する
- 他の人が搾取される可能性が減る
- 健全な人間関係のルールが守られる
つまり、あなたがバランスを取ることは:
- ✅ 自分を守ることであり
- ✅ 相手に健全な境界線を教えることであり
- ✅ 社会全体のルールを守ることです
決して、冷たい行為でも、復讐でもありません。むしろ、勇気ある、正しい行動なのです。
なぜこれが効くのか:マッチャーの力
マッチャーは「やられたらやり返す」人たちです。そして、社会の過半数(55%)がマッチャーです。
つまり、マッチャーとして振る舞うことは、多数派の行動様式に合わせることなのです。これは、社会のルールに従うということです。
テイカーは、マッチャーからの報復を恐れます。なぜなら、マッチャーは:
- 不公平を許さない
- きちんと対抗してくる
- しつこく報復する(公平性が回復するまで)
だからこそ、あなたがマッチャーとして振る舞えば、テイカーは「この人からは奪えない」と学習し、他のターゲットを探すようになります。
実践のコツ:段階的に対応する
いきなり厳しく対抗するのではなく、段階的に対応しましょう。
1回目の搾取:
- 「今回は手伝いますが、次からはご自身でお願いしますね」(優しく警告)
2回目の搾取:
- 「前回もお話ししましたが、私も他の仕事があります。今回は難しいです」(明確に断る)
3回目の搾取:
- 「何度もお話ししていますが、私は引き受けられません。他の方にお願いしてください」(毅然とした態度)
この段階的なアプローチにより、あなたは:
- 急に冷たくなったわけではない
- 何度もチャンスを与えた
- 相手が改善しなかったから、対抗した
という正当性を持つことができます。
戦略2:境界線を引く技術——アサーティブネスと「判断保留」の魔法
次に必要なのは、「ノー」と言う技術です。
心理学では、これをアサーティブネス(assertiveness)と呼びます。
アサーティブネスとは:
- 相手を尊重しながら
- 自分の意見や気持ちを率直に表現する
- 自己犠牲でも攻撃的でもない、第三の道
断る技術の心理学:認知のリフレーミング
まず、「ノー」と言うことへの罪悪感を和らげましょう。
❌ 間違った考え方:
- 「断る = 相手を拒絶する = 冷たい人間」
⭕ 正しい考え方:
- 「断る = 自分の時間とエネルギーを守る = 本当に重要なことに集中できる」
❌ 間違った考え方:
- 「相手をがっかりさせてはいけない」
⭕ 正しい考え方:
- 「できないことを引き受けて失望させる方が、相手にとって迷惑」
- 「中途半端な仕事で相手に損害を与える方が、よっぽど失礼」
❌ 間違った考え方:
- 「断ったら、二度と頼まれなくなる」
⭕ 正しい考え方:
- 「本当に価値ある関係なら、断っても壊れない」
- 「断っただけで壊れる関係は、そもそも不健全だった」
具体的な断り方のフレーズ集
パターン1:理由を添えて断る
- 「それは素晴らしいプロジェクトですね。ただ、今は○○の締め切りがあって、中途半端になってしまいます」
- 「お役に立ちたいのですが、今週は手一杯で難しいです」
- 「ご期待に添えず申し訳ありませんが、今は他の案件で手が離せません」
パターン2:代替案を示す
- 「今すぐは無理ですが、来週でしたら少し時間が取れるかもしれません」
- 「私は難しいですが、△△さんが詳しいので聞いてみてはどうでしょう?」
- 「全体は難しいですが、アドバイスだけでしたら15分ほどお話しできます」
パターン3:部分的に引き受ける
- 「全部は難しいですが、○○の部分でしたらお手伝いできます」
- 「今回は時間がないので、ポイントだけ教えますね。実作業はご自身でお願いします」
パターン4:明確に断る
- 「申し訳ありませんが、今回は難しいです」
- 「お力になれず、ごめんなさい」
- シンプルに、長々と言い訳せずに断る
【最強カード】即答できないあなたのための「判断保留」の魔法
さて、ここで多くの優しい人が直面する最大の問題があります。
「その場ですぐに断れない」
頼まれた瞬間、頭が真っ白になって、つい「いいですよ」と言ってしまう。後で「なんで引き受けちゃったんだろう…」と激しく後悔する。
そんなあなたのために、人生を変える魔法の言葉をお伝えします。
「スケジュールを確認して、30分後に折り返します」
「手帳を見てから、後でお返事させてください」
「他の予定との兼ね合いがあるので、明日の朝までにお返事します」

これらのフレーズの素晴らしさは、その場で返事をしないことで、冷静になる時間を強制的に作り出せることです。
なぜ「判断保留」がこれほど効果的なのか
心理学的に、人は以下の状況で判断を大きく誤りやすいことが分かっています。
プレッシャー下の意思決定の危険性:
- 相手が目の前にいる(対面の圧力)
- 「今すぐ返事が欲しい」という時間的プレッシャー
- 断ることへの罪悪感が瞬時に湧き上がる
- 相手を失望させたくない、という感情が判断を曇らせる
→ 結果:冷静な判断ができず、つい「YES」と言ってしまう
これは、心理学で言う「ホットな意思決定(感情的な判断)」の典型例です。
一方、時間を置くことで、「コールドな意思決定(理性的な判断)」ができるようになります。
時間を置くことで得られるもの:
✅ 感情が落ち着く
- 罪悪感や焦りから距離を置ける
- 相手の期待から解放される
✅ 客観的に判断できる
- 「本当に自分がやるべきことか?」
- 「今の自分にキャパシティはあるか?」
- 「引き受けたら、何を犠牲にすることになるか?」
✅ 断る勇気が湧く
- 相手が目の前にいないので、心理的プレッシャーが減る
- 冷静に、断るフレーズを考えられる
✅ 後悔しない選択ができる
- 感情ではなく、理性で判断できる
「判断保留」の実践ポイント
ポイント1:明確な時間を伝える
- ❌ 「後で返事します」(曖昧で、相手を不安にさせる)
- ⭕ 「30分後に折り返します」(明確で、相手も予定が立てられる)
- ⭕ 「今日の夕方までにメールします」(具体的)
ポイント2:理由は簡潔に
- 「スケジュールを確認したいので」
- 「他の予定との兼ね合いを見たいので」
- これだけで十分です。長々と言い訳する必要はありません
- むしろ、簡潔な方がプロフェッショナルな印象を与えます
ポイント3:相手が「今すぐ決めて」と言ってきたら
- 「それでしたら、今回は難しいです」
- 即答を求める時点で、相手はあなたの都合を考えていません
- その場合は、迷わず明確に断りましょう
- 本当に緊急の用事なら、最初からそう言うはずです
ポイント4:罪悪感を感じなくてOK
- 「時間をもらうなんて、申し訳ない…」と思う必要はありません
- 重要な決定には、検討時間が必要です
- これはビジネスの基本であり、プロフェッショナルの常識です
保留後の対応:冷静に判断する
30分後、または翌日、落ち着いた状態で判断します。
引き受ける場合:
- 条件を明確にする
- 「○○の部分だけなら可能です」
- 「△△日までなら対応できます」
- 「1時間だけなら時間が取れます」
断る場合:
- パターン1〜4のフレーズを使って、丁寧に断る
- 「検討しましたが、やはり今は難しいです」
- 「他の予定を確認しましたが、時間が取れませんでした」
- 時間を置いた分、罪悪感は大幅に減っているはずです
「判断保留」は逃げではありません
「時間を稼ぐなんて、卑怯じゃないかな…」
そう思うかもしれません。しかし、全く違います。
冷静に判断する時間を取ることは、あなたの権利です。
むしろ、その場の雰囲気や感情に流されて不適切な約束をする方が、結果的に相手にも迷惑をかけます。
プロフェッショナルの常識:
- 重要な決定をその場でしない
- 「検討します」「確認して返事します」と言って、時間を取る
- これは、ビジネスの基本中の基本
あなたも同じです。判断保留は、賢明な大人の対応なのです。
実践例:「判断保留」を使った対話
❌ 即答してしまう例:
- 同僚:「明日のプレゼン資料、作ってくれる?得意でしょ?」
- あなた:「あ、うん…いいよ」(内心:えっ、でも明日は…)
- → 後で激しく後悔
⭕ 判断保留を使う例:
- 同僚:「明日のプレゼン資料、作ってくれる?得意でしょ?」
- あなた:「明日の予定を確認してから、30分後にお返事しますね」
- 同僚:「急ぎなんだけど…」
- あなた:「それでしたら、今は難しいです。申し訳ありません」
- → 冷静に断れた
断った後の罪悪感への対処法
それでも、断った後に罪悪感を感じることがあるかもしれません。これは正常な反応です。
しかし、思い出してください:
あなたの時間とエネルギーは有限です。
- 1日は24時間しかありません
- あなたのエネルギーには限りがあります
- すべての人を助けることはできません
だからこそ、本当に大切な人、本当に重要なことに、あなたのリソースを集中させるべきなのです。
断ることは、何かを「守る」ための行動です:
- 自分の健康を守る
- 家族との時間を守る
- 本当に重要な仕事のクオリティを守る
- 自分自身の幸福を守る
これらを守ることは、決して「自分勝手」ではありません。それは、自己尊重という、人間としての基本的な権利です。
戦略3:物理的・心理的距離を置く——関係を断つ勇気
ここまでの戦略(マッチャーとして振る舞う、断る)を試しても、テイカーが搾取をやめない場合があります。
そのときは、関係を断つ勇気が必要です。

関係を断つべき判断基準
以下のチェックリストを使って、冷静に判断してください。3つ以上当てはまったら、距離を置くことを真剣に検討してください。
□ 何度注意しても、搾取的な行動が改善されない
- 警告したにもかかわらず、同じことを繰り返す
- 「ごめん、気をつける」と言いながら、行動は変わらない
□ その人と関わった後、いつも疲弊している
- 会った後、どっと疲れる
- エネルギーを吸い取られた感覚がある
- 気分が落ち込む
□ その人のために使う時間が、あなたの重要な仕事や人間関係を犠牲にしている
- その人の頼みのせいで、自分の仕事が進まない
- 家族や友人との時間が削られている
- 自分の健康や睡眠時間が犠牲になっている
□ その人はあなたが困っているとき、一度も助けてくれたことがない
- 一方通行の関係になっている
- あなたが助けを求めても、断られる、または無視される
□ その人といると、自己肯定感が下がる
- 「自分はダメな人間だ」と感じる
- 自信を失う
- 自分を責めるようになる
□ その人の存在が、あなたの人生の足を引っ張っている
- 成長できない
- 新しいことに挑戦できない
- 可能性が制限されている
距離の置き方:段階的アプローチ
いきなり完全に縁を切るのではなく、段階的に距離を置くことをお勧めします。
段階1:連絡の頻度を減らす
- 即レスをやめる(数時間後、翌日に返信)
- 電話に出る回数を減らす
- 「忙しい」を理由に、徐々にフェードアウト
段階2:会う回数を減らす
- 誘いを断る回数を増やす
- 「その日は予定があって…」
- 他の予定を優先する
段階3:物理的・デジタルな距離を置く
仕事上の関係の場合:
- 必要最低限のコミュニケーションに留める
- 業務上必要なやり取りだけにする
- 可能なら、チームや部署の異動を検討する
- 上司に相談し、プロジェクトを変えてもらう
プライベートの関係の場合:
- 徐々に連絡の頻度を減らす
- 誘いを断り続ける
- SNSでのフォローを解除する、またはミュートにする
- ブロックする(最終手段)
段階4:明確に関係を終わらせる(必要な場合のみ)
- 「これ以上、この関係を続けることはできません」
- 理由を簡潔に伝える(長々と説明する必要はない)
- 相手の反応に巻き込まれない
心理学からのサポート:あなたの健康が最優先
「関係を切るなんて、冷たい人間だと思われないかな…」 「もう少し我慢すれば、相手が変わるかもしれない…」
そう感じるかもしれません。しかし、心理学は明確に示しています。
有害な人間関係(Toxic Relationship)は、あなたの心身の健康を蝕みます。
研究が示す有害な関係の影響:
- うつ病のリスクが高まる
- 不安障害の発症率が上がる
- 免疫機能が低下する(病気にかかりやすくなる)
- 心血管疾患のリスクが増える
- 寿命が縮まる(長期的なストレスによる)
これは、決して大げさではありません。科学的に証明された事実です。
あなたの健康と幸福を守ることは、決して「自分勝手」ではありません。
それは、自己尊重という、人間としての基本的な権利であり、義務でもあるのです。
「罪悪感」への対処
それでも、関係を断つことに罪悪感を感じるかもしれません。
その時は、以下のように考えてみてください:
あなたは救世主ではありません。
- すべての人を助ける義務はない
- 相手の人生は、相手の責任
- あなたが犠牲になる必要はない
健全な関係は、互恵的です。
- 一方的に与え続ける関係は、不健全
- 本当の友情や信頼は、双方向のもの
あなたが幸せでなければ、誰も助けられません。
- 自分が疲弊していては、本当に大切な人を助けられない
- まず自分の酸素マスクを着けることが重要(飛行機の安全説明と同じ)
戦略4:ギバーとマッチャーを優先する——エネルギーの賢い再配分
最後の戦略は、防御ではなく「投資」の話です。
テイカーに使っていた時間とエネルギーを、本当に価値ある人間関係に投資し直しましょう。

あなたが大切にすべき人たち
本物のギバー:
- 見返りを求めず、あなたを助けてくれる人
- あなたの成功を心から喜んでくれる人
- 困ったときに、すぐに駆けつけてくれる人
- あなたが成長することを応援してくれる人
健全なマッチャー:
- 公平性を重んじる人
- 受けた恩をきちんと返してくれる人
- 互いに助け合える関係を築ける人
- 「ギブアンドテイク」のバランスが自然に取れる人
エネルギー投資の原則
心理学者の研究によれば、人間が深い関係を維持できるのは、せいぜい150人程度です(ダンバー数)。
さらに、本当に親密な関係を築けるのは、わずか5〜15人程度と言われています。
つまり、あなたの時間とエネルギーは、本質的に限られているのです。
だからこそ:
- テイカーに費やす時間を減らし(または ゼロにし)
- ギバーとマッチャーに費やす時間を増やす
このエネルギーの再配分こそが、あなたの人生の質を劇的に向上させます。
【図解挿入ポイント⑥:エネルギー配分の変化を示す円グラフ】
タイトル:「あなたの時間とエネルギーの使い方を変えよう」
左側:Before(改善前)
円グラフ:
- テイカーに60%(赤色)
- ギバー・マッチャーに30%(緑色)
- 自分自身に10%(青色)
サブタイトル:「テイカーに多くの時間を奪われている」
右側:After(改善後)
円グラフ:
- テイカーに5%(赤色)
- ギバー・マッチャーに60%(緑色)
- 自分自身に35%(青色)
サブタイトル:「価値ある関係と自分に投資している」
中央に大きな矢印で変化を強調
具体的なアクション
今週中にやること:
- ギバーに感謝を伝える
- 「いつも助けてくれてありがとう」
- 具体的に何が助かったかを伝える
- ギバーとの時間を増やす
- ランチに誘う
- 近況を聞く
- 相手の話をじっくり聞く
- マッチャーとの協力関係を深める
- 何か困っていることはないか聞く
- 自分にできることがあれば、積極的に協力する
今月中にやること:
- テイカーとの時間を削減する
- 必要最低限の付き合いに留める
- 新たな依頼は断る
- ギバー・マッチャーとの関係を優先する
- 会う頻度を増やす
- 深い話をする時間を作る
- 新しいギバー・マッチャーとの出会いを作る
- コミュニティに参加する
- ボランティア活動をする
- 趣味のサークルに入る
投資のリターン:複利効果
金融投資と同じように、人間関係への投資にも複利効果があります。
ギバーやマッチャーとの関係は:
- 時間とともに深まる
- 信頼が信頼を呼ぶ
- 一人のギバーが、他のギバーを紹介してくれる
- ネットワークが広がる
- 困ったときに、多くの人が助けてくれる
これは、まさに人間関係の複利です。
一方、テイカーとの関係は:
- 時間とともに消耗する
- 信頼は築かれない
- 奪われるばかりで、何も得られない
- ネットワークは広がらない
どちらに投資すべきか、答えは明白です。
第5章:テイカーを避けた先にあるもの——成功するギバーへの道
ここまで、テイカーから身を守る方法を学んできました。
では、テイカーを避けた後、あなたは何を得るのでしょうか?

5-1. 時間とエネルギーを取り戻す
まず、あなた自身のリソースを取り戻せます。
テイカーに奪われていた時間とエネルギーが、あなたの手元に戻ってきます。
その時間で、あなたは:
- 本当にやりたかったプロジェクトに取り組める
- 家族や大切な人と質の高い時間を過ごせる
- 自分の成長に投資できる(勉強、読書、スキルアップ)
- 趣味や休息の時間を持てる
- 健康的な生活を送れる
想像してみてください。週末、テイカーからの急な依頼に追われることなく、家族と笑顔で過ごしているあなたを。
平日の夜、自分の時間を持ち、本を読んだり、リラックスしたりしているあなたを。
それが、テイカーから解放された後のあなたの姿です。
5-2. 本物の人間関係を築ける
次に、質の高い人間関係を築けます。
テイカーとの表面的で消耗する関係ではなく、ギバーやマッチャーとの深い信頼関係。これこそが、人生を豊かにする真の資産です。
心理学の研究は一貫して示しています:
幸福度を最も高める要因は、質の高い人間関係である。
ハーバード大学の75年間にわたる研究(ハーバード成人発達研究)では、以下のことが明らかになっています:
- お金や地位よりも、人間関係の質が幸福度を決める
- 孤独は健康に悪影響を与える(喫煙と同等レベル)
- 質の高い関係を持つ人は、長生きする
つまり、テイカーを避け、ギバーやマッチャーとの関係を深めることは、あなたの幸福度と寿命を延ばすのです。
5-3. 成功するギバーになれる
そして最終的に、あなたは成功するギバーになれます。
成功するギバーとは:
- 自分を守りながら、他者に貢献できる人
- Win-Winの関係を築ける人
- 長期的な信頼を積み重ねられる人
- 燃え尽きることなく、持続的に与え続けられる人
アダム・グラント氏の研究が示したように、最も成功するのはギバーです。
ただし、それは「自己犠牲型」ではなく「他者志向型」のギバーです。
- テイカーから身を守り
- 境界線を持ち
- 持続可能な方法で与え続ける
そんなギバーこそが、最終的に頂点に立つのです。
なぜ成功するギバーが頂点に立つのか:
- 信頼という資産を築く
- 長期的な信頼は、最も価値ある資産
- 信頼から、機会、協力、情報が生まれる
- 強力なネットワークを持つ
- 多くの人が応援してくれる
- 困ったときに、無数の手が差し伸べられる
- 周囲から非難されない
- 成功しても、妬まれない
- 「あの人なら当然だ」と祝福される
- 複利効果で成功が加速する
- 成功が次の成功を呼ぶ
- 雪だるま式に大きくなる
5-4. 今日からできる3つのステップ
理論は十分に学びました。では、今日から何をすればいいのでしょうか?

ステップ1:自分の周りの人を分類する(今日〜今週)
- 今日から1週間、周囲の人を観察してみましょう
- ギバー、テイカー、マッチャーに分類してみてください
- 特に、この記事で学んだ「5つのサイン」に注目を
実践方法:
- ノートやスマホのメモに、3つのカテゴリーを作る
- 関わった人の名前を、適切なカテゴリーに入れていく
- 迷ったら、行動パターンを数週間観察する
ステップ2:テイカーとの関わり方を変える(今週〜今月)
- 明日、テイカーから何か頼まれたら、「マッチャー」として振る舞ってみましょう
- または、「判断保留」のフレーズを使ってみましょう
- 小さな一歩から始めれば大丈夫です
実践方法:
- 「スケジュールを確認して、後で返事します」と言ってみる
- 30分後、冷静に判断し、必要なら断る
- 最初は怖いかもしれませんが、2回目からは楽になります
ステップ3:ギバーとの時間を増やす(継続的に)
- 今週、あなたを支えてくれたギバーに感謝を伝えましょう
- 「ありがとう」のメッセージを送るだけでもいいのです
- そして、その人との時間を意識的に増やしてみてください
実践方法:
- 今日、一人のギバーに感謝のメッセージを送る
- 今週、一人のギバーとランチや電話の時間を作る
- 今月、ギバーとの関係を深めるための行動を5つする
おわりに:あなたの人生は、あなたが選ぶ
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
長い記事でしたが、ここまで読んでくださったあなたは、きっと「変わりたい」という強い意志を持っているのだと思います。
この記事で一番伝えたかったことは、シンプルです。
テイカーを見抜き、自分を守ることは、「冷たい人間になる」ことではありません。
それは、あなたの時間とエネルギーという貴重な資源を、本当に価値ある人間関係に投資する、賢く、優しい選択なのです。
あなたは、優しさを失う必要はありません
- あなたの優しさは、武器です
- あなたの共感性は、強みです
- あなたの誠実さは、宝物です
これらを失う必要は、一切ありません。
ただ、その優しさと共感性を:
- 搾取する人ではなく、感謝する人に
- 奪う人ではなく、与え合える人に
- 利用する人ではなく、尊重する人に
注げばいいのです。
「都合のいい人」から「成功するギバー」へ
今日から、あなたは新しいステージに進むことができます。
- テイカーを見抜き、身を守る
- 境界線を持ち、断る勇気を持つ
- ギバーやマッチャーとの時間を増やす
- 持続可能な方法で、価値を提供する
これらを実践することで、あなたは「都合のいい人」を卒業し、「成功するギバー」になれます。

最後のメッセージ
変化には、時間がかかります。
最初は怖いかもしれません。断ることに罪悪感を感じるかもしれません。
でも、大丈夫です。
一歩ずつ、進んでいけば、必ずあなたは変われます。
そして、気づいたときには、あなたの周りには:
- あなたを尊重する人たち
- 互いに支え合える人たち
- あなたの成功を心から喜んでくれる人たち
そんな人たちに囲まれているはずです。
あなたの人生は、あなたが選べます。
今日から、本当に大切な人たちとの時間を大切にしませんか?
あなたの人生が、より豊かで、より幸せなものになることを、心から願っています。
参考文献
- Adam Grant『GIVE & TAKE: A Revolutionary Approach to Success』(邦訳『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』三笠書房)
この記事があなたのお役に立ちましたら、ぜひシェアしてください。
一人でも多くの方が、テイカーの搾取から自由になり、本当に大切な人間関係に時間を使えるようになることを願っています。
あとがき:心理学ブログ執筆者より
この記事を書きながら、私自身も過去を振り返りました。
かつて私も、「都合のいい人」でした。断れず、搾取され、疲弊していました。
しかし、心理学を学び、実践することで、少し心が軽くなりました。
今では、本当に大切な人たちとの時間を大切にし、持続可能な方法で人に貢献できるように時間を使うように心がけています。
あなたも、必ず変われます。
この記事が、あなたの人生を変える小さなきっかけになれば、これ以上の喜びはありません。
心理学は、人間を理解し、より良い人生を送るための「道具」です。
この道具を使って、あなたの人生をより良いものにしてください。
応援しています。

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