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イケア効果(IKEA effect)

ikea-effect 行動経済学
ikea-effect

自分で作ったものには、他人が作った同じものよりも価値を感じてしまう現象のこと

簡単な説明

「自分で作ったから、なんかめっちゃイイ感じに見えるやつ」ってこと。
ちょっとヘタでも、自分で作ると愛着わくよね〜って話!

由来

イケア効果」という名前は、スウェーデン発の家具メーカー IKEA(イケア) に由来します。IKEAでは、自分で組み立てる家具が販売されていますが、人々はその家具に「ただの家具以上の価値」を感じることがあります。この現象に着目して、行動経済学者の**ダン・アリエリー(Dan Ariely)**らが2011年に発表した研究から名付けられました。

具体的な説明

人は、自分で手をかけて作業したものに対して、「愛着」や「達成感」を持ちます。そのため、市販の完成品よりも、自分で組み立てたり、調理したりしたものに過大な価値を感じる傾向があります。

この心理は、マーケティングや教育、消費行動など多くの分野で活用されています。

イケア効果は、自己関連づけ(self-association)および努力の正当化(effort justification)という心理メカニズムによって説明されます。人は、自分が関わった物事には「自分自身の一部が含まれている」と無意識に感じ、それによってその価値を高く評価する傾向があります。

これは認知的不協和理論(cognitive dissonance theory)にも関連しており、「これだけ手間をかけたのだから、価値があるに違いない」と考えることで、不協和を解消しようとする働きもあります。

具体的な実験や観察手法と結論

実験例(アリエリーら 2011)
被験者に、ペーパークラフトの折り紙やIKEAの家具などを実際に作ってもらい、それらにいくら払いたいかを評価させました。その後、プロが作った同様の完成品と比較評価させたところ、

  • 自作した人は、自分の作品に対して平均して63%以上高い評価を下しました。
  • 第三者の評価では、プロが作ったものの方が高評価でした。

結論:自分で作ったものには、実際以上の価値を感じる「バイアス」がかかる。


例文

中学生のタケルくんは、自由研究で作った火山模型にとても満足していました。市販のもっと精巧な模型を見ても、「やっぱり自分のが一番!」と感じていました。これはイケア効果が働いている例です。

疑問

Q: なぜ「イケア効果」は価値の過大評価を引き起こすのですか?

A: 自分が努力した分を正当化したいという「努力の正当化」と「自己関与」の心理が働くためです。

Q: すべての人にイケア効果が起こるのですか?

A: 必ずしもすべてではありませんが、特に「完成できた場合」に強く現れやすいことが実験で示されています。

Q: イケア効果はどんな業界で応用されていますか?

A: 教育、マーケティング、リフォーム、DIY業界などで活用されています。

Q: 他人が手伝った場合でもイケア効果は発生しますか?

A: 自分の関与度が下がると効果も弱くなる傾向があります。

Q: イケア効果はネガティブな影響をもたらすこともありますか?

A: はい、自分で作ったものに固執して、客観的判断を誤ることがあります。

Q: イケア効果が特に強く現れるのはどんなときですか?

A: 完成させることができたときです。途中で失敗したり未完成だった場合は、効果が弱まることが研究で確認されています。

Q: 子どもが自由研究で愛着を持つのもイケア効果ですか?

A: はい、自分で手を動かして工夫して作った経験が価値を高めて感じさせるので、イケア効果といえます。

Q: イケア効果は仕事にも関係しますか?

A: 関係します。たとえば、自分で提案して関わったプロジェクトに対しては、客観的価値以上に高く評価してしまうことがあります。

Q: イケア効果と「所有効果」はどう違うのですか?

A: 所有効果は「持っているだけ」で価値を高く感じるのに対し、イケア効果は「自分で作業したこと」によって価値を高く感じる点が異なります。

Q: 教育にイケア効果を活かすにはどうすればいいですか?

A: 生徒自身が手を動かして作業する授業(探究学習やプロジェクト型学習など)を取り入れることで、学習内容に対する理解や満足度が高まりやすくなります。

理解度を確認する問題

イケア効果の説明として最も適切なのはどれか?

A. 安い家具の方が評価されやすい
B. 他人が作ったものよりも、自分で作ったものに高い価値を感じる現象
C. 家具のブランドにより評価が変わること
D. 自分で選んだものに愛着がわく心理効果

正解:B

関連キーワード

  • 自己関与(self-involvement)
  • 努力の正当化(effort justification)
  • 認知的不協和(cognitive dissonance)
  • 自己効力感(self-efficacy)
  • 所有効果(endowment effect)

関連論文

The IKEA Effect: When Labor Leads to Love

概要

この研究では、参加者が自ら組み立てた製品に対して、既製品よりも高い価値を感じる傾向があることを検証しました。

結果
  • 参加者は、自分で組み立てたIKEAの家具や折り紙作品に対して、他人が作った同様の製品よりも高い評価を与えました。
  • この効果は、作業が成功裏に完了した場合に特に顕著であり、未完成や破壊された場合には効果が消失しました。
解釈

人は、自らの労力が投入された製品に対して、達成感や所有感を感じ、それが製品の価値評価を高める要因となります。

Bolstering and Restoring Feelings of Competence via the IKEA Effect

概要

この研究では、イケア効果が自己効力感(self-efficacy)や達成感に与える影響を調査しました。

結果
  • 自ら組み立てた製品に対して、参加者はより高い満足感と自己効力感を感じました。
  • この効果は、製品の完成度や品質とは無関係に発生しました。
解釈

自己の労力が製品に反映されることで、自己評価や満足感が向上し、それが製品の価値評価にも影響を与えることが示されました。

The IKEA Effect in Persuasive Texts

概要

この研究では、イケア効果が説得的な文章においてどのように作用するかを検討しました。

結果
  • 参加者が自ら文章を作成した場合、その内容に対してより高い評価と同意を示しました。
  • 自己関与が高まることで、説得力や納得感が増すことが確認されました。
解釈

自らの労力が加わることで、情報や意見に対する受容性が高まり、説得効果が増す可能性が示唆されました。

覚え方

イケア効果とは、自分で手を加えたものに対して、他人が作ったもの以上の価値を感じてしまう心理現象です。
努力や作業への関与が、その物への愛着や満足感を高めます。
マーケティングや教育など、多くの分野で応用されています。

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