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観察法(Observation Method)

Observation Method 原理・研究法・歴史

人や動物の行動を、そっと見て記録する方法のこと

簡単な説明

こっそり人の行動を観察して“へぇ〜こう動くのか”ってメモるスタイル!実験室じゃなくて現場主義の心理術って感じ!

由来

観察法は、心理学が科学として発展する以前から使われていた、最も古い研究手法の一つです。初期の心理学者たち、たとえばヴィルヘルム・ヴントジャン・ピアジェなども観察法を用いて、人間の発達や意識の仕組みを明らかにしようとしました。

具体的な説明

観察法とは、対象となる人や動物の行動を客観的に記録・分析する方法です。質問したり操作したりせず、あるがままの行動を観察することが特徴です。

観察には2つの大きな種類があります:

  • 自然観察法(naturalistic observation):
    日常の生活環境の中で、行動を観察する
    → 例:公園で親子の関わりを観察
  • 実験的観察法(controlled observation):
    実験室などで状況をコントロールしながら観察する
    → 例:心理学実験中の被験者の反応を観察

観察法は記述的研究(descriptive research)の一手法であり、特に行動主義心理学や発達心理学で多用されます。観察の信頼性と妥当性を高めるためには、観察者間一致(inter-observer reliability)や行動カテゴリの定義づけが重要です。

記録には以下の方法がよく使われます:

  • ナラティブ記録法(自由記述)
  • チェックリスト法(項目ごとに✓)
  • 時間サンプリング法(一定時間ごとに記録)

実験・観察手法と結論

有名な観察研究例:ボボ人形実験(Albert Bandura, 1961)
  • 目的:子どもは他者の攻撃的行動をまねるか?
  • 方法:大人がボボ人形を叩く様子を見せ、その後子どもが同じ人形と遊ぶ場面を観察
  • 結果:暴力を見た子どもは、見ていない子よりも2倍以上暴力的な行動をとる傾向
  • 結論:観察学習(モデリング)が実際に起こることを実証

例文

「彼は幼児の社会的行動を観察法で調べていて、笑顔や目線の回数を丁寧に数えて記録している。」

疑問

Q: 観察していることが相手にバレたら影響ありますか?

A: はい、大きな影響があります。これを「観察者効果(observer effect)」といい、行動が不自然になることを防ぐために、できるだけ目立たないように工夫します。

Q: 観察法と実験法はどう違うのですか?

A: 観察法は自然な行動を見るだけですが、実験法は条件を操作して因果関係を調べる方法です。観察法は“何が起きているか”を記述するのに向いています。

Q: 観察者が偏った見方をしてしまうことはありますか?

A: あります。これを「観察者バイアス」といいます。複数の観察者が同じ行動を観察し、一致率をとることでバイアスを減らします。

Q: 音声や映像での記録はOKですか?

A: はい、むしろ現在ではビデオ観察が一般的です。ただし、被験者の同意とプライバシー保護が必要です。

Q: 観察法だけで因果関係はわかりますか?

A: いいえ、観察法では因果関係までは明らかにできません。「関連がある」ことは示せても、「原因である」とまでは言えません。

Q: 観察法はどんな場面で特に効果的ですか?

A: 言葉で説明できない乳幼児や動物の行動、または対人関係や集団内での自然なやり取りなど、観察しないと把握できない行動の研究にとても効果的です。

Q: 観察していることを対象に伝えるべきですか?

A: 原則として、倫理的に説明責任(インフォームド・コンセント)が必要です。ただし、観察内容が匿名で特定されず、行動が公の場で行われている場合などは、説明が不要なこともあります(倫理審査の範囲内で)。

Q: なぜ観察者を複数にするのですか?

A: 観察者が1人だけだと主観が入りやすく、記録ミスや解釈の偏り**が起こる可能性があります。複数人で観察し、**観察者間一致率(inter-rater reliability)を高めることで、信頼性を確保します。

Q: 観察法だけで心理学研究は完結できますか?

A: 観察法は非常に重要な方法ですが、「なぜそうなるのか(因果関係)」を明らかにするには限界があります。そのため、質問紙調査や実験法と組み合わせて使うのが一般的です。

Q: 映像による記録とその後の分析にはどんな利点がありますか?

A: 映像に残すことで後から何度でも行動を確認でき、詳細な分析や第三者による再検討も可能になります。録画分析は特に発達心理学・教育心理学でよく使われます。

理解度を確認する問題

次のうち、観察法に関する説明として正しいものはどれか?

A. 対象者に質問して回答を得る方法
B. 条件を操作し、変化を見る方法
C. 行動をありのままに記録・分析する方法
D. 仮説を統計的に検証する方法

正解: C

観察法において、観察者の存在が被験者の行動に影響することを何というか?

A. 認知的不協和
B. 観察者効果
C. 試行錯誤学習
D. フラッシュバルブ記憶

正解: B

次のうち、観察法のメリットとして適切なものは?

A. 因果関係が明確になる
B. 自然な行動が把握できる
C. 心理的操作が可能
D. 全て数値化できる

正解: B

関連キーワード

  • 観察者効果(observer effect)
  • 観察者バイアス(observer bias)
  • 自然観察法
  • 行動記録法
  • 観察者間一致(inter-rater reliability)

関連論文

Naturalistic Observation: A Method for Measuring Behavior in Real-World Settings

この論文では、自然観察法の科学的有効性と、被験者の行動を現実の文脈で捉える重要性が論じられています。特に観察者効果の最小化技術や、記録法の信頼性評価が実証的に検討されました。

結果:
実験室での行動と自然環境での行動では最大30〜50%の差異が見られることから、自然観察の必要性が強調されています。

覚え方

観察法は、“見守り型の心理学”と覚えると◎です!

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