研究も臨床も両方できる心理のプロになる考え方のこと
簡単な説明
「研究室でガリガリ実験して、それを持って現場で人助けする心理のスーパーマンみたいなモデル!現場とラボの二刀流って感じ!」
由来
このモデルは、1949年のボルダー会議(アメリカ・コロラド州)で公式に提唱されました。心理学が「科学としての研究」と「現場での実践(臨床など)」を両立すべきだという考えから生まれました。
この会議では、臨床心理士の養成について議論され、「科学者-実践者モデル」が専門家育成の理想形とされるようになりました。
具体的な説明
心理学者や臨床心理士などが「ただの研究者」「ただのカウンセラー」ではなく、研究で得た知識を現場で使い、逆に現場の経験を研究に活かす、という双方向の姿勢を大切にするモデルです。
科学者-実践者モデルは、心理学における科学的根拠(エビデンス)に基づいた実践(EBP:Evidence-Based Practice)を重視する立場です。このモデルでは、心理専門職は科学的方法に精通し、心理的支援にあたる際には、経験や直感だけでなく実証された知見に基づいた介入を行うべきとされます。
実験・観察手法と結論
例:認知行動療法(CBT)における実践
ある研究では、うつ病患者に対するCBTの効果を検証するために、臨床心理士が認知行動療法のプロトコルに基づいて介入を実施しました。
- 結果:治療群(CBTあり)の70%以上が改善したのに対し、非治療群では30%以下の改善率
- 結論:科学的に効果が実証された方法(CBT)は、現場で有効である
このように、研究と実践の連携が有効性を裏づける例となります。
例文
「彼は科学者-実践者モデルに基づいて、うつ病の研究をしながら、実際の患者さんにも心理療法を行っている。」
疑問
Q: なぜ研究と実践の両方を学ぶ必要があるのですか?
A: 研究だけでは実際の現場の複雑さに対応できませんし、実践だけでは効果の根拠が弱くなってしまいます。両方を学ぶことで、より信頼できる心理支援が可能になります。
Q: 研究者と臨床家は別々の仕事ではないのですか?
A: はい、実際には別々に働くことも多いですが、このモデルでは両方のスキルを持つ専門家を育てることを目指しています。
Q: このモデルは現在も使われているのですか?
A: はい、特にアメリカでは臨床心理士の養成においてこのモデルが基本になっています。日本でも、大学院教育でこの考え方が採用されています。
Q: 現場の感覚だけではだめなのですか?
A: 感覚も大切ですが、科学的根拠がある方法(エビデンス)が最も安全で確実です。そのため両方を大切にするモデルが理想とされています。
Q: 他にも類似のモデルはありますか?
A: はい、例として「実践者-科学者モデル(Practitioner-Scholar Model)」があります。こちらは実践を重視しつつ、研究リテラシーも求める形です。
Q: 科学者-実践者モデルはどの分野の心理学者にも当てはまりますか?
A: 基本的には臨床心理学やカウンセリング心理学の専門家向けのモデルですが、教育心理学や産業・組織心理学などでも応用されることがあります。ただし、分野によって実践の意味合いが異なる場合があります。
Q: このモデルは日本の臨床心理士の養成にも使われていますか?
A: はい、日本でも臨床心理士指定大学院などの教育プログラムにおいて、科学者-実践者モデルの考え方が取り入れられています。研究論文の作成と、実習・面接実践の両方を求められます。
Q: 科学者-実践者モデルとエビデンス・ベースド・プラクティス(EBP)は違いますか?
A: 関連は深いですが、少し違います。EBPは「科学的根拠に基づいた実践」を指す概念で、科学者-実践者モデルはそれを実現するための教育モデルや専門家像を意味しています。
Q: 実践者-科学者モデルとの違いは何ですか?
A: 実践者-科学者モデルは、より「実践寄り」で、心理支援の現場経験を中心に据えながらも、科学的な読み書き(研究の理解や批判的思考)を行える専門家を育成するモデルです。科学者-実践者モデルは研究重視の傾向があります。
理解度を確認する問題
次のうち、科学者-実践者モデルに最も当てはまる記述はどれか?
A. 現場での経験のみに基づいて支援を行う
B. 心理学の研究成果を実践に活かし、また実践から研究に還元する
C. カウンセリング技法のみを学ぶモデル
D. 行動観察を主とする心理学モデル
正解: B
関連キーワード
- エビデンス・ベースド・プラクティス(EBP)
- 臨床心理士
- 認知行動療法(CBT)
- ボルダー会議
- 実践者-科学者モデル
関連論文
The Scientist-Practitioner Model: A Critical Examination
この論文では、科学者-実践者モデルの歴史的意義、現代的課題、臨床心理士教育における具体的適用例が取り上げられています。著者らは、教育と臨床実践の融合こそが心理学を専門職として成り立たせると主張しています。
結果:
モデルを導入している大学院では、卒業生がより科学的根拠に基づいた実践を行っているとの報告が多数あります。
覚え方
「科学(Scientist)で仕込んで、現場(Practitioner)で使う!」
→ 料理のレシピに例えると、研究は「レシピ作り」、実践は「料理する」ことです!


コメント