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共同注視(きょうどうちゅうし)

Joint Attention 発達・教育

他者と同じ対象を一緒に見ていること

簡単な説明

赤ちゃんが「ママ、なに見てるの?」って感じで同じもの見るでしょ?それが「共同注視」だよ!
この力が育つと、子どもってぐんぐん言葉を覚えるんだ。つまり、一緒に見る=一緒に学ぶ!

由来

共同注視は発達心理学、とくに乳幼児期の社会的発達を理解するうえで重要な概念です。1970年代から1980年代にかけて、心理学者たちは「言葉の発達には社会的な相互作用が必要だ」と気づき、他者と一緒に物を見る「共同注視」が、言語発達や社会性の基盤になると考えるようになりました。

具体的な説明

共同注視とは、2人以上の人が、同じ対象物を見ながら、お互いの注意の方向を共有している状態のことです。たとえば、赤ちゃんが親の視線の先を追いかけて同じおもちゃを見るようになる、という行動がそれです。

この行動は、およそ生後9か月ごろから見られるようになります。そして1歳を過ぎるころには、親が指差したものを赤ちゃんが見る、という「視線追従」もできるようになります。

たとえば親が赤ちゃんと一緒に絵本を読んでいて、「わんわん、いたね〜」と言いながら犬の絵を指さすと、赤ちゃんも同じ犬の絵を見る。これが共同注視です。これを何度も繰り返すことで、赤ちゃんは「犬」という言葉とその対象物を結びつけて学んでいきます。

共同注視は、三項関係(triadic interaction)の構成要素として重要です。これは、「他者」「自分」「対象物」の3つの要素からなる関係で、人間の社会的認知の発達の基盤とされています。Tomasello(1995)は、共同注視を通して言語や文化的学習が可能になると主張しました。

具体的な実験と結論

実験:

Butterworth & Jarrett(1991)の実験では、親が指差した方向を赤ちゃんがどれだけ見られるかを観察しました。

結果:

生後9か月を過ぎた乳児は、親の視線や指差しの方向を正確に追えるようになり、15か月には90%以上の確率で対象物を共有できるようになります。

例文

「赤ちゃんが、お母さんと一緒に犬のぬいぐるみを見ているとき、それは共同注視ができているということです。」

疑問

Q: 共同注視はいつごろから見られるようになりますか?

A: 生後9か月ごろから現れはじめ、12~15か月にはかなり安定して見られるようになります。

Q: 共同注視ができるようになると、どんな力が育ちますか?

A: 言語の理解力や、他者の気持ちを読む「心の理論」の発達に大きく関与します。

Q: 自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは共同注視に問題があるのですか?

A: はい、ASDの子どもは共同注視が困難なことが多く、それが社会的なやり取りの難しさに関係しています。

Q: 共同注視と視線追従は同じですか?

A: 関連はありますが、視線追従は他者の視線を追う行動、共同注視は「対象を一緒に見ている状態」です。

Q: 大人にも共同注視は関係ありますか?

A: はい、大人でも他人と同じ対象を見ること(たとえば映画やスポーツ観戦)は、共感や理解を深める社会的行動です。

Q: 共同注視は子どもの言語発達にどのように影響しますか?

A: 共同注視によって、子どもは他者の視線の先にあるものに注意を向け、その対象と「言葉」との結びつきを学びます。これにより、語彙の習得が促進されます。実際に、共同注視の頻度が高い子どもは、語彙数が多いという研究結果があります。

Q: 共同注視は子どもの社会性の発達にどう関係しますか?

A: 共同注視を通して、子どもは「他者も自分と同じものを見ている」と理解するようになります。これが、共感力や他者の意図を読み取る力=社会的認知の発達に繋がります。

Q: 共同注視の発達が遅れていると、どんなことが心配されますか?

A: 共同注視がうまくできない場合、言語の発達や他者とのやりとり(社会的コミュニケーション)に支障が出ることがあります。とくに自閉スペクトラム症(ASD)の兆候として、共同注視の困難さが早期発見のポイントになります。

Q: 共同注視は家庭でどうやって育てられますか?

A: 家庭では、「指差し」「目を合わせる」「一緒に絵本を見る」といった自然なやりとりが共同注視を促します。例えば、「あれ見てごらん!」「わんわんいたね」など、声かけをしながら同じものを見ることで育まれます。

Q: 共同注視は親子の信頼関係を築くのに役立ちますか?

A: はい、非常に役立ちます。共同注視は「親と子が同じものに注意を向け、共に体験を共有する」行動です。このような体験が繰り返されることで、子どもは「自分は理解されている」と感じ、安心感と信頼感が育ちます。

Q: どのように共同注視が「心のつながり」につながるのですか?

A: 親が子どもの視線や興味に反応し、共感的に関わることで「自分の気持ちが通じている」と子どもが感じます。このようなやりとりは、アタッチメント(愛着)形成の基盤となり、親子の心の結びつきを深めます。

Q: 信頼関係が築かれると子どもにはどんな影響がありますか?

A: 信頼関係がしっかり築かれた子どもは、自分の気持ちを安心して表現でき、ストレス耐性が高くなります。また、社会的スキルや自己肯定感も高まりやすく、健全な心理的発達につながります。

Q: 親が気をつけるべき共同注視のポイントはありますか?

A: 一方的に話しかけるだけではなく、子どもの視線や興味を読み取って共に反応することが大切です。親が自分の興味ばかりを押しつけると、共同注視ではなくなってしまい、子どもは「わかってもらえない」と感じてしまう可能性があります。

Q: 共同注視が苦手な親子にはどうアプローチすればいいですか?

A: 無理に教え込もうとせず、まずは一緒に同じものを見たり、「これ見て!」と子どもの関心に応じてリアクションをとるところから始めると効果的です。大切なのは「一緒に楽しむ姿勢」であり、そこから信頼関係も自然と深まります。

Q: 共同注視は子どもの言語発達に本当に関係していますか?

A: はい、Bottema-Beutel(2016)のメタ分析によると、特にASD(自閉スペクトラム症)の子どもにおいて、共同注視と語彙習得の間には強い関連があるとされています。とくに「他者の注視に応答する力(Responding to Joint Attention)」が語彙発達に大きく寄与することが示されました。

Q: 自閉スペクトラム症の子どもに対する共同注視の介入は効果がありますか?

A: はい、Gillespie-Lynchら(2016)のメタ分析によると、共同注視スキルを高める介入はASDの子どもに効果的であることがわかりました。特に早期に介入することで、言語や社会的スキルの向上にもつながると報告されています。

Q: 共同注視の介入は誰が行っても効果がありますか?

A: メタ分析では介入者による効果のばらつきは見られたものの、専門家・親・教師いずれによる介入でも、ある程度の効果が確認されています。特に親が日常的に関わることが重要とされています。

Q: ダウン症の子どもにも共同注視の効果はありますか?

A: はい、Hahnら(2018)の研究では、ダウン症の子どもも共同注視のスキルを有しており、特に視線追従などの基本的な注視行動は比較的発達していることがわかりました。共同注視の能力を活用した支援が効果的であるとされています。

Q: 家庭でどのように共同注視を育てれば良いですか?

A: 日常的に子どもが興味を持っているものに注目し、それを一緒に見て言葉をかけることが重要です。特別な教材よりも、親子の日常の関わりが共同注視を育て、言語や社会性の発達に大きく貢献します。論文でも、自然なやりとりが最も効果的とされています。

理解度を確認する問題

次のうち、共同注視の説明として最も適切なものはどれですか?

A. 他者の感情を理解すること
B. 他者と同じ対象を見ている状態
C. 言語を使って物を説明すること
D. 他者の表情をまねること

正解: B. 他者と同じ対象を見ている状態

関連キーワード

  • 視線追従
  • 三項関係
  • 社会的参照
  • 心の理論
  • 自閉スペクトラム症
  • 発達心理学
  • 言語発達

関連論文

Tomasello, M. (1995). “Joint attention as social cognition.”

概要: 共同注視は、他者と意図を共有する能力の基盤であり、文化的学習(言語・模倣・規則)を可能にすると説明。
結果: 共同注視の頻度が高い子どもは、語彙数も多いという傾向が示された。

Bottema-Beutel, K. (2016). Associations between joint attention and language in autism spectrum disorder and typical development: A systematic review and meta-regression analysis. Autism Research, 9(10), 1021–1035.

概要: このメタ分析では、ASDの子どもと定型発達の子どもにおける共同注視と語彙発達の関連性を調査しました。

結果: ASDの子どもでは、共同注視と語彙発達との関連がより強く、特に「共同注視への応答(Responding to Joint Attention: RJA)」が重要であることが示されました。

解釈: ASDの子どもにとって、共同注視のスキルは言語発達において重要な役割を果たしており、特に他者の視線や指差しに応答する能力が鍵となります。

Gillespie-Lynch, K. et al. (2016). Joint attention interventions for children with autism spectrum disorder: A systematic review and meta-analysis. International Journal of Language & Communication Disorders, 51(3), 236–251.

概要: ASDの子どもを対象とした共同注視スキル向上のための介入研究をレビューし、その効果を評価しました。

結果: 共同注視スキルを向上させる介入は、ASDの子どもに対して有効であることが示されました。ただし、介入の種類や実施者による効果の差異は明確ではありませんでした。

解釈: ASDの子どもに対する共同注視の介入は有効であり、早期の介入が望ましいとされています。

Hahn, L. J. et al. (2018). Joint attention in Down syndrome: A meta-analysis. Research in Developmental Disabilities, 79, 1–13.

概要: ダウン症の子どもにおける共同注視の発達を調査したメタ分析です。

結果: ダウン症の子どもは、発達水準に応じた共同注視のスキルを持っており、特に視線追従の能力は比較的強いことが示されました。

解釈: ダウン症の子どもにとって、共同注視は言語や社会的スキルの発達において重要な役割を果たしており、支援の際にはこのスキルを活用することが有効です。

覚え方

「きょう同じのを見てる=共同注視」
→「”きょう”(今日)同じのを”注視”してるってことね」と覚えるとスムーズです。

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