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道徳性/道徳感情(morality)

morality 社会・感情・性格
morality

人として正しいかどうかを判断し、感じる力のこと

簡単な説明

「道徳感情」って、心の中にある“善悪レーダー”みたいなもん!
なんか悪いことしちゃった時に、モヤっとしたり「うわ、ごめん…」ってなるでしょ?
あれが「道徳感情」。
で、それをちゃんと判断できる力が「道徳性」ってわけ。
つまり、カッコイイ大人になるために、めっちゃ大事な心の筋肉って感じかな!

由来

「道徳性(morality)」とは、人間が善悪の判断をするための心の働きです。
心理学では道徳性を、「他人に対する配慮」「正義感」「不公平への怒り」「罪悪感や恥」といった感情や行動パターンとして研究します。

この道徳性の研究は、ジャン・ピアジェローレンス・コールバーグによって始まりました。
道徳感情(moral emotions)は、2000年代以降に社会神経科学や進化心理学の発展により、「感情が道徳判断にどう関わるか?」という視点から注目されています。

具体的な説明

「道徳性」とは、人間が「これをしていいのか?悪いのか?」と判断する力のことです。
「道徳感情」は、その判断の時に感じる感情のことです。
例えば:

  • 正しいことをして誇らしい
  • 誰かをいじめて罪悪感を感じる
  • 不公平を見て怒る

といった感情は、すべて「道徳感情」に含まれます。

心理学における道徳性の研究では、主に以下の3つの側面からアプローチされます:

  1. 認知発達的視点(ピアジェ・コールバーグ)
     → 年齢とともに「道徳判断の基準」がどう変化するかを検討
     → コールバーグは、6段階の道徳的発達段階を提唱
  2. 感情心理学的視点
     → 罪悪感、恥、共感、怒りなど、感情が道徳行動にどう影響するかを研究
  3. 神経科学的視点
     → fMRIなどで脳の活動を観察し、道徳判断に関与する脳領域(例:前頭前野、扁桃体、島皮質)を特定

■ 具体的な実験や観察手法と結論

◆ ハインツのジレンマ(コールバーグ)

ある男性が妻の命を救う薬を盗む話を例に、どう答えるか?を調べます。
→ 行動そのものではなく、「その理由」がどの段階の道徳性にあるかを判断します。

【結果】
年齢が上がるにつれ、「法律よりも人間の命」など、抽象的・普遍的な道徳判断ができるようになる傾向があるとされました。

例文

「道徳性が高い子は、自分が見ていないところでもごみを拾う行動をする」

「道徳感情が働いたから、Aくんは人をいじめた後に罪悪感を感じて泣いていた」

疑問

Q: 「道徳感情」がないとどうなりますか?

A: 他者への共感や罪悪感がないと、反社会的行動を取りやすくなるとされています(例:サイコパス傾向)。

Q: 子どもはいつから「道徳性」を持ちますか?

A: 3歳頃から簡単な善悪判断は可能になりますが、抽象的判断は思春期以降に発達します。

Q: 道徳性は文化によって異なりますか?

A: はい。道徳的価値観は文化や宗教、家庭環境によって大きく異なります。

Q: 道徳感情と一般的な感情(例えば怒りや喜び)は何が違うのですか?

A: 道徳感情は「善悪の判断」に関わる感情です。例えば「誰かを傷つけてしまって申し訳ない」と思う罪悪感や、「困っている人を助けてうれしい」と感じる誇りなどが該当します。対して、一般的な感情は道徳的な評価に直接関係しない場合も多く、たとえばお腹がすいてイライラするような感情は道徳感情ではありません。

Q: 恥と罪悪感はどう違いますか?

A: どちらも道徳感情ですが、少し性質が異なります。罪悪感は「自分の行動」に対して感じるもの(例:「悪いことをした」と思う)ですが、恥は「自分自身」に対して感じるもので、より自己全体への否定感を伴います(例:「自分がダメな人間だ」と感じる)。罪悪感は修復行動を促しますが、恥は引きこもりや回避を促す傾向があります。

Q: 道徳感情は生まれつき備わっているものですか?それとも育てられるものですか?

A: 両方の要素があります。基本的な共感能力や公平感は、生後早い段階から観察されるため、ある程度生得的です。しかし、道徳的な基準や行動は社会的学習によって発達していくので、家庭や文化、教育が大きな影響を与えます。

Q: 道徳感情は進化的にどんな意味がありますか?

A: 道徳感情は、人間が集団の中で協力し、信頼関係を築くために進化してきたと考えられています。例えば、罪悪感を感じることでルール違反を避けたり、共感することで他者と協調できるようになります。これにより、人間社会の安定と発展が可能になったという進化心理学的な解釈があります。

Q: 共感と道徳感情の関係は?

A: 共感は道徳感情の土台です。他人の気持ちを理解し、その苦しみを「まるで自分のことのように」感じることができるからこそ、罪悪感や正義感が生まれます。共感が乏しいと、他者の苦しみに無関心になり、道徳感情が十分に働かなくなることがあります。

Q: サイコパスのような特性を持つ人は、道徳感情が欠けているのですか?

A: はい、サイコパス傾向を持つ人は、共感や罪悪感といった道徳感情の働きが非常に弱い傾向があります。これは前頭前野や扁桃体の活動の異常と関係しているとされ、反社会的行動を取る一因と考えられています。

Q: 道徳感情はすべてポジティブなものですか?

A: いいえ、道徳感情にはポジティブなもの(誇り、感謝、感動)もあれば、ネガティブなもの(罪悪感、恥、怒り)もあります。ただし、これらの感情はすべて、社会生活をうまく送るために必要な「社会的機能」を持っており、一概に良し悪しで判断できるものではありません。

Q: 集団の中で道徳感情が過剰に働くとどうなりますか?

A: 道徳感情が強すぎると、他者の目を過剰に気にしすぎたり、自分を責めすぎてうつ状態になることもあります。また、集団の「正しさ」が強調されすぎると、異なる価値観を持つ人を排除したり、攻撃する「道徳的排他主義」につながる可能性もあります。

Q: 他者の行動を見て怒るのも道徳感情ですか?

A: はい、それは「道徳的憤り(moral outrage)」という形の道徳感情です。自分が直接関係していない場合でも、他人が不公平な扱いを受けていたり、ルール違反をしている場面を見ると、私たちは「怒り」や「嫌悪」を感じます。これは集団のルールや正義を守ろうとする心の働きです。

Q: 道徳感情はAIやロボットに再現できますか?

A: 現時点では、人間のような複雑な道徳感情をAIに再現するのは困難です。AIが倫理的判断をするプログラムは開発されていますが、そこに「罪悪感」や「共感」といった主観的な感情を持たせることは技術的にも哲学的にも未解決の課題です。

理解度を確認する問題

次のうち、コールバーグの道徳性発達理論に含まれる「後慣習的レベル」の特徴として最も適切なものはどれか?

A. 親に怒られるからルールを守る
B. 法律に従えばいいと考える
C. 普遍的な倫理原則に基づいて判断する
D. ごほうびがあるから良いことをする

正解:C. 普遍的な倫理原則に基づいて判断する

関連キーワード

  • 道徳性(morality)
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  • コールバーグの理論
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  • 共感(empathy)
  • 罪悪感(guilt)
  • 正義感(sense of justice)
  • 道徳判断(moral judgment)
  • 社会的感情

関連論文

Haidt, J. (2001). The Emotional Dog and Its Rational Tail: A Social Intuitionist Approach to Moral Judgment. Psychological Review.

要約:
この論文では、人間は道徳的判断をまず「直感」で下し、その後に「理屈づけ(合理化)」をする傾向があると述べています。
つまり「感情が先、理性はあと」という社会直観モデルを提案しています。

結果:
従来の理性的モデル(例:コールバーグ)だけでは不十分で、感情と直感が道徳判断の中心にあることを示しました。

“The Moral Judgment-Action Gap: A Meta-Analysis of the Link Between Moral Judgment and Moral Behavior”

概要(Abstractの要点)

この研究は、「道徳判断」と「道徳的行動」がどの程度一致しているのか?という問いに対し、過去の研究を総合的に分析したメタ分析です。
しばしば人は「これは正しいことだ」と思っていても、実際には行動に移さないという「判断と行動の乖離」が問題視されており、その因果関係や強さを明らかにすることが目的です。

結果(Results)
  • **道徳判断と道徳行動の相関係数(平均)**は r = .26(中程度の相関)
  • 自己報告データに基づく研究では相関が強い傾向にあるが、観察・実験データでは相関が弱い
  • 道徳感情(罪悪感や共感)を媒介変数にした場合、判断と行動のつながりが強くなる
  • 文化的要因(集団主義 vs 個人主義)でも差がみられ、個人主義文化では判断と行動が一致しやすい

このメタ分析は、私たちがよく抱く「正しいとわかっているのにできない…」という現象を科学的に裏づけています。
道徳的判断は行動の予測因子にはなるものの、それ単体では不十分であり、**道徳感情(特に罪悪感や共感)**が介在することで、初めて人は「正しいと感じた行動」を実行する傾向が強まることが示されました。

また、文化や状況によってもこの関係性は変動し、たとえば日本のような「恥の文化」では、内在的な道徳感情が特に強く行動に影響する可能性があります。

覚え方

道徳感情は “人としてのセンサー”!」
→ 他人に優しくできたとき、チクリと罪悪感が出たとき、それは「人としてのセンサー=道徳感情」が働いている証拠!

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