なぜ清掃員は億万長者になって、ハーバード卒は破産したんだろう
年収300万円の清掃員が8億円の資産を築きました。一方で、ハーバードMBA、高給取りの金融エリートが破産しました。

この対比が教えてくれるのは、あなたの財産は、あなたの知能じゃなくて、あなたの性格で決まるっていう、ちょっと残酷な事実なんです。
清掃員ロナルド・リードは、誰よりも賢かったわけじゃありません。ただ、誰よりも欲望をコントロールできたんです。金融エリートは、誰よりも知識がありました。でも、自分の強欲を制御できなかった。
世界43カ国で翻訳され、数百万部を売り上げた「サイコロジー・オブ・マネー」。著者モーガン・ハウセルが暴いているのは、金融市場の秘密じゃありません。私たち人間の、ちょっと醜い心理なんです。
私たちって、合理的な生き物じゃないんですよね。私たちは、合理的っぽく見える行動を選んで、自分を騙しながら生きてる。そして、その自己欺瞞の代償を、財布で払い続けてるんです。
この記事では、本書が容赦なく突きつけてくる「人間の金融的失敗の心理学」を、3つの軸でお話ししていきます。読み終わる頃には、あなたは自分の財布が空っぽな理由を、言い訳なしで理解してるはずです。
1. 比較と嫉妬の罠:なぜ私たちは「他人の人生」にお金を使って破滅するんだろう
本当に欲しいのは「お金」じゃなくて「他人からの羨望」なのかも
人はなぜ高級車を買うんでしょう。本当に性能が欲しいから?たぶん、違いますよね。他人に羨ましがられたいからなんです。
ここに、ちょっと残酷な真実があります。街で高級車を見かけた時、あなたは運転手を尊敬しますか?たぶん、しない。あなたが思うのは「私もあんな車に乗りたいな」ってことだけ。つまり、高級車の所有者が得てるのは尊敬じゃなくて、他人の物欲を刺激する特権にすぎないんです。
これが「高級車のパラドックス」。見栄のための消費は、本人が期待する称賛を決してもたらさない。なのに、人は買い続ける。なぜでしょう。
自分が他人をどう見てるかを、自分自身に当てはめられないからなんですね。
私たちは他人の高級品を見ても、その人を尊敬しません。でも、自分が高級品を買えば尊敬されると信じてる。この認知の歪みこそが、資本主義が最も収益化している心理なんです。
現代社会は、あなたが「成功した”ふり”」をすること自体をビジネスにしてます。本物の成功を手に入れる前に、偽物の成功を買わせる。そして、あなたは一生、本物に辿り着けない。厳しいけど、これが現実なんです。
「リッチ」と「ウェルス」:見える豊かさと見えない豊かさ
高級車、ブランド品、高級レストラン。これらは「リッチ(金持ちっぽく見える状態)」の象徴ですよね。でも、これってお金を使った結果であって、お金を持ってる証拠じゃないんです。
本当の豊かさ「ウェルス」っていうのは、まだ使ってない資産のこと。銀行口座の数字、投資口座の残高、つまり目に見えないものなんです。

皮肉なことに、本物のお金持ちって貧乏人に見えます。なぜなら、お金を使わないから。一方、貧乏な人ほど金持ちに見えるんです。なぜなら、持ってるお金を全部使うから。
あなたの隣人が新車を買った。羨ましいですか?でも、その隣人の銀行残高を見たことありますか?ない。つまりあなたは、もしかしたら他人の借金に嫉妬してる可能性すらあるんです。
お金の本当の価値:自由という見えない贅沢
著者が言い切ってます。お金がもたらす最大の価値は「自由」だって。でも、ほとんどの人はこれを理解してないんですよね。
自由とは、「自分で選べる」という感覚のこと。この感覚があるだけで、人は幸福度が劇的に上がるんです。給料の高さより、家の大きさより、この「コントロール感」こそが幸せの源泉なんですね。
- 貯金がなければ、嫌いな上司に頭を下げ続けなきゃいけない
- 貯金がなければ、病気でも無理して出勤しなきゃいけない
- 貯金がなければ、給料だけで仕事を選ぶしかない
つまり、貯金がなければ、あなたの人生は他人に所有されてるんです。
一方、十分な貯金があったらどうでしょう。
- 理不尽な要求に「NO」って言えます
- やりたくない仕事を辞められます
- 給料じゃなくて、情熱で仕事を選べます
でも、ここに残酷な罠があるんです。人は自由を買う前に、見栄を買っちゃう。
年収1000万円でも貯金ゼロの人は、年収400万円で貯金500万円の人より、はるかに不自由なんです。前者は人生の選択肢をお金に奪われた状態——著者はこれを「奴隷」と呼びます。後者は自由人。なのに前者は自分を金持ちだと思い込んでる。悲しいけど、これが現実です。
2. 忍耐の欠如:なぜほとんどの人は複利の恩恵を受けられないんだろう
複利は魔法じゃない。ただの「時間×忍耐」
アインシュタインは複利を「宇宙最強の力」って呼びました。でも、ほとんどの人はこの力を使えません。なぜでしょう。
我慢できないからなんです。

100万円を年4%で運用すると:
- 10年後:148万円
- 30年後:324万円
- 60年後:1,050万円
数字を見れば誰でもわかります。問題は、60年待てる人がほとんどいないってこと。
ウォーレン・バフェットの資産の95%以上は、65歳以降に築かれました。彼の成功の秘密は、天才的な銘柄選択じゃありません。11歳から投資を始めて、何があっても退場しなかったという、異常なまでの忍耐力なんです。
でも、ほとんどの人は暴落で売っちゃう。少し利益が出たら売っちゃう。退屈になったら売っちゃう。つまり、複利が本当の力を発揮する前に、自分から降りちゃうんですよね。
「退場しない」ことが最優先:生き残れない人は報われない
投資で最も大切なルールって何でしょう。最高のリターンを得ること?違います。
破産しないことです。
どんなに優れた戦略も、破産すればゼロになります。どんなに高いリターンも、市場から退場すれば無意味です。
でも人間って、短期的な利益に目がくらんで、過度なリスクを取っちゃうんですよね。レバレッジをかけて、集中投資して、そして破産する。
複利を味方につけられるのは、生き残った人だけなんです。そして、生き残るためには、つまらないほど地味な戦略が必要になります。
- 分散投資
- 長期保有
- 感情を排除
- 一攫千金を狙わない
これができない。なぜなら、退屈だから。
人間は”退屈”という最大の敵に負けるんです。そしてその代償を、一生払い続けることになる。辛いけど、本当です。
貯金は「未来の自分の自由」を買う行為
「目的のない貯金に意味あるの?」って、多くの人が思いますよね。でも、著者は言い切ってます。目的のない貯金こそ最強の資産だって。
なぜでしょう。人生って予測不可能だからです。
- 突然の病気
- リストラ
- 予期せぬビジネスチャンス
- 大切な人の危機
こういう「想定外」に対応できるのは、使い道を決めてない現金だけなんです。
貯金がない人は、人生の選択肢を持てません。貯金がある人は、柔軟性を持てます。著者はこれを「誰かに所有されてた自分の未来を、少しずつ奪い返す行為」って表現してます。素敵な言い方ですよね。
そして、ここに残酷な真実があります。資産を築く3つの方法(収入を増やす、投資で増やす、支出を減らす)の中で、最も確実にコントロールできるのは「節約」だけなんです。
つまり、我慢できない人に、富は訪れない。シンプルだけど、厳しい真実です。
3. 認知バイアスの罠:なぜ私たちは同じ過ちを繰り返しちゃうんだろう
「ボラティリティ」は罰金じゃなくて入場料なんです
投資をすれば、必ず価格は上下します。暴落もあれば急騰もある。この変動を「ボラティリティ」って呼びます。
ほとんどの投資家は、このボラティリティを「罰金」だと勘違いしてます。だから、暴落が来ると逃げ出しちゃう。
でも、著者の見解は違うんです。ボラティリティは罰金じゃなくて「入場料」なんだって。
ディズニーランドで楽しむために入場料を払うように、市場から長期的リターンを得るためには、不確実性っていう入場料を払う必要があるんです。
入場料を払わずに楽しもうとする——これを著者は「泥棒」と呼びます。つまり、リスクを取らずにリターンだけ欲しがる姿勢のこと。そして市場は、泥棒に報酬を与えません。
暴落を避けたい?それなら投資しないほうがいい。リスクゼロで高リターンを得たい?それって、入場料を払わずにショーを見ようとする行為なんです。厳しいけど、これが現実なんですよね。
運とリスクを理解しないと、成功からも失敗からも学べない
ビル・ゲイツは天才ですよね。でも、彼が世界一のお金持ちになれたのは、100%彼の実力でしょうか。
違うんです。
ゲイツが通った高校は、当時世界で数校しかなかった「コンピューターを持つ学校」でした。彼がその学校に通えた確率は、100万分の1だったんです。
もし彼が別の学校に通ってたら、マイクロソフトは存在しなかったかもしれない。
つまり、成功には必ず「運」が関わってるんです。そして、失敗にも必ず「運の悪さ」が関わってます。
でも人間って、成功を100%自分の実力だと思い込んで、失敗を100%自分のせいだと思い込んじゃうんですよね。
この認知の歪みが引き起こすのは:
- 成功者の傲慢さ(「俺ってすごい」)
- 失敗者の過度な自己嫌悪(「私ってダメだ」)
- 他人の成功法則の盲信(「あの人のやり方を真似すれば成功する」)
そして、生存者バイアスっていう罠があるんです。
世の中には成功者の話しかありません。失敗者は語られない。つまり、同じ方法で失敗した99%の人の声は、あなたには届かないんです。
成功者のアドバイスを鵜呑みにする人は、見えない死体の山の上に立ってることに気づいてないんですよね。
予測は無意味、分散こそ正義
コロナショック、リーマンショック、9.11テロ。市場の歴史を決めたのは、全部「誰も予測できなかった出来事」でした。
つまり、未来は予測できないんです。
じゃあ、どうすればいいんでしょう。答えはシンプルです。予測しない。分散する。
驚くべきことに、投資の神ウォーレン・バフェットでさえ、500銘柄に投資して大成功したのは10銘柄程度なんです。残りの98%は大したリターンを生んでない。
神様でさえ、どれが当たるかわからないんです。
なら、私たち普通の人が特定の銘柄を予測できるわけないですよね。だから、全部に賭ける。それがインデックス投資です。
予測に頼る人は、いつか破滅します。分散する人は、生き残ります。シンプルだけど、これが真実なんです。
おわりに:あなたが貧乏なのは「心のクセ」のせいかもしれない
「サイコロジー・オブ・マネー」が教えてくれるのは、ちょっと残酷な現実です。

あなたの財産は、あなたの知能じゃなくて、あなたの性格で決まる。
- 他人と比較しちゃう癖
- 見栄を張っちゃう癖
- 我慢できない癖
- 予測に頼っちゃう癖
- 短期的に考えちゃう癖
これらの「心のクセ」が、あなたを貧乏にしてるんです。そして、ほとんどの人は死ぬまでこのクセを直せません。悲しいけど、本当なんです。
清掃員ロナルド・リードが8億円を築けたのは、彼が天才だったからじゃありません。彼は「見栄を張らず、我慢し続けて、他人と比較しなかった」から成功したんです。
一方、ハーバードMBAの金融エリートが破産したのは、彼が無能だったからじゃありません。彼は「強欲を抑えられず、リスクを取りすぎて、短期的に考えた」から失敗したんです。
あなたはどちらになりたいですか。
金融知識は誰でも学べます。でも、自分の欲望をコントロールできる人は、本当に一握りなんです。
この本は「お金の心理学」を教えてくれます。でも、それを実践できるかどうかは、あなた次第。
そして残酷なことに、ほとんどの人は実践できません。
この記事を読み終えて「良い話だったな」で終わる人と、明日から行動を変える人。
その違いが、10年後、30年後、60年後の資産の差になるんです。
でも、ここで大事なことをひとつ。
完璧にやる必要はないんです。「今日ひとつだけ、自分の心のクセを減らす」ことから始めればいい。
- 隣人の新車を羨ましがるのをやめる
- 高級レストランの代わりに、貯金に回す
- 暴落しても、画面を閉じて放っておく
たったひとつでいい。そのひとつが、10年後のあなたを変えるんです。
あなたはどちらになりますか。
ブログの内容を元に動画も作りました。復習がてら視聴してもらえると嬉しいです。


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